「パジャマ」で寝起きのだるさや疲れが解消! 目からウロコの安眠術
いくつかの条件を満たせば、パジャマは寝起きのだるさや疲れを解消できる最強の安眠グッズに! これまで 1万人に眠りに関するアドバイスをしてきた快眠セラピストの三橋美穂さんに、パジャマの快眠効果と選び方についてうかがいました。
この方にお聞きしました
三橋美穂さん
快眠セラピスト・睡眠環境プランナー。寝具メーカーの研究開発部長を経て独立。これまでに1万人以上の眠りの悩みを解決してきており、とくに枕は頭を触っただけで、どんな合う枕がわかるほど精通。全国での講演や執筆活動のほか、寝具や快眠グッズのプロデュース、ホテルの客室コーディネートなども手がける。主な著書に『眠トレ!ぐっすり眠ってすっきり目覚める66の新習慣』(三笠書房)ほか多数。https://sleepeace.com/
三橋さんご自身も驚いた「パジャマ」の寝起きすっきり効果
――ジャージやスウェットをパジャマ代わりにしている人が多いと思います。ナイトウェアをパジャマにした方が良い理由は?
三橋 例えば、水泳するときには水着を着るし、ランニングするときにはランニングウエアを着ますよね。睡眠に向いているのは、パジャマです。寝るための衣服として作られているパジャマは、寝返りがしやすいんです。
――寝返りが上手にできるか、できないかで何が変わるのでしょうか?
三橋 寝返りが上手にできると睡眠の質が高まると考えられています。健康な人は一晩で20回~30回の寝返りをします。敷き布団やマットレスとの接触面はだんだん蒸れて熱くなってくるので、その温度調整のために寝返りをするんです。そして、寝返りをしながら体の歪みも整えています。
浅い睡眠と深い眠りが切り替わるタイミングで寝返りが増えることから、睡眠段階を切り替えるスイッチのような役割があり、睡眠の質を高めると考えられています。ですから、寝返りを阻害するようなナイトウエアや寝具は避けた方がいいですね。
――サイズが大きめで寝ている間に動きやすかったら、スウェットやジャージでも大丈夫ですか?
三橋 スウェットやジャージはパジャマと比べると生地が厚く、縫い目がゴワゴワしていて肌へのストレスがありますよね。そして、パジャマより重いです。できるだけ軽くて肌への負担が少ない方が寝ているときにリラックスできますので、寝るために作られているパジャマを着たほうが起きた時に「よく眠れたな」と感じられます。フード付きのスウェットなどは最悪です。首が疲れてしまいますので…。
――三橋さんもかつては部屋着をパジャマ代わりにしていたことがあったそうですね。
三橋 はい。ある時思い立ってパジャマを着て寝てみたら、翌朝カラダが軽くてすごく驚いたんです。部屋着の生地は布団との摩擦が大きくて、寝返りを打つときに掛布団も一緒に動いてしまいカラダに負担がかかっていたのでしょう。パジャマにしたらカラダだけが布団のなかで動くようになり、寝起きの時に感じていた疲労感がなくなりました。
以前テレビでガーゼのパジャマを紹介した時、番組をご覧になった40代の女性が「パジャマを着た方がいいんだと思い、ガーゼのパジャマを探して買ったら朝の目覚めが全然違う」と感激してメールをくれたこともあります。
――私はスウェットを着て寝てるいるんですが、寝起きはカラダ全体が重くて、肩も凝っていることがあります。
三橋 肩が凝るのは、枕が合っていない可能性がありますよ。
――枕が合っていない…。 では、枕も変えないといけないですね。
安眠パジャマの選び方①サイズ~可愛いけれど、チュニック丈はNG!~
――パジャマはS.M.Lなど自分のサイズにあったものを選べばよいですか?
三橋 基本的にご自身にあったサイズをお選びいただくので良いと思いますが、生地に伸縮性がない場合はワンサイズ上を選んだ方が良いですね。サイズについては、大きすぎるのも良くありません。ゆったりしていた方がストレスなく快適に眠れるのですが、大きすぎるとカラダにまとわりついて寝返りが打ちにくくなります。そういった点で、上着が長めのチュニック丈のパジャマはおすすめできません。それと、ウエストの締め付けがきついパジャマもよくないですね。
――ウエストのゴムがきついパジャマがNGということですか?
三橋 はい。締め付けのきついパジャマはストレスになりますし、熟睡できません。睡眠中は皮膚の表面が温かくなり深部体温(カラダの内部の温度)が下がっていきますが、より急速に下がった方が熟睡できます。ウエストが締め付けられていると血行が悪くなり、深部体温が下がりにくくなるため熟睡できなくなるんです。ウエストがきついようでしたら、ゴムを入れ替えた方が良いですね。
安眠パジャマの選び方②おすすめの素材と形
――パジャマとしておすすめの素材はありますか?
三橋 寝ている間は体温調節のために汗をかきますので、吸水性・吸湿性の高い天然素材のパジャマがいいと思います。一番おすすめなのは綿です。価格が手ごろなうえに耐久性もあってジャバジャバ洗濯できますので経済的です。肌にやさしく、吸放湿性が高いシルクもおすすめですが、洗濯方法など取り扱いに注意が必要です。
―シルクを洗濯するのに注意しなければいけない点というと…。
三橋 手洗いやおしゃれ着洗いなど、洗濯する際にちょっと手間がかかるのでお手入れが面倒と感じる人がいると思います。価格面でもシルクは選びにくいということなら、シルクのやさしい肌ざわりと保温性、綿の耐久性と吸水性を兼ね備えた混紡生地「コットンシルク」がおすすめです。
――季節ごとにおすすめの生地はありますか?
三橋 春秋は同じパジャマで大丈夫です。真冬の場合は保温性のあるものが良いので、内側と外側が伸縮性のあるニット生地で、その間にポリエステルの綿が入っているタイプのパジャマが温かくておすすめです。ガーゼを三重にして内側に起毛がかかっているタイプも温かくて冬は快適です。ガーゼは織物で本来は伸縮性の低い生地ですが、最近は伸縮性のあるストレッチガーゼのパジャマも出てきています。
――ガーゼは肌触りは良さそうですが、夏は熱そうですね。
三橋 近年は熱中症予防のためにもエアコンをつけて寝ることが推奨されていて、寝冷えを防ぐためにも長袖長ズボンがおすすめです。ですから、ガーゼでもオールシーズン着て寝られますよ。冬場に外側が起毛しているネル素材などを着る場合は、布団カバーやシーツはツルっとした生地を選んでください。パジャマの外側が起毛していると掛布団やシーツとの摩擦が起こり、寝返りがしにくくなります。
――おすすめの形はありますか?
三橋 冬は首元から冷気が入りにくいように襟が立っていたり、手首や足首がすぼまっていた方が保温性が高くなります。
睡眠の質を上げるには、冬もエアコンをつけたままが良い!
――睡眠環境を整えるという点で、冬場は「ふとんの中」か「部屋全体」、どちらを温めるのがよいのでしょうか?
三橋 部屋全体を温めた方がいいですね。夏にエアコンをつけたまま寝るように、冬もエアコンをつけて18℃以上を保つのが理想です。寒いと「掛布団を増やして乗り切ればいい」と思いがちですが、それは間違いです。
布団の中は33℃程度で、体温よりちょっと低い温度なんです。冬にエアコンをつけずに寝て室温が10℃だとします。そうすると、夜中や朝にトイレに起きたときは布団の中と室内の温度差は20℃以上になります。ご自宅に高齢者がいらっしゃる場合は、ヒートショックを起こす可能性が高まるので、とても注意が必要です。
特に、このコロナ禍では風邪をひきたくないですよね。体調管理がとても大切な時期ですので、ぜひ暖房をつけたまま就寝されることをおすすめします。乾燥が気になる場合は、加湿器をつけて寝てください。私はかなり寒がりなので、冬場は20℃に設定して寝ています。室内を23℃~25℃に保てていればパジャマはオールシーズン同じパジャマでも大丈夫ですよ。
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お出かけ用に着られなくなった外出着や部屋着をパジャマ代わりにしている人は、この機会にナイトウエアをパジャマに替えて「寝起きの爽快さ」を実感してみてはいかがでしょうか?
最後に三橋さんにおしえていただいたパジャマ選びのポイントをおさらいしておきます。
□締め付けがないか?
□吸湿性が良いか?
□肌触りが良いか?
□ゆったりしていて動いた時につっぱり感がないか?
□寝返りした時に生地が巻き込まれないか?
パジャマ選びの参考にしてくださいね。
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※記事の情報は2020年12月25日時点のものです。
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