かかとの角質がひどい。原因は姿勢や歩き方にあり⁉ 正しいケア方法は?

かかとの角質がひどく、ケアしてもすぐに角質が厚くなる…。かかとのガサガサの原因は、姿勢や歩き方にあるかもしれません。そこで、ガサガサになってしまったかかとの角質を取る方法を専門医に聞きました。

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この方にお聞きしました

高山かおる さん

済生会川口総合病院皮膚科主任部長。東京医科歯科大学附属病院にて、日本の大学病院では珍しい皮膚科のフットケア外来を開局。一般社団法人「足育研究会」を立ち上げ、足の大切さを社会に伝え、自分の足を自分で守る啓発活動を行っている。

高山かおる さん 済生会川口総合病院皮膚科主任部長。

●足育研究会について詳しくはこちら▼
https://www.sokuiku.jp/
 

かかとの角質がひどい原因①バランスの悪い姿勢

―――なぜ、かかとの角質は硬くなってしまうのでしょうか?

高山 体の全体重がかかるかかとはその衝撃に耐えられるようにほかの部分よりも角質が厚くなっています。顔の皮膚は0.02mm程度ですが足裏は0.2mmとおよそ10倍程度の厚さがあります。また足裏には皮脂腺がないため油分を保持できず乾燥しやすいという特性もあります。

―――角質ケアや保湿をしていれば解消するのでしょうか?

高山 かかとの角質が硬くなったり、荒れるのは乾燥が原因だと思われがちですがそれだけではありません。保湿などのケアをしていてもなかなか治らない、角質が硬くなるという人は歩き方や姿勢が原因になっている可能性があります。人間は全体重をわずかな足裏の面積で支えているので、日々、大きな負担がかかっています。かかとに重心がかかりやすい姿勢になっていると負担が大きくなり、ダメージから皮膚を守るために角質がより厚くなってしまうことがあります。

かかとの角質が硬くなる原因はケア不足より身体の悪いくせによるものであることが多いので、放置しておくと痛みや足の故障にもつながります。美容的な目的だけでなく、健康を維持するためにも根本的な原因を見極めて対処することが大切です。

――姿勢の悪さや重心の偏りが原因というは意外でした。どのような姿勢だとかかとに負担がかかりやすいんでしょうか?

高山 骨盤が後傾しているタイプの人はひざがまっすぐの伸びず、かかと重心になりやすい傾向があります。反対に骨盤が前傾している人も、胸を張ったような姿勢になりかかと重心になります。

かかとの角質がひどい原因①バランスの悪い姿勢

――自分の姿勢を知る方法はありますか?

高山 足を軽く開いて立ち、下を向いたときに何が見えるかで自分の姿勢をチェックすることができます。足先(足の甲から指先)が見えるのが理想の姿勢です。「お腹が見える」と言う人は骨盤後傾タイプ、「胸が見える」という人は骨盤が前傾タイプの可能性があります。

かかとの角質がひどい原因②アーチの乱れ

――姿勢が悪くなる原因にはどんなことがあるのでしょうか?

高山 よい姿勢を保つために必要な「足のアーチ」が崩れているとバランス取れなくなり重心の偏りがおきやすくなります。足には26個の骨があり、それが組み合わさってきれいなアーチ状を形成しています。このアーチによって足裏全体で体を支え、体重を分散して衝撃を吸収しています。

本来はかかと、親指の付け根、小指の付け根の3点で体支えるのが理想で、重心は真ん中にあります。しかしアーチが崩れると足裏全体で支えることができず、重心が偏りやすくなります。かかとの角質が硬くなりやすい人は、かかとに過度の体重がかかる「かかと重心」なっていると考えられます。

【足の3つのアーチ】

①「外側のアーチ」
小指の付け根からかかとまでを結ぶアーチ。体重を支え歩くときの重心の移動をスムーズにする。

②「内側のアーチ」
親指の付け根からかかとまでを結ぶ、土踏まずを形成するアーチ。歩くときのバネの役割をもち、同時に歩くときの衝撃を吸収する上で欠かせないアーチ。

③「前方のアーチ」
親指から小指までの5本の指をつなぐアーチ。体重を支え地面をしっかり
捉える働きがある。

足の3つのアーチ


――足のアーチが崩れてしまう原因はどんなことでしょうか?

高山 運動不足による足裏の筋肉の衰えや関節の衰えが主な原因です。かかと重心の人は足指がうまく使えてない可能性が高いので、足指のグーパー体操をしたり、タオルを足指を使ってつかむなどのエクササイズをするのもおすすめです。

かかとの角質がひどい時の対処法①立ち方・歩き方を見直す

―――かかとの角質がひどくならないためには、どんなことをしたらいいのでしょうか?

高山 かかと重心で立つ・歩くを繰り返している限り、根本的な解決にはなりません。普段の立ち姿勢や歩き方を見直してかかとに足に負担がかからないようにすることが大切です。


【かかと重心にならない、正しい立ち方】

・足指を地面に付け、前後に体を揺らしながら体重を足裏全体にのせるイメージで立つ。

・かかと、親指の付け根、小指の付け根の3点にバランスよく体重がかかり、その中央に重心があるのが理想。

【かかと重心にならない、正しい歩き方】

・頭のてっぺんから糸でつられているようなイメージで、顔はまっすぐに起こしてあごは引きすぎない。

・着地するときは、最初はかかとの上に重心を乗せ、そこから土踏まずの外側、拇指の付け根と重心を移していく。

・指の付け根に重心を移動するとその反発力で腰が前方に押し出されるので、  足の先までしっかりと体重を移動させるようなイメージで踏み切って蹴り上げる。

・手は自然に前後に振り、歩幅は広めにする。左右の足に均等に体重がかかるように意識する。

――靴の選び方で気を付けることはありますか?

高山 サイズが合っていない靴やミュールやサンダルなど、かかとがパカパカしてしまう靴は皮膚との摩擦が起きやすくかかとの角質を硬くする原因にもなります。かかとが覆われている靴やストラップシューズなどは足が固定されて歩きやすいのでおすすめです。

かかとの角質がひどい時の対処法②セルフケア

―――角質がひどい時には角質取りなども効果的でしょうか?

高山 やすりなどで削るのは週に1回程度で十分です。やりすぎると皮膚の防御反応でより硬くしてしまうので逆効果です。また、足が濡れた状態で行うと削っている実感がなくやりすぎてしまうので、水分をふき取ってから行うようにしましょう。

かかとの角質がひどい時の対処法②セルフケア


―――セルフケアで気をつけることはありますか?

高山 足のトラブルで治療を受けている患者さんにも、自身の足の状態を知るために、セルフケアを取り入れてもらっています。自己流のケアで角質をより硬くしている場合もあるので、ぜひ実践してみてください。


【足のセルフケア】

■足を清潔にする

毎日入浴しているので大丈夫と思いがちですが、意外にきれいに洗えていない人が多いです。指と爪の間、指と指の間、足裏の付け根など汚れのたまりやすい部分はていねいに汚れや角質を取り除くことが大切です。

①少量の石鹸をスポンジなどで泡立て、包むように足全体を洗います
②角質がたまりやすい足指の爪の溝は、毛の細めのブラシなどを使って洗います。
③石鹸で洗った後は指と指の間、指と爪の間に石鹸が残らないように1本ずつしっかりと洗います。

足の角質 ガサガサ 治す方法①足を清潔にする

■水分をよくふき取る

残った水分が菌増殖の温床になることもあるので、入浴後はていねいに水分をふきとります。ごしごしふき取ると刺激になるのでタオルで抑えるようにしてふき取りましょう。

足の角質 ガサガサ 治す方法②水分を良くふき取る

■洗った後はすぐに保湿

足を洗ったあとは乾燥しやすくなっているので、保湿効果のあるクリームで保湿しましょう。硬くなった角質を柔らかくする作用のある「尿素入り」のクリームや、乾燥対策に効果的な「ワセリン」、血行を促進する「ビタミンE」が配合されているクリームがおすすめです。

足の角質 ガサガサ 治す方法③洗った後はすぐ保湿

かかとの角質を取るだけでなく、姿勢や歩き方の見直しも大切!

高山先生によれば、かかとの角質など足のトラブルは健康寿命にも大きく影響するそうです。「かかとの角質がひどい」と気にしている人は、表面的なケアだけでなく姿勢や歩き方などの日常生活の習慣を見直しみるといいかもしれませんね。

※記事の情報は2022年6月17日時点のものです。

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