その白髪、シャンプーが原因かも? 30代からの白髪との正しい付き合い方
見た目年齢に影響する白髪。一度生えてしまったら、黒髪には戻せないと思っていませんか? 白髪は日々のケアで防ぐことも減らすこともできるそうです。1万人以上の頭皮と髪をみてきた頭髪専門家に、白髪の正しいケアについてうかがいました。
この方にお聞きしました
辻 敦哉さん
ヘッドスパ専門店PULA(プーラ)代表。2011年4月にヘッドスパ専門店「PULA」をオープン。95%以上の人たちの髪のコンディションを改善して超人気店となり、半年以上予約が取れないほどに。著書に『世界一簡単な髪が増える方法』(アスコム)『白髪は防げる!』(かんき出版)がある。現在は、後進の育成に力を入れ、プーラ式ヘッドスパ専門店として、神奈川、埼玉、栃木、愛知、兵庫、大阪に、ヘッドスパ専門店をプロデュースしている。
30代の白髪の原因は「血流不良」「栄養不足」「電磁波」
ヘアカラーを販売する「ホーユー株式会社」の調査によると、白髪のある女性の約7割が30代に初白髪を経験しているという結果が出たそうです。白髪は見た目年齢に大きく影響します。30代は10年、20年先まで美しい髪を保つための重要な分岐点であり、白髪予防ケアを本格的に始めたい年代でもあるのです。
ご自身のサロンで多くの女性の白髪と向き合ってきた辻さんは「白髪対策は早めにした方が効果が出やすく、正しいケアで白髪は黒髪に戻る可能性がある」とおっしゃいます。しかも、コロナ禍のマスク生活も白髪になりやすい原因になっているようで…。まずは、辻さんに白髪の原因について教えていただきました。
――30代の白髪の原因として多いのは?
辻 白髪の原因は加齢や遺伝で一度生えてしまったら黒髪にはならないと思われていますが、加齢や遺伝は「白髪になる要因のひとつ」でしかなく、白髪のほとんどの要因は「ストレスによる血流不良」「栄養不足」「電磁波」にあると思っています。これらを改善したことで、白髪が黒髪に戻ったケースをたくさん見てきました。
――「ストレスによる血流不良」が白髪の原因になる理由は?
辻 自律神経には交感神経と副交感神経があり、交感神経が優位になると血管が収縮し、副交感神経が優位になってリラックス状態になると血管がゆるみます。交感神経と副交感神経がゆるやかに入れ替わり自律神経が整った状態であれば、血液はスムーズに毛根まで運ばれて健康な黒髪が生まれます。睡眠不足などにより交感神経が優位に働く時間が長くなると、血流が悪くなって毛根まで酸素や栄養が届きにくくなるため、白髪などのヘアトラブルが起こるのです。
本来、髪の色は白く、メラニンという褐色の色素が白い髪を黒に染めます。白い毛を染める色素細胞(メラノサイト)の働きがうまくいかないと、髪の毛は白いままとなり「白髪」になってしまうのです。ストレスはメラノサイトの働きを抑制し、人によっては数日で色素が失われることもあるようです。
――「栄養不足」が白髪の原因になる理由は?
辻 年齢に関係なく、「栄養不足」は白髪の原因となります。「血余」といって、髪は血の余りでつくられていると中医学(中国の伝統医学)では考えられています。血液は生きるために必要な栄養素を全身に運びますが、それらは中枢の臓器から使われていき、髪や爪に行き届くのは最後なのです。つまり、髪に行き届くだけの十分な栄養素がなければ、髪を黒くするメラニン色素が栄養をもらえませんので白髪になってしまうのです。
――髪をつくるために必要な栄養素は?
辻 髪の生成に大きく関係する、ミネラルとたんばく質が一番大事です。メラニン色素の生成に必要なチロシンやアントシアニンなども摂っていただきたいですね。
食事が白髪に影響するエピソードをご紹介しましょう。私の知人男性は毎日黒ごまを食べる習慣があるのですが、その彼が3週間海外に行き、その期間だけ黒ごまを食べずに過ごしたところ、帰国時には白髪が増えていたそうです。黒ごまにはたんぱく質、アントシアニン、鉄分やカルシウムなどのミネラルが含まれています。
――実は私も30代の頃、ハードなプロジェクトの期間に生え際の一部だけ2cmくらい白髪になり、そのプロジェクトが終わったとたんに黒髪に戻った経験があります。その時はストレスが溜まりまくっていて、コンビニのパン、おでん、おにぎりと空腹を満たすだけの食事が中心。徹夜も続いていました。
辻 質量で満腹にしても、栄養が充分摂れていなかったために髪に必要な栄養が届いていなかった。そのうえ、不眠不休で仕事をしていて交感神経が優位に働き、毛根に栄養が運ばれにくい状態だったんですね。髪にとって悪循環が続いていましたが、その状態を終えたら髪に良い状態に戻り、髪の色も白から黒に戻ったんだと思います。
――「電磁波」が白髪の原因となる理由は?
辻 電磁波は、人間の体内に大量の活性酸素を発生させることが知られています。活性酸素は善玉と悪玉があり、善玉は美しい髪をつくるのに役立ち、悪玉は老化や慢性疾患の要因となります。電磁波によって過剰に生まれた活性酸素は毛根にダメージを与える悪玉活性酸素として、白髪が生える原因となります。
電磁波はパソコン、スマートフォン、室内のコンセントの穴などから発生しています。海外に比べ日本は室内の電磁波量が多いのをご存じですか? 日本はコンセントの穴が2つのケースが多く、アースが付いません。海外の場合だと3つの穴でプラス、マイナス、そしてアースが付いています。アースは電磁波を分散させる役割がありますので、アースを使える場合は必ず使うようにしましょう。その他の電磁波対策は下記のとおりです。
●ベッドの近くにコンセントがある場合はベッドと壁を離すことで、寝ている間に浴びてしまう電磁波の量を減らせる。
●分電盤やスマートフォンに電磁波防止シールを貼る。
●IH調理器具から発する電磁波対策として、電磁波を通さないエブロンを利用する。
マスク生活も白髪の原因に?! 今すぐ始めたい! 30代からの正しい白髪ケア
白髪になった髪を黒毛に戻すことはハードルが高い。そこで、辻さんに30代からはじめておきたい白髪対策について教えていただきました。
①塩素対策
辻 速い段階で行っていただきたい白髪ケアは「塩素対策」です。塩素カット機能付きのシャワーヘッドに変えることをおすすめします。水道水に含まれる塩素は、頭皮の常在菌のバランスを変えてしまいます。白髪を改善しようと思うと、髪に栄養を入れることに意識が向きがちですが、人によって髪に合う栄養素は違います。塩素は全ての人に悪影響を及ぼすことは明らかですので、「頭皮に毒を入れない」という考えにシフトしていただくのが最善であり、コストパフォーマンスも良いです。シャワーヘッドは「塩素カット機能」が付いていれば、低価格のものでも問題ありません。
②シャンプー
辻 その次に、シャンプーを見直してください。シャンプーの約7割は水と洗剤でできています。つまり、水と洗剤が髪に良い影響を与えなければ、どんなに高価なシャンプーでも髪にとって良いシャンプーではありません。シャンプーには石油系・高級アルコール系・アミノ酸系などがありますが、健康な髪と地肌のためには天然の植物から作られた「アミノ酸系シャンプー」を使いましょう。
――「アミノ酸系シャンプー」はどうやって判断すればよいですか?
辻 「ココイル○〇」「〇〇タウリン」「〇〇ベタイン」など成分を覚えてもいいですが、それが面倒な場合はシャンプー液が透明で価格が1,000円以上のものがアミノ酸系である場合が多いです。
③天然塩を摂る
辻 最後に大切なのは栄養です。まずは調味料を見直していただきたいですね。「さ・し・す・せ・そ」のなかでも、塩が一番大事です。塩分控えめという時代になっていますが、塩に含まるミネラルは健康な髪を作るうえでとても重要な栄養素です。なかでも、天然塩はものすごくミネラルが豊富!ミネラルはあらゆる栄養素の器みたいなもので、この器に穴が空いていたらビタミンなどの栄養素が入ってきても吸収が滞ってしまいます。天日干しされた海水の塩、太陽光をたっぷり浴びた天然塩を摂っていたただくことをおすすめします。
④マッサージ
――コロナ禍で、20代でも白髪に悩む人が増えているようですが…。
辻 そうですね。マスク生活で会話が制限されて、表情が乏しくなり頭の筋肉を動かせていません。頭の筋肉が固まってしまうと、白髪になりやすくなります。
【頭皮の血流アップ】
もみあげの上あたりに頭部最大の血管供給器官である「側頭動静脈」があります。この血管に平行してリンパ管なども走っているので、ここをほぐすと頭部全体の血流が良くなります。歯をぐっとかみしめた時、もみあげの上あたりにぷくっと膨らむ場所がありますので、そこを親指でほぐしてください。1回1分程度、1日3回程度行います。
【目のストレッチで頭皮を伸ばす】
①眼球を天井に向けて、数秒間維持します。
②その後、眼球を床に向けます。
③この動作を数回繰り返します。
眼球を上にぐーっと持っていくと、頭部全体の筋肉が引っ張られて頭頂が痛くなってきます。その後眼球を下に向けると伸びていた頭の筋肉が伸びてきます。目を動かすだけでできる頭皮マッサージです。トイレに入った時に、行えば習慣化できます。
\生え際の白髪は、顔のむくみが原因かも!?/
――生え際や髪の分け目など、局所的な白髪には何らかの原因があるそうですね。
辻 顔がむくむと重力で肌が下がりますよね。そうすると生え際がピーンと引っ張られますので、生え際の血流が悪くなります。生え際にしか白髪が生えていない場合は、遺伝や加齢というより顔のむくみが原因だと思います。
髪の分け目にだけ白髪が生える場合は、紫外線による影響が高いので、分け目を変えたり、外出時は日傘や帽子を使う、または顔・肌用でも良いのでUVスプレーを頭全体にかけるなどのケアをおすすめします。
白髪になってしまったら…。染める、抜く、切る どれが一番最善ですか?
辻 白髪が数本しか生えていない場合は、黒髪に戻る場合もあるので根元から「切る」のが一番良いですね。白髪の量が増えてきたら「染める」のが良いと思います。「抜く」のはおすすめしません。
染める場合は、へアマニュキアやヘナ、使うたびに白髪が染まっていくカラートリートメントから始めるのが良いと思います。白髪染め(ヘアカラー)の場合、黒髪も染めてしまうため、毛が伸びてくると色の境目がはっきり出ます。30代から白髪染めを初めてしまうと、白髪染めループから抜けられなくなります。極端なケースでは2週間に1度白髪染めのために美容院に行く人もいますが、これだとお金と手間がかかり大変です。
ヘアマニュキュアやヘナなら、黒髪に色が入らず白髪だけを染めますので黒髪との境目が目立ちにくく、2か月に1回程度のお手入れで済みますし、カラートリートメントはシャンプー後に使う白髪染め効果のあるトリートメントですから、自宅で毎日気軽にケアできます。
「白髪」の悩みは永遠に続く…。だから、「増やさないケア」は早いほどいい!
50歳、60歳になっても「白髪を増やしたくない」と辻さんのサロンを訪れる女性は後を絶たないそうです。10年、20年先も美しい髪を保つためには、30代からの白髪予防ケアが大切。生活習慣やケアの方法を見直して、早い段階で白髪対策をしておきたいですね。
▼辻 敦哉さんの白髪対策 専門の本▼
※記事の情報は2021年9月7日時点のものです。
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