「ストレートネック」を改善して頭痛や肩こり、不眠症の原因を解消!
スマホやPCが欠かせない生活の中で増えている「ストレートネック」。「スマホ首」とも呼ばれ、日本人の半数以上、なかでも女性の発症率が高いと言われているストレートネックの原因と対処法を専門家に聞きました。
ストレートネックは、頭痛、肩こり、眼精疲労、自律神経の乱れの原因に
――ストレートネックとはどんなものなのでしょうか?
田代 首の骨(頸椎)は7つあり、本来であれば緩やかなカーブを描いていますが、このカーブがなくなりまっすぐになってしまうのが「ストレートネック」という状態です。
橋のアーチ構造が衝撃を緩和するのと同じように、頸椎のカーブは頭の重さ支える首への負担を軽くするクッションの役目があります。しかし、骨がまっすぐになってしまうことで、首や肩へにかかる負担が大きくなってしまうのです。
―――ストレートネックになると、体にはどんな影響がでてきますか?
田代 成人の場合、頭の重さは4~6㎏程あり、頸椎のカーブがなくなると首や肩、肩甲骨周りにこの重さがダイレクトに伝わります。筋肉は常に緊張した状態になり、慢性的な首こりや肩こり、時には痛みを感じることもあります。
首周りの筋肉が緊張して硬くなると、血管が圧迫され、脳へと送られる血液の循環が悪くなります。その結果、緊張型頭痛などの一次性頭痛を発症しやすくなります。
頸椎の関節には多くの神経が通っているため、眼精疲労や自律神経のバランスが崩れる原因にもなります。
ストレートネックは女性に多い! その理由は?
――ストレートネックになってしまう原因は?
田代 スマホやPCなどの長時間使用によって姿勢が悪くなることが主な原因です。前かがみの姿勢は首の全面にある筋肉が緊張するため、頸椎のアーチが崩れやすい姿勢です。また、猫背気味の人はストレートネックになりやすいと言われています。猫背は骨盤が後ろに倒れてしまっている状態で、バランスを保つために自然と顔が前に移動しやすくなります。この姿勢が長く続くことで頸椎のアーチが崩れ、ストレートネックになってしまうのです
他にも、合っていない枕を使うこともストレートネックの原因になることがあります。特に高すぎる枕を使用すると頸椎が圧迫され、アーチが失われやすくなります。朝を起きた時に首や肩が痛い…という人は要注意です。
――ストレートネックは女性に多いと聞きますが、なぜでしょうか?
田代 女性は筋肉量が少ないため、首や肩にかかる重さに耐えきれないというのが一番の原因だと思います。関節が柔らかいことやハイヒールを履くことで、姿勢が前傾になりすいというのも関係していると思います。マッサージやストレッチをしても、首や肩のコリがよくならない、慢性的な頭痛があるという人はストレートネックを疑ってみたほうがいいかもしれません。
「ストレートネック」セルフチェック!
――ストレートネックかどうかを確かめる方法はありますか?
田代 正確な診断をするにはクリニックや整骨院で診てもらう必要がありますが、ストレートネックの可能性があるかどうかはセルフチェックでもわかります。
簡単にできる方法がありますので、やってみてください。
【ストレートネックセルフチェック①】
壁に沿って立ち、おしり、肩甲骨の順番で壁に体をつけます。
①後頭部が壁から少し離れているが意識すればつく。
②後頭部が壁から離れている。壁につけようとするとつらい感じがある。
①はストレートネック予備軍、②はストレートネックの状態です。
【ストレートネック セルフチェック②】
鏡で自分の横顔をチェックして、耳が肩より前に出ている状態ならストレートネックの可能性があります。耳と肩は一直線上にあるのが正しい姿勢です。
「緩める」「整える」「鍛える」の3ステップで、ストレートネックを改善
――ストレートネックを改善するにはどうしたらいいのでしょうか?
田代 軽症の場合やストレートネック予備軍の方は姿勢の改善やストレッチなどを意識して行うことで、症状がよくなることがあります。ストレートネックの改善は「緩める」「整える」「鍛える」の3つのステップで改善していきます。
ステップ1「緩める」
肩甲骨は、首や背中、鎖骨、腕とつながっているので、この肩甲骨の動きが悪くなると、コリや痛みがひどくなります。まずは肩甲骨の緊張を「緩めて」可動域を広げることで血行も促進されます。
【簡単ストレッチで肩甲骨を緩める】
①両手の指先を肩の上に置きます。
②そのままゆっくりと肘を上げて、後方に回していきます。
③回しながら肘を横に広げ、少し下に下げるようにします。肩甲骨が中央に寄っているのを意識しながら行いましょう。
➃ぐるっとひと回しして、最初の姿勢に戻ります。①~④を5回程度繰り返します。
ステップ2「整える」
肩甲骨を緩めて可動域が広がった状態で、ストレートネックになってしまった頸椎のカーブを整えます。タオルを丸めた「枕」を首の部分に当てます。タオルの丸みによって、頸椎のカーブを戻すように「整える」効果があります。就寝前にやるのもおすすめです。つらくなければタオル枕のまま寝てしまっても大丈夫です。
①バスタオルを丸めて両端をゴムで止め、棒状にした「タオル枕」を作ります。ストレートネックの状態によって、ちょうどいい大きさが違うので痛みを感じない程度に調整します。
②枕を首の下に置き、両手を横に広げます。この姿勢を30秒程度キープします。
③次に手を上にあげ、バンザイの姿勢をとり、30秒程度キープします。
ステップ3「鍛える」
ストレートネックの人は前傾の姿勢になっているので、体の前側の筋肉に負担がかかり、姿勢が崩れやすくなります。首の筋肉を鍛えるのは難しいのですが、首や肩甲骨ともつながっている「鎖骨」周りの筋肉を鍛えることで正しい姿勢を作りやすくなります。
①胸の前で手を合わせて軽く押し合うようにします。
②10秒ほどキープして力を緩めます。
③これを3~5回程度繰り返します。
ストレートネックを改善する生活習慣とは?
――ストレートネックを改善するために、日々の生活でどんなことに気をつければいいのでしょうか?
田代 ストレートネックは姿勢の崩れが原因です。スマホやPC使用時もできるだけ前かがみにならないことが大切です。「スマホを見る時は顔の高さに持ってくる」「高すぎる枕は使わない」などの意識を持つことで違ってきます。
PC作業は1時間に1回の休憩をはさみ、ストレッチなどをして筋肉の緊張をほぐすようにしましょう。
この方にお聞きしました
日本橋中央整骨院 院長 田代 貴大さん
根本となっている原因を見極め、痛みやコリを取り除く治療で人気の整骨院。ストレートネックの治療をはじめ、猫背矯正や筋膜リリース、リンパトレナージュなども行っている。
※記事の情報は2020年10月16日時点のものです。
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