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大人が読みたい絵本10冊

「好きになること」が分からなくなった、迷える大人にオススメ

『すきになったら』
作:ヒグチユウコ
出版社:ブロンズ新社

緻密に描かれたはかなげな少女とグロテスクなワニ。不安定なふたりの関係のなかに、誰かを好きになったときの心のゆらぎが淡々と描かれています。「すきになったらしりたくなる。あなたのすきなものをすきになったり、あなたにとってだいじなものをりかいしたくなる」。恋をすると誰もが抱く感情を綴っていながら、読みすすめるほどにどうしようもなく胸が切なくなる一冊です。

ドンハマ★ポイント
ヒグチユウコさんの作品は、独特の《きもかわ》なキャラクターに思わず引き込まれます。その中では、この『すきになったら』はかなりストレートな表現かなとも思いますが、誰かを好きになることの本質が描かれているように思います。人を好きになるってどういうことか分からなくなった大人の方に、ぜひ読んでいただきたい絵本です。

窓の外に広がる日常が、このうえなく愛おしくなる

『あさになったのでまどをあけますよ』
作:荒井良二
出版社:偕成社

「あさになったのでまどをあけますよ」という言葉とともに、誰かにとってのなじみの風景がページをめくるごとに色彩豊かに広がっていきます。何気ない日々のくりかえしの中にこそ美しさがあり、生きる希望に満ちているということを感じさせてくれる一冊。

ドンハマ★ポイント
2011年の東日本大震災後に、作家の荒井良二さんが東北沿岸部の被災地を巡ったそうなのですが、この絵本はその後に出版されたものです。ここに描かれている川の流れる町やにぎやかな都市、雨降る海辺などは誰かが暮らす日常の風景なのですが、どこか心象風景のようにも受け取れる。ふるさとを離れなければならなかった方への、作家の思いも込められているように感じます。

読んだ後に心が前を向く、静かだけれどチカラのある一冊

『おなじそらのしたで』
作:ブリッタ・テッケントラップ 訳:木坂涼
出版社:ひさかたチャイルド

歌いながら海を泳ぐイルカの群れ、草原でたわむれるライオンの親子、都会で暮らす猫の家族…。このはるかな世界で、今日も繰り広げられる様々な命の営み。けれどみんな同じ空の下でつながっているというメッセージが、静かに心に響く一冊です。

ドンハマ★ポイント
この絵本は、僕がやっている「おとなの絵本プロジェクト」でも、イベントの最後に読ませてもらうことが多いです。「遠く離れていても心はつながっているんだよ」ということを教えてくれて、心が未来に向く感じがいいなと思って。それに型抜きのしかけもあるので、何度も手に取って読み返したくなるんですよね。

いかがでしたか? 絵本はパラパラと絵を眺めるだけで楽しめる気軽さがあります。また文章が短いので、誰かに読んであげることもできます。一人で静かに絵本の世界に浸るのもよし、「おとなの絵本プロジェクト」のようなイベントに参加してみんなでワイワイ読み合うのもよし。お気に入りの1冊を見つけたら、誰かにプレゼントしてみるのもおすすめですよ。

※記事の情報は2018年11月20日時点のものです。