あなたにベストマッチな機能性食用油はどれ?

定番のオリーブオイルから話題のMCTオイルまで。健康や美容に良いと言われる「機能性油」の特徴や摂り入れ方をご紹介します。

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いまや台所の常備油であるオリーブオイルをはじめ、一大ブームとなったココナッツオイルや最近TVでよく目にするMCTオイル…。スーパーの食用油コーナーには「体にいい」をうたった機能性油が種類豊富に並んでいます。でも、一口に“機能性”と言っても、どういう風に機能するのか、どんな料理に使えるのか、いまいちわかりづらいですよね。 そこで今回は、それぞれの機能性油の特徴や上手な摂り入れ方をご紹介。自分の体調やライフスタイルに合ったオイルを見つけてください。

今回紹介する機能性食用油

  • アマニ油
  • えごま油
  • オリーブオイル
  • グレープシードオイル
  • こめ油
  • ひまわり油(ハイオレックタイプ)
  • ココナッツオイル
  • MCTオイル

 

機能性油を選ぶ前に知っておきたい「脂肪酸」のこと

健康に良いと言われる食用油を手に取ってみると、「オメガ3系」とか「オメガ6系」といった言葉によく出くわしませんか? これすべて、脂肪酸の種類を表しています。ここでは、機能性油を選ぶうえで知っておきたい代表的な脂肪酸についてご紹介します。

不飽和脂肪酸(常温で液体、酸化しやすい)

・オメガ3系脂肪酸
多価不飽和脂肪酸に分類。代表的なものとして「α-リノレン酸」があり、血中の中性脂肪を抑制し、血栓を予防する効果があるといわれています。「α-リノレン酸」は体内でつくることができない必須脂肪酸のひとつなので、食事から積極的に摂ることが必要です。

・オメガ6系脂肪酸
多価不飽和脂肪酸に分類。オメガ6系を代表する「リノール酸」は、子供の発育には不可欠で、血中のコレステロール濃度を一時的に下げる効果があります。人の体内でつくることができない必須脂肪酸のひとつですが、摂取しすぎるとアレルギー炎症を起こし、がんのリスクを高めるといわれています。

・オメガ9系脂肪酸
一価不飽和脂肪酸に分類。代表的な脂肪酸としては「オレイン酸」があり、人間の体内でも合成されます。不飽和脂肪酸のなかで最も酸化しづらく、血中の善玉コレステロールはそのままで、悪玉コレステロール濃度を下げるという特徴をもっています。便秘解消効果も。

飽和脂肪酸(常温で固体、酸化しづらい)

・中鎖脂肪酸
中鎖脂肪酸を代表する「ラウリン酸」は、免疫力を高める効果があるといわれ、母乳の主成分でもある脂肪酸です。摂取後に素早く分解され、エネルギーになりやすいため、体脂肪として蓄積されにくいという特徴ももっています。
 

アマニ油

アマニ油

原料:亜麻の種子
主要な脂肪酸:オメガ3系
健康への機能:血流促進、生活習慣病の予防、ホルモンバランス改善
料理への取り入れ方:ドレッシング、マリネ、そのまま  ※加熱NG
コスパ:★★


高級リネンにも使われる一年草の植物「亜麻」の種子を搾って作られる食用油。豊富に含まれる「α-リノレン酸」が血液をさらさらにして血流を促進するため、心疾患や脳卒中などの予防に期待できるとして注目されています。また、ポリフェノールの一種である「リグナン」が多く含まれているのもポイント。大豆イソフラボンと同じく女性ホルモンに似た働きをし、女性の体調をサポートしてくれるそう。

アマニ油は熱に弱く酸化しやすいため、加熱調理には使えません。ドレッシングやマリネ液などに使用したり、スプーン1杯分をそのままスープや野菜ジュースにちょい足ししたりして上手に摂取しましょう。
 

えごま油

えごま油

原料:荏胡麻の種子
主要な脂肪酸:オメガ3系
健康への機能:血流促進、生活習慣病の予防、アレルギー抑制
料理への取り入れ方:ドレッシング、マリネ、そのまま  ※加熱NG
コスパ:★★


えごまはシソ科の1年草の植物で、その種子は食用として日本でも古くから利用されてきました。現代人の食生活に不足しがちな「α-リノレン酸」が豊富に含まれていることから、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中などの生活習慣病予防に期待できます。また、ポリフェノールの一種である「ロズマリン酸」と「ルテオリン」も多く含まれ、アレルギー症状の緩和にもつながるとか。

アマニ油と同じく、熱に弱く酸化しやすいため、加熱調理はNGです。サラダやお刺身、お味噌汁などにそのままかけるなどして摂り入れましょう。独特の風味やえぐみがあるため、納豆のようなクセの強い食材にかけるのもおすすめ。

グレープシードオイル

グレープシードオイル

原料:ぶどうの種子
主要な脂肪酸:オメガ6系
健康への機能:抗酸化作用、細胞の健康維持
料理への取り入れ方:揚げ物、炒め物、焼き物、ドレッシング、マリネ、お菓子づくり
コスパ:★★★★


グレープシードオイルはぶどうの種子から搾油された植物油で、ワイン大国フランスなどで生産されています。抗酸化作用のあるスーパービタミンE「トコトリエノール」を多く含むほか、血中コレステロールを下げるといわれる必須脂肪酸「リノール酸」も豊富に含まれます。ただし、リノール酸の摂り過ぎはアレルギー炎症などを引き起こすリスクがあるため注意が必要です。

味も香りもクセがなく、サラサラとしていて、調理法を問わない使いやすさが最大のポイント。和食など素材の美味しさをそのまま生かした調理にも向いています。ライトな口当たりなので揚げ物やマヨネーズづくりにもおすすめです。

オリーブオイル

オリーブオイル

原料:オリーブの果実
主要な脂肪酸:オメガ9系
健康への機能:便秘解消、血液浄化、生活習慣病予防、抗酸化作用
料理への取り入れ方:揚げ物、炒め物、焼き物、ドレッシング、マリネ
コスパ:★★★


地中海沿岸を代表する樹木・オリーブの果実から搾油します。オリーブオイルの脂肪酸の約70~80%を占める「オレイン酸」は腸内環境を整えるほか、高血圧や心臓疾患、動脈硬化、肥満などといった生活習慣病の症状を改善・予防する効果ももちます。また、オリーブの果実や葉に含まれるオリーブポリフェノールには抗酸化作用もあります。

オリーブオイルは一般的に「ピュアオリーブオイル」と「エキストラバージンオリーブオイル」に大きく分けられます。「ピュアオリーブオイル」は精製したオリーブオイルとエキストラバージンオリーブオイルをブレンドしたもので、マイルドな風味なので焼く、炒める、揚げるといった調理に向いています。「エキストラバージンオリーブオイル」はオリーブの実を搾っただけの一番搾りオイルのうち、特定の基準を満たした良質なものをいいます。オリーブオイル特有の香りが楽しめるため、ドレッシング、マリネ、パンにつけるなど生で使う料理に向いています。
  

こめ油

こめ油

原料:米ぬか、胚芽
主要な脂肪酸:オメガ9系
健康への機能:自律神経のバランスを整える、コレステロールの吸収を抑える、抗酸化作用
料理への取り入れ方:揚げ物、炒め物、焼き物、ドレッシング、お菓子づくり
コスパ:★★★★★


こめ油は米ぬかと胚芽を使ったほぼ100%国産の原料でつくられる食用油で、古来より日本で作られてきた数少ない油です。ビタミンEの数十倍の抗酸化作用を持つスーパービタミンE「トコトリエノール」や、コレステロールの吸収を抑えたり自律神経のバランスを整えたりするといわれる米ぬか特有の成分「y-オリザノール」を豊富に含みます。

ほぼ無味・無臭でさらっとしているので、和食などの素材の持ち味を生かした料理に最適。揚げ物や炒め物、ドレッシングやお菓子づくりなど幅広い調理に対応します。油酔い成分の発生が少ないのもポイント。
 

ひまわり油(ハイオレックタイプ)

ひまわり油(ハイオレックタイプ)

原料:ひまわりの種子
主要な脂肪酸:オメガ9系
健康への機能:高血圧予防、便秘解消
料理への取り入れ方:揚げ物、炒め物、焼き物、ドレッシング、マリネ、お菓子づくり
コスパ:★★★★★


ひまわりの種子を原料とした植物油で、近年ではオレイン酸の含有率が高い「ハイオレックタイプ」が主流となっています。オリーブオイルと同じくオレイン酸を豊富に含むため、腸内環境を整えるほか、高血圧予防にも効果があります。

ほぼ無味・無臭で幅広い料理に使え、しかもコストパフォーマンスの面でも使い勝手が良い油です。オリーブオイル特有の風味や苦味に抵抗があるけれど、オレイン酸を摂取したいという方におすすめです。

ココナッツオイル

ココナッツオイル

原料:ココヤシ果実
主要な脂肪酸:中鎖脂肪酸
健康への機能:肥満予防、免疫力の向上
料理への取り入れ方:炒め物、焼き物、お菓子作り、そのまま
コスパ:★★


成熟したココヤシ果実の胚乳部分から作られる食用油。母乳や牛乳にも含まれる中鎖脂肪酸「ラウリン酸」を豊富に含有しているのが特徴です。中鎖脂肪酸は、食べた後すぐにエネルギーになり体に蓄積されにくいため、肥満予防への効果が期待できます。また、免疫力の向上にも作用するといわれています。

ココナッツ特有のほんのりとした甘さがあり、食べたときに満足感もあります。スプーンに少量取って、そのままトーストにかけたりコーヒーやスムージーに加えたりするのがおすすめ。ココナッツの風味を抑えた無香タイプもあり、こちらは炒め物や焼き物などの幅広い料理に使えます。

MCTオイル

MCTオイル

原料:ココナッツ、パームフルーツなど
主要な脂肪酸:中鎖脂肪酸
健康への機能:肥満予防、免疫力の向上、エネルギー補給
料理への取り入れ方:サラダにかける、コーヒーやスープに混ぜる ※加熱NG
コスパ:★


MCT(Medium Chain Triglyceride)オイルとは中鎖脂肪酸100%の油のこと。ココナッツやパームフルーツに含まれる天然成分です。中鎖脂肪酸は母乳や牛乳などにも含まれています。MCTは消化吸収効率が良くすぐにエネルギーになるため、医療やスポーツの現場で栄養補給に利用されてきました。また最近では、中鎖脂肪酸「ラウリン酸」が肝臓で分解されて「ケトン体」という物質になり、脳の神経細胞に届くことでアルツハイマー型認知症の予防に効果があるとして注目されています。

MCTオイルは、加熱調理には使えません。また直接そのまま飲むとお腹がゆるくなります。少量をコーヒーやサラダに加えたり、スープに混ぜたりして摂取しましょう。
 

自分に合ったオイルを、適量を守って摂ることが大切

ご紹介したオイルの分布表

機能性食用油をひとつひとつ見ていくと、そのパワーや正しい使い方、コストパフォーマンスなどが種類によって異なることがわかります。それぞれのオイルの基本的な知識を身につけたうえで、今の自分の食生活や体調に合った機能性油を選んでください。 ただし、いくら「機能性」と言っても油であることには変わりありません。どんな油を選んでも、摂り過ぎには注意し、適量を上手に摂ることが大切です。

(参考文献) YUKIE(2017)『新訂オイルの教科書』 主婦の友社





※記事の情報は2018年11月08日現在のものです。

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