好調の「ファミペイ」、開発担当者が目指したものとは?

ファミリーマートが2019年7月から開始したバーコード決済機能付きアプリ「ファミペイ」。好調なスタートを切ったこのサービスの魅力とは? 開発担当者にお聞きしました。

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現金の代わりにカードやアプリを使用するキャッシュレス決済の動きが加速しています。特に2019年10月に予定されている消費税増税後、キャッシュレス決済に対して最大5%のポイント還元を行うことで消費者の負担を軽減する施策も発表されており、注目が高まっています。今回はファミリーマートが2019年7月に開始したばかりのバーコード決済機能付きアプリ「ファミペイ」について、シニアオフィサー 経営企画本部 デジタル戦略部長の植野大輔氏に伺いました。

バーコード決済機能付きアプリファミペイ
バーコード決済機能付きアプリファミペイ

 

ファミリーマートのお客様を観察、便利を追求したファミペイ

――「ファミペイ」プロジェクト始動の際に、まず大切にしたことはなんでしょう?

植野 私たちがキャッシュレスに取り組むうえで考えたことは、レジでのお支払いの際にお客様が取り出すものが、「お財布か、それともスマートフォンか」ということでした。慎重に検討を重ねた結果、「スマートフォンだけで完結できるコード決済なら、サービスを拡充しつつ、何よりも便利に支払いができる」という見解に至りました。

現代人にとって、スマートフォンは常に持ち歩くものですし、それを用いるコード決済は、従来のキャッシュレスよりも短時間で会計を済ませることができます。

植野大輔氏
Tシャツのクマの名前は「ファミッペ」。性別や年齢を問わず、あらゆるお客様に利用してもらうデジタルサービスの象徴として考えたという、ファミペイの公式キャラクター

ファミペイの特徴とは?

――「スマートフォンで完結」とは具体的にどういうイメージですか?

植野 スマートフォンで決済ができるというだけでは、「使いやすいキャッシュレス」とは言えません。なぜならレジで行われるのは、支払いだけではないからです。レシートや割引クーポン、ポイントカードなどのやり取りもあります。

支払いをスマートフォンで済ませたとしても、「レジで受け取った紙のレシートやクーポンを財布にしまう」「割引を受けるために、財布のなかから紙のクーポンやポイントカードを探して取り出す」といった手間がかかってしまえば、キャッシュレス決済の利点は半減します。

それらを踏まえたうえで、お得で便利で、しかも楽しいサービスを目指して開発したのが、「バーコード決済機能付きアプリ」である「ファミペイ」です。ファミペイは、バーコード決済「FamiPay」、ポイント、クーポン、ゲームなどの機能を備えたオールインワンのアプリとなっています。ファミペイを使えば、アプリの起動画面をレジで提示するだけで、バーコード決済ができますし、購入履歴やクーポンはアプリで管理されます。

アプリを開けばすぐに「このクーポンが使える」と分かりますから、紙のクーポンをお財布から探し出す必要はなくなりますし、紛失することもありません。

――ファミペイの特徴について、より詳しくお聞かせください。

植野 私たちが強くアピールしていきたいのは、ファミペイは単なる「スマホ決済アプリ」ではなく、「バーコード決済機能付きアプリ」として開発した点です。その判断に至った理由としては、アプリを通したお客様との新しい接点を持ちたかったという思いが挙げられます。

たしかに、バーコード決済がファミペイのメイン機能であることは間違いありません。しかし、その機能だけでは支払いが「便利」になるだけです。そこでファミペイは、お客様に買い物を楽しんでもらうために、ゲームやスタンプ、ポイントなど、さまざまなコンテンツを盛り込んでいます。

先ほど挙げた、クーポンをいつでも確認し、利用できる機能もそのうちの一つですが、それ以外にも、商品の無料クーポンが当たるゲームをプレイすることができます。また、秋頃からは「コーヒーの回数券」の販売を予定しています。これは、10杯分の料金でコーヒーを11杯購入できるサービスとなっております。

この回数券の魅力は、友人や知人、家族にSNSなどを通して「購入した回数券をプレゼントできる」という点です。これにより、会議に参加する同僚にコーヒーをプレゼントするなどのコミュニケーションをとることができます。

回数券はコーヒーだけでなく、ファミチキなどさまざまなものを追加していく予定です。さまざまな回数券を揃えることで、「学校帰りのお子様にファミチキの回数券をプレゼントする」など、家族間の交流が生まれればいいなと考えています。

ファミペイ画面

ファミペイはこんな使い方も!

――ほかにもお得なサービスはありますか?

植野 ファミペイで支払えば、通常0.5%のボーナスが還元されます。また電気料金などの公共料金もファミペイで支払うとボーナスが還元されます。収納代行では、通常の0.5%還元は適用されないのですが、その代わりに一部の収納代行を除き1件につき10円相当のボーナスを還元しております。

そのほかにも、2019年の8月からは、割引対象商品をFamiPayで購入する際に、さらにボーナスを還元するキャンペーンを実施予定です。

――おすすめの使い方はありますか?

植野 店舗によってはセルフレジが設置されています。店員が立っているレジは行列ができやすいのですが、セルフレジは空いていることが多く、ファミペイを使えばスムーズに支払いができます。11月になれば、ファミペイがさまざまなポイントカードに対応しますので、セルフレジでの支払いがもっとお得で便利になります。

私たちにも意外だったのが、ファミペイのゲームです。当たりが出ると商品の無料クーポンがもらえるゲームを用意したのですが、当選された方はかなりの確率でクーポンを引き換えに来てくださっています。

登録簡単!わずか3項目の入力でOK

――スマホ決済はセキュリティが不安、という方もまだ多いのではと思いますが、ファミペイではどんな対策を?

植野 最近では、さまざまなお店でさまざまなQRコード決済、バーコード決済を扱うようになりましたが、実はこれらを最初に扱ったコンビニはファミリーマートです。そのため、世の中でQRコード決済、バーコード決済に一気に盛り上がった瞬間を17000店舗で体験しています。

これにより、レジでの作業がどう変化するのか、セキュリティ対策には何をすればいいかといったさまざまな知見を先駆けて蓄積できました。私たちはこの経験をもとに、「多少サービスを犠牲にしたとしても、お客様の安心安全を絶対に守ろう」という考えで取り組んでいます。

まずは登録時の個人情報を少なくしています。お客様の立場で考えると、個人情報の提供は極力避けたいものです。ファミペイでは、電話番号でSMS認証を行った後、「性別」「生年月日」「郵便番号」の3項目を入力するだけで登録は完了しますので、名前や住所、メールアドレス、趣味や嗜好などの情報を入力する必要はありません。

ファミペイのチャージ方法もセキュリティを考慮して決定しました。ファミペイは現金、もしくはクレジットカードでチャージすることができますが、対応しているクレジットカードはファミマTカードだけです。その理由は、万が一、お客様に損失が発生した場合に、私たちが責任を持って対応できるようにしたいからです。ファミマTカードであれば、ファミリーマート自身が監視の目を光らせることができますし、問題が発生した際にも迅速に対応できます。

現金でチャージしている場合でも残高が3万円以上あれば、決済の際にパスコードが求められるようにしています。万が一スマートフォンを落として第三者の手に渡ったとしても、不正利用がされにくい仕様にしているのです。

今後ますます便利になるファミペイ

――今後の展望をお聞かせください。

植野 2019年7月現在、全国のファミリーマート、ネット通販サイト「Kaema」で利用可能なファミペイですが、今後はより多くの企業と提携することで、利用可能な店舗を増やしていきたいと考えています。さらに、現金、クレジットカードでのチャージに加えて、銀行口座からのチャージを可能にすることも予定しています。

また11月中旬にはdポイント、楽天スーパーポイント、Tポイントとのアプリ連携を予定していますので、支払いのときにポイントカードをご提示いただく必要もなく、ファミペイで決済すれば自動的にポイントがたまるようになります。つまり、ファミペイを利用することによって、「キャッシュレス」を超えた、「お財布レス」が実現するわけです。

ファミペイはまだサービスを始めたばかりで、登山に例えればまだ1合目にたどり着いた段階。ですから今後も改善も行っていきます。「クーポンのミスマッチをなくす」ことも改善点のひとつです。ミスマッチを直していくことで、お客様にとってのクーポンの魅力をより引き上げていきたいと考えています。

――最後に読者の方にメッセージをお願いします。

植野 ファミペイは今後もサービスを拡充したり、キャンペーンを展開していくことで、「お得」で「便利」で「楽しい」アプリを目指しています。ファミリーマートでお買い物をする際には、ぜひファミペイをご利用していただきたいと思います。

この方にお聞きしました

植野大輔さん

【株式会社ファミリーマート シニアオフィサー 経営企画本部 デジタル戦略部長】 三菱商事株式会社(情報産業グループ)に入社。在籍中、CVS事業にも従事。その後、ボストンコンサルティンググループ(BCG)を経て、株式会社ファミリーマート入社。改革推進室長、マーケティング本部長を歴任後、2019年3月より現職。ファミペイなど自社デジタル顧客基盤をベースとしたデジタル戦略を手掛ける。

植野大輔さん

※記事の情報は2019年7月29日時点のものです。
 

バーコード決済機能付きアプリファミペイ
バーコード決済機能付きアプリファミペイ

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