【きのこマイスター監修】きのこ鍋の驚くべき美容・健康効果と栄養満点レシピ
手軽に食べられておいしいきのこは、健康にもダイエットにも嬉しい効果が期待できる身近なスーパーフードです。きのこ別の特徴やきのこ鍋を作るときに注意すべき点など、さまざまな疑問をきのこマイスターの資格を持つ管理栄養士・松原さんにうかがいます。うま味たっぷり簡単レシピもご紹介!
食物繊維が豊富で栄養もたっぷり、身近なスーパーフードとして人気の「きのこ」。きのこはいつでもスーパーで手に入れることができ、価格もリーズナブルなことから、日常的に取り入れられる「菌活」として注目を集めています。
そんないいことづくめのきのこですが、そもそもどんな健康効果があるのでしょうか? 今回はきのこのプロ「きのこマイスター」の資格を持つ管理栄養士・松原郁実先生にきのこの魅力と、簡単おいしいきのこ鍋レシピを教えていただきます。
この方にお話をうかがいました!
松原郁実 先生
管理栄養⼠。⾼崎健康福祉⼤学健康福祉学部を卒業後、健康保険組合等で⽣活習慣改善カウンセリングや健康教育業務に従事し、働く⼈たちの健康づくりと企業の健康経営を推進。さらに、⾷と栄養の⾯から「健康づくり」を展開するため、各種メディアのコラム執筆、栄養監修、⾷⽣活セミナー講師など多⽅⾯で活動。きのこマイスタ―、スーパーフードマイスター、健康経営アドバイザー、第⼀種衛⽣管理者。 著書:今⽇から始める認知症予防トレーニング―運動と⾷事で健康寿命をのばす!―(ほおずき書籍)
なぜきのこは健康や美容にいい? きのこ鍋の効果
――まずは、きのこが美容や健康に効果的な理由を教えてください。
きのこ全般に言えることですが、栄養成分が豊富で、特に食物繊維とビタミン、ミネラル成分が他の食材に比べ非常に優れています。なおかつたくさん食べても低カロリーで、美肌や免疫力のアップにも効果があるので、体型や美容を気にする方にはとてもおすすめな食材です。
また、糖尿病や脂質異常症(高脂血症)など近年増えてきている生活習慣病に役立つという結果も出ているので、健康に気を使う方にも積極的に摂っていただければと思います。
――きのこの持つ力ってすごいんですね。きのこを鍋にして食べるのはいかがでしょうか?
きのこ鍋はたくさんメリットがありますよ! まずひとつめは、菌活も温活もできるということ。これからどんどん気温が下がってきて冷え性で悩まれる方も多いと思うのですが、冷えの原因の多くは血行不良なんです。血行不良の改善には、温かい食べ物を積極的にとることが効果的です。
――体の内側から血行促進させることが大事なんですね。
特に女性の体は冷えやすい構造になっているので、きのこ鍋はすごくいいんですよ。それにきのこは秋が旬ってよく言われますけど、別に秋だけじゃなく年中生産されているものなんです。
なので秋冬に限らず、冷房で体が冷える季節や少し肌寒い日でもいつでもぱぱっと作って食べれば体をケアできるので、年中菌活&温活をしていただけるといいと思います。
また、きのこの栄養をたくさん摂取できるというのもきのこ鍋のメリットです。野菜やきのこの一日の目標摂取量は約350gと言われていますが、具体的に表すとバッと開いた両手に山盛り3杯分くらい。
――(両手を開いて)これを毎日はなかなか難しそう…。
そうですよね。でも加熱するとかさが減って食べる量は約半分になるので、生で食べるよりもたくさん食べて栄養成分を余すことなく摂取できておすすめです。
――加熱することできのこの栄養素は失われないのでしょうか?
ビタミンB群とカリウムは水に流れてしまいやすい栄養素なんですが、鍋だったらシメで雑炊やおじやにすれば栄養が溶け込んだスープごといただけるので問題ありません。
きのこ鍋の場合、きのこのうま味成分(グアニル酸)がしっかりとれ、味付けが薄くても満足感が得られます。そのため塩分の取り過ぎが防げ、むくみの解消におすすめです。
きのこ鍋にどれを選ぶ? きのこの種類と健康効果
■エリンギ
エリンギの効果:肌のハリ・ツヤ向上
ビタミンB2の含有量がきのこの中でトップクラスのエリンギ。別名「美容ビタミン」とも呼ばれるビタミンB2は、特に肌のターンオーバーを正常化させる働きがあります。皮膚や粘膜の再生に関わってくるので、肌のハリやツヤのアップにとても効果的です。
■エノキタケ
エノキタケの効果:脂質代謝の改善
エノキタケには、キノコキトサンという成分が多く含まれており、コレステロール値や中性脂肪の改善に役立ちます。
■しいたけ
しいたけの効果:骨粗鬆症予防・便秘解消
しいたけにはビタミンDが多く含まれており、骨の形成に役立つビタミンと言われています。女性は40~50代頃から女性ホルモンの関係で骨が弱りやすくなるので、骨粗鬆症予防としてカルシウムと一緒にビタミンDを積極的に取り入れると予防・改善につながります。
またしいたけにはキャベツの約2倍の食物繊維が含まれているので、便秘の改善にも効果的です。
■まいたけ
まいたけの効果:免疫力の向上
まいたけにはβグルカンという成分が豊富に入っていて、免疫力を高める効果があると言われています。感染症予防や風邪の予防に役立つきのこなので、乾燥するこれからの季節におすすめです。
■しめじ
しめじの効果:疲労回復
別名「疲労回復ビタミン」と呼ばれるビタミンB1が豊富に含まれるしめじは、糖質の代謝をスムーズに促してくれる効果があります。
■なめこ
なめこの効果:生活習慣病全般の改善
独特なぬめりが特徴のなめこには、水溶性食物繊維(ペクチン)が非常に多く含まれています。ペクチンは脂質や糖質の吸収を和らげる働きがあるため、生活習慣病全般の改善に役立ちます。
きのこ鍋を作る前に、知っておきたいきのこの豆知識
Q. きのこは洗う? 洗わない?
A. 「洗わずそのまま」がおすすめ!
諸説あって洗う派、洗わない派がいるのですが、きのこマイスターとしては洗わない方をおすすめします。なぜなら洗うときのこの風味やうま味成分、栄養素が水に流れてしまうから。
最近のきのこってパック詰めされていてとってもキレイなものが多いので、そのまま調理して問題ありませんが、もし汚れが気になる場合は濡れ布巾や水で濡らしたキッチンペーパーで軽く拭けばOKです。
Q. 冷凍したほうがうま味が増すって本当?
A. 本当です!
きのこの栄養成分やうま味成分は固い細胞壁の中に入っているのですが、冷凍することによって細胞壁が膨張して壊れるので、通常のきのこよりも栄養を摂取しやすくうま味も感じやすくなります。食感はきのこによって変化するので、そこはお好みで冷凍してみてください。
Q. 冷凍保存できる期間はどれくらい?
A. 冷凍庫に入れてから約1ヶ月
きのこを数種類ばらしてきのこミックスとして冷凍しておけば、料理の時にぱぱっと使いやすいのでおすすめです。ドリップが出ると栄養素も流れ出てしまうので、きのこミックスを少量使いたいときは、使う分を取り出してすぐ冷凍庫へ。
Q. 冷凍保存に向かないきのこはある?
A. マッシュルーム
先ほどお伝えしたとおり栄養価的には問題ないのですが、しいて挙げるならマッシュルーム。きのこの中で唯一生で食べられるのがマッシュルームですが、冷凍するとかなり食感が落ちてしまうのが難点。美味しく食べる目的であれば冷凍向きではありません。
Q. きのこにおすすめの食べ合わせは?
A. タンパク質系の食材がGood
きのこっていろんな栄養素が豊富に入ったスーパーフードですが、タンパク質は少ないんです。タンパク質は美容や健康に大きく関わってくる大事な栄養素なので、栄養バランスのためにもきのこと一緒にしっかり摂っていただきたいです。
タンパク質が豊富な食材というと、肉、魚、卵、大豆製品などがありますが、鍋はお肉やお魚、豆腐と相性がいいので、きのこがメインの鍋のときも一緒に摂っていただくのがおすすめです。
【管理栄養士監修レシピ】きのこを味わう簡単きのこ鍋
材料
- ※4人分
- エノキタケ 1パック
- まいたけ 1パック
- エリンギ 1/2パック
- しめじ 1/2パック
- しいたけ 4個
- 豚肉薄切り(切り落としでも可) 320g
- 木綿豆腐 1/2丁
- 白菜 1/4個
- 長ねぎ 1本
- 春菊 1/2袋
- にんじん 1/2本
- だし汁 800ml
- ★醤油 大さじ2
- ★みりん 大さじ2
- ★酒 大さじ2
作り方
- きのこは⽯突きをとり、⾷べやすい⼤きさに切る。その他の具材も⾷べやすい⼤きさに切る。にんじんは飾り切りやクッキー型でくり抜くと、見た目も彩りも◎
- 鍋にだし汁4カップと★を⼊れ、豚⾁と春菊以外の材料を⼊れて⽕にかける。沸騰したら豚⾁をほぐしながら加え、⽕が通るまで煮る。
- 最後に春菊を加え、出来上がり!
\おいしく作るポイント/
✓きのこは水から入れる
実はきのこは60~70度でうま味が引き出される食材。沸騰してから入れると十分にうま味が出ないので、きのこは必ず水から!
✓うま味の相乗効果を狙う
数種類のきのこ(グアニル酸)とかつお節(イノシン酸)、昆布だし(グルタミン酸)などいろいろな種類のうま味を組み合わせてよりおいしいきのこ鍋に。
\おすすめのつけダレ/
●ごまダレ
こちらのレシピがおすすめ(市販のものでもOK)
●薬味たっぷりピリ辛ポン酢ダレ
〈材料〉
・ポン酢
・柚⼦胡椒
・七味唐⾟⼦
・ラー油
・万能ネギ
・⼤根おろし
・すりおろし⽣姜
〈作り方〉
① 材料をすべて混ぜ合わせる。
美容と健康の強い味方「きのこ鍋」を食べよう!
栄養たっぷりのきのことタンパク源を豊富に摂れる「きのこ鍋」。今回紹介したきのこ以外にもたくさんの種類があり、食感もまったく違うので、きのこを変えて鍋を作れば飽きずにおいしく食べ続けられるのも嬉しいところです。
手軽に作れて体にいい上、ダイエット効果まで期待できるきのこ鍋で、体の中からキレイになってみてください。
***
~おまけ~
鍋以外にももっとたくさんきのこを食べたい! という方には松原先生のこちらのレシピもおすすめです。
【きのこのカンタン炊き込みご飯(5人分)】
材料
- 米 2合
- しいたけ 4個
- ぶなしめじ 1/2パック
- エノキタケ 1/2パック
- 油揚げ 1枚
- 塩昆布 20g
- 酒 大さじ1
作り方
- きのこは石づきを切り、食べやすい大きさに切る。油揚げは縦半分に切り、1cm幅に切る。
- 米をとぎ、酒を入れたあと、2合のラインまで水を入れる。
- 塩昆布を入れてかき混ぜ、最後にきのこと油揚げを入れて炊飯スイッチを押す。炊きあがったら全体を混ぜ、茶碗に盛る。
※記事の情報は2020年11月17日時点のものです。
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