ご飯はダイエットの敵? 栄養や健康的な食べ方を管理栄養士が解説します

時折ブームになる炭水化物を抜くダイエット。しかし、ご飯(お米)を食べることが本当に太る原因になっているのでしょうか? 管理栄養士の森由香子先生に、ご飯を食べるメリットや適量の計算方法などを教えていただきました。

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痩せたいからと、ご飯を抜いていませんか?

食べると太る食品としてまず思い浮かべるものに、ご飯はよく挙げられます。ご飯など主食にあたる食品は炭水化物と一括りに言われることが多く、糖質が豊かでカロリーもあるため一般的にダイエットを阻む食品、ダイエットの敵と考えられがちです。

炭水化物抜きダイエットが根強い人気なのも、炭水化物(お米など主食にあたる食品)さえ取らなければ、簡単にカロリーを減らすことができ痩せられると思うからでしょう。

ですが本当のところ、ご飯はダイエットに向いていない食品なのでしょうか?

ダイエット中でもご飯を食べた方がいい理由とは?

私はご飯を食べること自体が太る原因になっているとは思っていません。むしろご飯は腹持ちが良いので、ダイエット中も全く食べないのではなく、適量を取ってほしいと考えています。

なぜお米は腹持ちがよいのかといいますと、粒状の形に理由があります。パンの原料となる小麦粉のように粉砕されておらず、細胞をまるごと食べるため、小さい形状になるまでの消化吸収に時間がかかるからです。

また胃液に含まれる消化酵素は、炭水化物(栄養素)ではなくたんぱく質(栄養素)を分解する働きがあるため、炭水化物(栄養素)より長く胃に留まりやすいということもあります。

ちなみに、唾液には糖質を分解する消化酵素が含まれています。ご飯をよく噛んで食べると口の中で甘味を感じることがありますが、それは炭水化物(栄養素)が分解された証です。

ご飯は実は栄養豊かな食材だった!

次に、ご飯には、どのような栄養成分が含まれているのかをみていきましょう。

▼横スクロールでご覧ください

ご飯の栄養

食品名 重量
(g)
エネルギー
(kcal)
栄養計算用
たんぱく質(g)
栄養計算用
脂質(g)
栄養計算用
炭水化物(g)
食物繊維
総量(g)
食塩
相当量(g)
カルシウム
(mg)
マグネシウム
(mg)

(mg) 
亜鉛
(mg)
ビタミンB1
(mg)
ビタミンB2
(mg)
ナイアシン
当量(mg)
ビタミンB6
(mg)
葉酸
(mg)
ご飯 100 156 2.0 0.2 0.66 1.5 0.0 3 7 0.1 0.6 0.02 0.01 0.8 0.02 3


ときどき、ご飯は100%炭水化物でできていると考える方がいらっしゃいますが、表のように、たんぱく質やビタミン、ミネラル、食物繊維も含まれる栄養豊かな食品であることが分かります。塩分量がゼロなので、パンや麺類などのように食べる量に比例して塩分量も増えていくことはありません。

またご飯には、レジスタントスターチという難消化性でんぷんが含まれています。レジスタントスターチは、食物繊維と同じような作用があり、腸の善玉菌のエサとなって腸内環境を整える働きがあります。

ご飯などの炭水化物は、生きていく上で重要な栄養素である糖質が豊かです。体は糖質をブドウ糖に分解してエネルギーを作り、生命の維持や身体活動に利用しています。糖質により作られたエネルギーは消費されると二酸化炭素と水になり老廃物が出ないため、クリーンなエコなエネルギー源といわれます。一方、たんぱく質は体の中で使われた後に老廃物が生じてしまい腎臓で処理しなければならないという一面も持っています。

あなたのご飯の適量は? 計算方法をご紹介します

ところで皆様は、1日にどれぐらいの量のご飯を食べてもよいのか把握しているでしょうか。

ある計算式から1日に食べるご飯の適量を計算できるのですが、そのためにはまずはじめに、1日の適正エネルギー摂取量を算出する必要があります。ご自身の適正エネルギー摂取量は以下の計算式を使って導き出すことができますのでやってみましょう。

エネルギー摂取量の計算式
出典:糖尿病治療のエッセンス(日本糖尿病対策推進会議)


たとえば30歳の女性がこちらの計算式により、エネルギー摂取量が1800kcalとなったとします。エネルギー摂取量の50~65%を炭水化物(栄養素)で摂るのが望ましいとされていますので、仮に60%を炭水化物(栄養素)で摂るとした場合、1800 kcal×0.6(60%)=1080kcalと算出されます。これはつまり、1日の中で1080kcal分を炭水化物(栄養素)の摂取に当ててよいという意味です。

次に、1食あたりのご飯の適量を算出します。

先ほど計算した炭水化物(栄養素)には、ご飯などの主食の他、炭水化物の多い食品の芋類、果物類、砂糖などが該当します。仮に1日の食事の中で、芋類50kcalと果物200kcalを摂る人だとしたら、1080 kcal-250 kcal(芋類と果物類の合計カロリー)=830kcalとなり、これがご飯など主食の1日の合計カロリーの適量です。

朝食、昼食、夕食の1日3食炭水化物を摂ると考えると、830kcal÷3となりますので、1食あたりのごはんのカロリーは約277kcalと算出されます。

さらに前述の表ではごはん100gあたり156kcalとなっていましたので、277kcalに相当するご飯の量は約177gとなります。こちらが今回例に出した方の1食あたりのご飯の適量となります。

ご飯=ダイエットの敵じゃない! バランスのよい食事を楽しみましょう

バランスの良い理想の食事

いかがでしたか? 1食のご飯の適量を意外に多く感じた方もいらっしゃったのではないでしょうか。

ダイエット中、適量であればお米を食べてもいいのです。問題は摂取量であることを忘れないでください。

体重の増減は、エネルギーの収支バランスによるものです。炭水化物を一切食べなければ痩せるということではなく、エネルギー摂取量が消費量よりも高ければ体重は増加します。

ご飯は栄養豊かな食品なので、抜いたりせずにダイエット中も積極的に賢く取り入れていただきたいと思います。きれいと健康のためには毎食、主食・主菜・副菜の組み合わせとして炭水化物を適量食べて、栄養バランスを整った食事を目指すことをおすすめします。

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※この情報は2024年5月10日時点のものです。

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