専門店でイチから教わる! 観葉植物の育て方・選び方入門

部屋に観葉植物を置きたいけれど、きちんと育てられるか心配。どんな品種を選んだら良いのか分からない。そんな悩めるあなたに、観葉植物の専門家が失敗しない育て方やおすすめ品種をアドバイス。今こそインドアグリーンのある暮らし、始めてみませんか?

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観葉植物の育て方や上手に付き合うためのコツを学ぶべく向かったのは、東京・小岩にある都内最大級の観葉植物専門店「WORLD GARDEN(ワールドガーデン)」。

店内

2階建ての店内には、見上げるほど背の高い樹木から葉っぱがワサワサと生い茂った背の低い植物、くねくねと曲がった樹形が面白いものまでところ狭しとひしめき合い、さながら小さなジャングルのよう。

取り扱う品種も観葉植物としてよく目にする定番のものからコレクター心をくすぐるちょっと珍しいものまで様々で目移りします。

定番の観葉植物
希少価値の高い植物


今回指南役を引き受けてくださったのは、このお店のマネージャー、力石徹さん。取り扱う植物のほとんどを、生産地である沖縄や鹿児島に自ら出向いて買い付けているそう。

そんな力石さんに、まずは観葉植物とはそもそも何なのか?というところからお話を聞きました。

観葉植物はもともと熱帯生まれの屋外育ち

フィスカ属の観葉植物

力石 日本で観葉植物と言われるインドア向けの植物のほとんどは、もともとは熱帯の国々に分布していて、他の植物と同じように外で育っています。でも冬の寒さ厳しい日本では、こういった植物たちは越冬できません。それで鉢に植えて室内でも熱帯の植物を育てられるようにしたのが始まりです。

ですので、もし日本の冬が南国のような暖かさであれば、屋外で育ててもいいんです。むしろ外の環境のほうが植物にとっては自然ですから。そういった植物の生い立ちをあらかじめ知っておくと、室内で育てるにも失敗が少ないですよ。

細かな点は品種によって異なりますが、観葉植物を育てるうえで押さえておきたい基本的なポイントはだいたい同じです(サボテン、多肉植物は除く)。

観葉植物の育て方 基本ポイント

【日当たり】直射日光は苦手! 優しい自然光が当たるように

直射日光ではなく優しい自然光が当たるように

力石 もちろん観葉植物も光合成をするので自然光が必要ですが、直射日光は苦手です。なぜなら観葉植物として売られているものは、農家さんのビニールハウスの柔らかな光の下で育てられたものなので、強い日差しを受けていないんです。

本来は外で育つ植物なので直射日光を浴びてたくましく生きているんですが、観賞用として人の手で大事に育てられたものは打たれ弱くなっています。窓越しでも陽光が燦々と降り注ぐような部屋は葉焼けする恐れがありますので、レースのカーテン越しくらいの明るさが望ましいです。

かといって窓がなく自然光が入らないようなトイレや洗面所に置いても枯れてしまいますので、必ず自然光が届く明るい部屋に置いてあげてください。


【水やり】鉢底から水が流れ出すまでたっぷりと。葉や幹にも霧吹きを
力石 観葉植物はあまり水をあげなくて良いと思われがちですが、水をあげるときはたっぷり与えてあげないといけません。土の上からあげた水が鉢底の穴から流れ出すくらいまで。それが、水がしっかり底まで行き渡った合図です。

鉢底から水が流れ出すまでたっぷりと

コップ1杯程度の少ない量だと底まで水が行き渡らずに、根っこが十分な水分量を吸い上げられません。それに土の中には古い空気も含まれていますので、それを定期的に押し出してあげるためにも、水を鉢底から貫通させてください。

また熱帯生まれの観葉植物はスコールなどの雨に打たれながら生きているので、根っこからだけでなく、葉や幹からも水分を吸収するようになっています。家庭では霧吹きなどで全身にシャワーを浴びせてあげましょう。

霧吹きなどで全身にシャワーを浴びせてあげましょう


水やりのタイミングは、“土に指を1㎝入れて乾いていたら”が与えどき。夏と冬でも水やりの頻度は変わりますので、自分の手で確かめてタイミングを判断してください。また植物も昼間に活動し夜は眠ってしまうので、水は朝与えてください。


【風とおし】新鮮な空気が室内を循環するような工夫を

新鮮な空気が室内を循環するような工夫を

力石 意外と知られていませんが、植物にとって光や水と同じくらい「風」が重要です。人間と同じで空気のこもった部屋にずっといると、健康を害してしまうことがあるからです。

できるだけ換気をして、外の新鮮な風が室内に流れるように工夫してあげてください。部屋の空気が淀んだ状態が続くと、病気になったり害虫がついたりして落葉の原因になります。


【栄養】「活力剤」と「肥料」を正しく使い分けて
力石 観葉植物には活動期と休眠期があります。活動期は毎日安定して20℃以上の気温になる5月~10月くらい、休眠期は最低気温が5℃を切る11月~4月です。

枝を伸ばし新しい葉をつける活動期には、栄養を与えてあげる必要があります。自然界だと枯れ葉や死んだ昆虫などが土に埋もれ天然の肥料となりますが、室内で育てる場合は人間が栄養を与えてあげないといけません。

植物の栄養には「活力剤」と「肥料」の2種類があり、それぞれ役割が異なります。活力剤は植物を丈夫にするためのもので、肥料は植物を大きくするためものです。よく活力剤と肥料を混同して使われがちなのですが、植物にとっては両方必要なサプリメントです。

植物を丈夫にする「活力剤」
植物を丈夫にする「活力剤」
植物を大きくする「肥料」
植物を大きくする「肥料」

休眠期は文字通り植物は眠っている状態なので、活力剤や肥料を与える必要はありません。ただし水やりは土が乾いたら行いましょう。

プロが選ぶ、おすすめ観葉植物は?

様々な品種の観葉植物が並ぶワールドガーデン店内

育て方の基本ポイントを押さえたら、いよいよ部屋に迎え入れる植物を選びましょう。ここでは観葉植物を知り尽くした力石さんが特におすすめする5品種をご紹介します。
 

■おすすめ観葉植物① ウンベラータ



力石 フィカス属に分類される植物で、ゴムの木の仲間です。葉っぱが柔らかくハートのような形になっていて、特に女性に人気の品種です。フィカス属の植物はゴムの木のように枝葉を切ると白いべたべたした樹液が流れるのが特徴です。

成長するにつれ、写真のように幹から「気根」と呼ばれる根っこを垂らすものがあります。気根は空気中の水分を吸収したり、自らを支えるために生えてくるもので、フィカス属の植物によく見られます。

 

■おすすめ観葉植物② フィカス・バーガンディ



力石 これもフィカス属の観葉植物なのですが、同じ属でも先ほどのウンベラータとは印象が随分異なると思います。

「バーガンディ(=ワインレッド)」という名の通り、葉っぱが深いワインレッド色をしているのが特徴です。多少暗めの部屋でも育てられますが、光が不足すると葉っぱが緑色に退色し、光を浴びるほど黒さを増す習性があります。葉の深い色をキープしたいのであれば、なるべく明るい部屋に置くことをおすすめします。

 

■おすすめ観葉植物③ モンステラ



力石 寝室など少し薄暗い部屋でも育てやすいのが、この南国ムードたっぷりのモンステラです。サトイモ科の植物で生育が早く丈夫なので、園芸初心者にもおすすめです。

なぜ暗い部屋でも大丈夫かというと、もともとモンステラは、自然界では他の大木に日光を遮られながら生きているから。とは言え、遮光カーテンなどで光を全く遮ってしまうのは良くありません。昼間はできるだけ自然光が届くようにしてあげてください。

 

■おすすめ観葉植物④ エバーフレッシュ



力石 東南アジア原産のエバーフレッシュは、今年特に人気の品種です。細かな葉っぱが柔らかく揺れ、涼し気な雰囲気を演出してくれます。

日が暮れると睡眠運動で葉が閉じるという面白い習性ももっています。

 

■おすすめ観葉植物⑤ ガジュマル



力石 シェルフの上や卓上など限られたスペースに植物を置きたいなら、ミニサイズの「ガジュマル」がおすすめ。小さいですが、樹形がユニークで存在感があります。

実はガジュマルもフィカス属。根っこ自体はこれ以上大きくなりませんが、葉っぱはどんどん増えていくので成長する姿も楽しめますよ。

観葉植物と長く一緒に暮らしていくために

最後にお気に入りの観葉植物と長く暮らしていくために、知っておきたい心得を力石さんに聞きました。

①夏場の長期不在時は屋外に避難させる

夏場の長期不在時は屋外に避難させる

力石 夏場に旅行などで1週間近く留守にする場合、植物を締め切った部屋に閉じ込めると熱中症状態になり大変危険です。先ほどもお話しましたが、植物も呼吸をしているので風通しが非常に重要です。なので、本当は一緒に連れていってあげてほしいくらい。

でも、そうもいかないときは植物を屋外の日陰に避難させて、たっぷり水をあげてからお出かけください。日向しかない場合でも、室内に閉じ込めるよりは屋外に出したほうが良いです。直射日光を浴びて葉っぱは焼けてしまうかもしれませんが、植物自体がダメになることは避けられると思います。

冬場は植物のほうも休眠しているので、ある程度室内で留守番をさせても大丈夫でしょう。
 

②剪定するときは葉っぱ1枚を残して
力石 剪定は絶対に必要なわけではありませんが、限られたスペースで観葉植物を育てる場合、余分に伸びた部分の枝葉は切ってあげて大丈夫です。

密集した葉っぱを整理したいときは、すべての葉を切り落してしまうと、枝が枯れることがあります。目には見えませんが、葉っぱの裏にはパクパク呼吸をするための口があって、この葉っぱのパクパク運動で水が根から幹、枝、葉へと行きわたると考えられているからです。剪定するときは、葉っぱ1枚残してください。

定するときは葉っぱ1枚を残して



③植物をよく観察し、触れること
力石 観葉植物を元気に育てていく最大のコツは、なにより植物の状態をよく観察し触れることです。そうすることで、そのうち葉っぱを見たり触っただけで「なんとなく元気がないな」とか「水が足りていないかな?」と分かってきます。

たとえば、プラスチックの鉢のままだと味気ないので、素敵な鉢を見つけて入れてあげましょう。雰囲気が変わって、それまで以上に植物に目が行くようになるかもしれません。

また、ふだんのお手入れ自体が楽しくなれば、植物に触れ合う回数も多くなります。霧吹きやジョウロなどもインテリア性の高いデザインのものが増えてきていますので、そういう道具にこだわって日々のお手入れを楽しくしていくのも良いでしょう。

オシャレな霧吹き
ブリキのジョウロ


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プロに教わる観葉植物の育て方・選び方、参考になりましたか?

おうちで過ごす時間が増えた今、部屋にひとつグリーンがあるだけで心が潤い、植物の世話をすることで暮らしにリズムが生まれます。緑が伸び伸びと育つこの季節、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。

この方にお聞きしました

力石 徹さん

東京・小岩にある都内最大級の観葉植物専門店「WORLD GARDEN(ワールドガーデン)」マネージャー。お店はもともと化粧品や美容機器などを扱う会社が母体で、美容のためには「心から健やかであること」が重要だと考え、植物がもつ癒し効果やメンタルへの作用に着目、「植物のある暮らし」を提案する事業をスタート。店内に並ぶ観葉植物のほとんどが、力石さんが惚れ込み信頼する沖縄や鹿児島の腕利き職人たちが丁寧に育てたもの。自ら現地に赴き買い付けを行っている。

店舗画像

■店舗情報
WORLD GARDEN(ワールドガーデン)
東京都江戸川区西小岩5-9-22
03-5668-8701
営業時間 10:30~19:00
定休日 金曜(不定休)
HPはこちら
※新型コロナウイルス感染拡大により、営業時間・定休日に変更が生じる場合がございます。ご来店時は事前にお店のHPでご確認ください。

※記事の情報は2020年5月19日時点のものです。

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