白浮きしない、日焼け止めの効果的な塗り方は? 美容のプロに聞きました
シミやシワの原因になる紫外線ケアに欠かせない「日焼け止め」。クリーム、ミルク、ジェル、スプレーなど種類によって効果や使用目的が違うのをご存じですか? 日焼け止めの効果的な使い方についてご紹介します。
この方にお聞きしました
石井淳子 さん
エステティシャン。ニキビや肌トラブルに悩んだ経験からスキンケアに興味を持ち美容の世界へ。現在は都内に2店舗のサロンを経営している。
日焼け止めには、どんな効果があるの?
――日焼けをすることによる肌への影響は?
石井 肌が老化する原因の8割は紫外線による影響だといわれています。紫外線を浴びると活性酸素が発生し、肌の弾力を保つコラーゲンやエラスチンを破壊してしまうためシミやシワなどのエイジングのサインが現れます。日焼け止めには紫外線から肌を守りダメージを軽減する効果があるので、日焼け止めを塗ることは肌の若々しさを保つことにつながります。
――なぜ、日焼け止めで紫外線を防ぐことができるのでしょうか?
石井 紫外線を防ぐ成分には「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」の2種類があり、日焼け止めにはこれらのどちらかが含まれています。一概にどちらがいいとはいえませんが、それぞれメリットデメリットがありますので目的や肌のタイプに合わせて選ぶのがいいと思います。
●紫外線吸収剤
紫外線を吸収し、熱などの弱いエネルギーに変換することで皮膚に浸透するのを防ぐ。ごくまれにアレルギーを起こす人もいる。
【成分】
・メトキシケイヒ酸オクチル
・ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸オクチル
・ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル
・t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン
など
●紫外線散乱剤
散乱剤(パウダー)を塗ることで、紫外線を肌表面で反射・散乱させて日焼けを防ぐ。粉体の色が白いため「白浮き」することがある。
【成分】
・酸化チタン
・酸化亜鉛
――日焼け止めに表示されているSPFやPAとは?
石井 紫外線には「A波(UVA)」「B波(UVB)」「C波(UVC)」があります。肌に影響を与えるのはUVAとUVBで、UVCはオゾン層で吸収されて地上には届きません。
UVAは肌の奥深くまで届き、肌のハリや弾力を失わせるとともに肌を黒くする作用があります。UVBは日焼け後に肌がひりひりしたり赤くなるなどの炎症をひき起こし、シミの原因となる紫外線です。
日焼け止めに表示されているSPFとPAは、UVAとUVBを防ぐ効果を示した数値です。
●SPF
UVBを防ぐ指標で、紫外線をカットする効果が続く時間を示した数字。SPF1=20分を基準としている。
●PA
UVAを防ぐ数値で+(ワンプラス)から++++(フォープラス)まであり、+が多いほど防御力が高い。
日焼け止めの種類について
――日焼け止めにはいろいろな種類がありますが、その違いは?
石井 ジェル、ミルク、クリーム、スプレーなど様々なタイプがありますが、紫外線防止のために配合されている成分に大きな差はありません。テクスチャーやシーンによって使い分けるのがおすすめです。
●ジェルタイプ
水分が多くさらっとした感触。のびが良く塗りやすいのが特徴。べたつきが苦手な人や塗ってすぐにメイクをしたいときに便利。デイリーに使いやすいタイプ。
●ミルクタイプ
水分と油分がバランス良く配合されているミルクタイプ。しっとりした使い心地でべたつきも少ないのでメイク前にも使いやすい。油分が配合されているので汗や水をはじく力があり、デイリーからレジャーシーンまで幅広く使える。
●クリームタイプ
しっとりして肌への密着度が高いのが特徴。油分によって汗や水をはじくので、耐久性があり紫外線防止効果は高め。屋外で過ごす時やスポーツをする時などに向いている。ジェルやミルクに比べるとのびが悪いので、塗りムラができないように丁寧に伸ばすのがポイント。
●スプレータイプ
ミスト状に成分が噴射される。さらっとした感触で顔や体、髪にも使用できる。一度で広範囲をカバーでき、背中などの手が届きにくい場所にもつけやすい。
白浮きしない、日焼け止めの選び方は?
――日焼け止めを塗ると「白浮き」してしまうことがありますが、その原因は?
石井 「紫外線散乱剤」に配合されている粉体が白色なので、光に反射して白っぽく見えるのが「白浮き」の主な原因です。日焼け止めの塗り方によっても白浮きしやすくなるので注意しましょう。「適量より多く塗る」「なじませてない」と白浮きにつながります。
――白浮きを防ぐためにはどんな日焼け止めを選べばいいのでしょうか?
石井 白浮きしにくいのは「紫外線吸収剤」によって日焼けを防止しているタイプ。ただし、敏感肌や肌あれを起こしやすい人には刺激が強いことがあるので成分などを確かめてから使ってくださいね。白浮きしやすいといわれている「紫外線散乱剤」タイプのなかにも、粉体をナノレベルまで小さくして配合している商品もありますので、そうした商品を選ぶと白浮きしにくいと思います。
――日焼け止めを白浮きさせない、塗り方のポイントはありますか?
①塗る前にしっかり肌の保湿を!
石井 塗り方で大切なのは全体にムラのないように伸ばして密着させること。肌が乾燥していると日焼け止めがなじまず白浮きしますので、塗る前に化粧水や美容液で十分に保湿してからつけてください。
②適量を塗ること
石井 量を多く塗りすぎると密着しにくくなり、白浮きすることがありますので適切な分量を塗るようにしましょう。日焼け止めの適量は、ジェルやミルクタイプは1円玉2個分、クリームタイプはパール粒2個分が目安です。
③日焼け止めは手の甲に出す
石井 日焼け止めは手のひらに乗せてから塗る人が多いと思いますが、手のひらは「バリア機能」がないため化粧品が浸透しやすく、日焼け止めが適量より少なくなってしまう可能性があります。そのため、手の甲に乗せてから肌に塗りましょう。
白浮きしない日焼け止めの正しい塗り方~種類別 顔編~
――メイクをする場合の日焼け止めの順番は?
石井 日焼け止め⇒下地⇒ファンデーションの順番で塗ってください。下地効果がある日焼け止めなら、日焼け止め⇒ファンデーションだけでも大丈夫です。
●種類別 正しい塗り方
【ジェル・ミルクタイプ】
①適量(ジェルやミルクタイプは1円玉2個分)を手の甲に出してから指にとり、両頬、額 鼻、あごに置きます。
②中指か薬指を使って全体に伸ばします。まぶたや眉間、小鼻の横などは塗りムラがでやすいので確認しながら伸ばします。
③全体に塗れたら手のひらで顔を包み込み、やさしくハンドブレスして日焼け止めをなじませます。
【クリームタイプ】
①適量(パール粒2個分)を手の甲に出してから指にとり、両頬、額、鼻、あごに置きます。
②中指か薬指を使って顔全体に伸ばします。まぶたや眉間、小鼻の横などは塗りムラがでやすいので確認しながら伸ばします。クリームタイプは伸ばしにくいので、小鼻の横や目の下、フェイスラインなど凹凸のある部分はスポンジを使って塗るのがおすすめです。
③全体に塗れたら手のひらで顔を包み込み、やさしくハンドブレスして日焼け止めをなじませます。
【スプレータイプ】
①顔から10㎝~15㎝ほど離して顔全体につくようにスプレーします。
②小鼻の横や目の下、フェイスラインなど凹凸のある部分には中指や薬指を使い丁寧になじませて密着させます。耳の裏やあご下などはスプレーしにくいので、一度手の甲に出してからつけると塗りムラができません。
③全体についたことが確認できたら手のひらで顔を包み込み やさしくハンドプレスしてなじませます。
白浮きしない日焼け止めの正しい塗り方~種類別 ボディ編~
――ボディに日焼け止めを塗る時の注意点は?
石井 ボディは広い範囲に塗るので、容器から直接肌の上に出すほうが効率よく塗ることができます。1本の直線を描くように腕、脚などパーツを分けて塗りましょう。脚や腕は裏側も忘れずに。塗りたりないと感じたら重ね塗りをしてもOKです。
●種類別 正しい塗り方
【ジェル・ミルク・クリームタイプ】
①容器から直線を描くように肌に乗せてから、円を描くように伸ばしていきます。肘や膝の裏、くるぶし、足の甲の塗り忘れに注意しましょう。
②塗った部分をハンドプレスして日焼け止めをなじませます。
【スプレータイプ】
①肌から10cm~15cmほど離してスプレーします。肘、膝の裏、くるぶし、足の甲の塗り忘れに注意しましょう。
②塗った部分をハンドプレスして日焼け止めをなじませます。
日焼け止めの塗り直しのタイミングと正しい落とし方
――日焼け止めを塗り直すタイミングは?
石井 屋外で活動する場合には2時間~3時間おきに塗り直しをするのが理想といわれています。ボディの塗り直しは簡単ですが、顔はメイクをしていると塗り直しは難しいですよね。顔の塗り直しにおすすめなのはスプレータイプ。メイクの上からつけられるものが多いので使いやすいと思います。ボディにも使えるので私はスプレータイプをバッグの中に入れておいて、気になった時に塗り直しています。
――日焼け止めを落とす時の注意点は?
石井 ノーメイクで日焼け止めだけという時でも、クレンジング、洗顔の順番で落としてください。特にミルクタイプやクリームタイプのように油分が入っているものは肌に残っていると負担になります。日焼け止めには肌に刺激になる成分が入っていることもあるので「落とす」時も丁寧に行ってくださいね。
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日焼け止めは塗り方によって「白浮き」を抑えたり、日焼け止め効果を最大限に発揮することができます。何を使うかも大切ですが塗り方に気を配ることも重要です。しっかり紫外線を防いで美肌をキープしましょう!
参考文献:『紫外線 環境保健マニュアル』環境省 2020年3月改訂版
※記事の情報は2022年4月26日時点のものです。
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