天然由来の美容オイル「アルガンオイル」とは？ 効果や使い方を美容のプロが徹底解説

昨今の美容業界では、美容オイルを用いて肌を整えるオイル美容が注目されていますが、そんな美容オイルの中でもとくに人気なのが「アルガンオイル」です。

アルガンオイルは、モロッコでしか生育されていない「アルガンノキ（一般的にはアルガン）」という木の種子からのみ採取できる希少なオイルのことで、その昔クレオパトラも愛用していたと言われるほど当時から重宝されていた美容オイルです。

アルガンオイルの主な美容効果として、保湿力の高さと抗酸化作用が挙げられます。

まず保湿力の高さについて、アルガンオイルにはオレイン酸という人間の皮脂に限りなく近い成分が豊富に含まれているので、ブースターとして日頃のスキンケアにプラスすると、肌の中の水分と油分のバランスをいい状態に保ちやすくなります。化粧水などの水分と美容成分をアルガンオイルの力で深く浸透させることで、肌の乾燥が解消され、ふっくら柔らかな肌に導くことができます。

冬場はもちろんのこと、実は夏場も紫外線ダメージや冷房などで肌が乾燥しやすいので、オールシーズン使っていただくといいと思います。

次に抗酸化作用ですが、アルガンオイルにはオリーブオイルの約4倍ものビタミンEが含まれると言われています。肌は紫外線を浴びると酸化が進み、そのダメージによってシミやシワ、たるみといったトラブルが引き起こされるのですが、ビタミンEには肌トラブルの原因である活性酸素の働きを抑える効果があるとされています。ですので、エイジングケアをしたい人や肌のトーンアップを狙いたい人には、アルガンオイルを継続的に使っていただくのがおすすめです。

〈アルガンオイルの抽出方法で選ぶ〉
アルガンオイルの抽出方法は2種類あります。一つ目はアルガンの実を加熱して抽出する「高温圧搾法（ホットプレス）」で、こちらは大量生産が可能なので安価で買い求めやすいというメリットがありますが、熱が加わることで品質を一定に保てなくなるというデメリットがあります。

もう一つは低温でじっくり時間をかけて抽出される「低温圧搾法（コールドプレス）」です。コールドプレスは熱を加えずに圧力だけで搾り出し、栄養分を損なわずに高品質なアルガンオイルを抽出できるので、少々コストがかかっても高い効果を得たい人にはこちらがおすすめです。

〈アルガンオイルの容器で選ぶ〉
アルガンオイルの容器にはプラスチック製やガラス製のもの、透明な容器、茶色の容器など様々な種類がありますが、ガラス製で遮光性のあるタイプがおすすめです。

ほかのオイルに比べて酸化しにくいアルガンオイルですが、容器がプラスチック製だったり透明のものだったりすると、どうしても外部の影響を受けやすくオイル自体が変質してしまうこともあるので、酸化リスクの低い容器を選ぶことが重要です。

●スキンケア前のブースターに
一番効果的な方法は、やはり肌の変化がわかりやすいブースターとしての使い方です。使う順番としては洗顔を終えたあとにアルガンオイルを数滴⇒化粧水⇒乳液がおすすめです。もっと簡単に済ませたい方は、化粧水や乳液と手のひらで混ぜて使用していただいても効果があります。

●バスタイムのオイルパックに
お風呂で全身のパックとしてアルガンオイルを使う方法もおすすめです。 体や顔の汚れを落としたあと、保湿したい部分にアルガンオイルを塗ってから湯船にただ浸かるだけという方法ですが、これだけでお肌がしっとり潤うので手軽に全身ケアをしたい方にはぜひ試していただきたい活用法です。

●ヘアケアに
乾燥は顔や体だけではなく髪の毛にも大きく関わってくるので、髪の毛にもぜひ使ってみてください。紫外線は髪へのダメージになるので良くないと言われていますが、アルガンオイルを2～3滴髪になじませてから外出することで紫外線予防効果も期待できるうえ、一日中艶髪が持続します。

また寝る前にアルガンオイルを数滴髪に浸透させると、枕やシーツの摩擦から髪を守って乾燥しにくくなるので、寝癖がつきにくい髪になります。

●全身のケアに
オイルと聞くとぎっとりベタつくイメージがあると思いますが、アルガンオイルは他のオイルと違って塗ってすぐ浸透するタイプなので、ベタつきにくく保湿が持続しやすいという特徴があります。ネイルケアやかかと、肘などどんな場所にも使いやすいので、それぞれの悩みに合わせてアルガンオイルを使ってみてください。

●メイク直しに
最近スプレータイプのメイク直しをよく見かけますが、水分を足してメイクを直そうとするとそれまでのメイクが崩れやすくなるので、油分を足してメイク直しをする方法をおすすめします。メイク直しをしたい場所にアルガンオイルを数滴垂らして化粧を重ねたほうが失敗しにくく、仕上がりが綺麗になるメリットがあります。

Q　アルガンオイルの保存方法は？
A　直射日光を避けて保存、でOK！

アルガンオイルはオイルの中でも比較的酸化しにくいオイルではありますが、直射日光を当ててしまうとどうしても品質は劣化しやすくなります。ですので、直射日光に当てないように保存して、可能であれば容器をアルミ箔で覆うか外側がアルミパウチタイプの製品を選ぶとさらに酸化を防げるのでおすすめです。

Q　どんな肌タイプの人にも使えますか？
A　オイリー肌、ニキビ肌の人は要注意。

基本的にはどのような肌タイプの方でも安心して使っていただけるものですが、油分が多めな肌質の方は避けたほうがいいかもしれません。どんなにいいものでも人によって合う合わないは必ずあるので、ほかの肌質の方も一度使用してみて、合わないと感じた場合はすぐに使用を中止してください。

また、美容オイルといっても多量使用は肌トラブルの元なので、使用量の目安を守って正しく安全に使用してください。

Q　油焼けはしませんか？
A　大丈夫です！

そもそも「油焼け」というのは、油分が太陽の紫外線に当たって酸化が進むことで、それが色素沈着やしみにつながってしまうのですが、この酸化というのは不純物や鉱物が入ったオイルのみに起こる反応なんです。アルガンオイルは植物から直接抽出された純度の高いオイルで、植物由来のオイルは日光に対する耐性が強いため油焼けが起こる心配はありません。

ただ、アルガンオイルには純度100%のものもあればいろいろな成分を足して作られたものもあるので、純度が高いものを選んだほうが後々のトラブル回避という意味でもいいと思います。

アルガンオイルは、品質の高いものを正しく使用すればあらゆる肌悩みの心強い味方になってくれます。

もしこれまでアルガンオイルを使ったことがない人や、以前試してあまり効果を実感できなかった人がいらっしゃれば、ぜひこの機会にアルガンオイルを使ってそのよさを実感してみてはいかがでしょうか？

※記事の情報は2021年8月24日時点のものです。