「糖化」とは? シミやくすみの原因となる糖化の対策方法を、管理栄養士が教えます!
「紫外線はきっちりガードしているからシミ対策はばっちり!」と思っているあなた、もうひとつの原因とも言われる「糖化」の予防はできていますか? 糖化のメカニズムや今日からできる対策方法などについて、管理栄養士の森由香子先生に解説していただきました。
シミの原因は紫外線だけじゃない! 肌の「糖化」にも要注意
ふと鏡を見ると、顔のシミを発見! こんなことがあると、がっかりした気持ちになりますね。
シミは紫外線により増えすぎた活性酸素が皮膚の細胞にダメージを与えることで発生し、このダメージは「酸化」=「カラダの錆」とも言われています。シミを予防するには皆さんもご存じの通り紫外線対策が肝心で、外出するときは帽子、顔や体には日焼け止めクリームを塗ることはもはや常識となっていますよね。
ところが近年、体で起きる「酸化」以外にもシミをつくる原因があることが明らかになってきました。その原因とは、体の中で起きる「糖化」です。糖化を受けた部分は茶色になるため、別名、「カラダの焦げ」とも言われています。
「糖化」とは? なぜシミやくすみの原因になるの?
この「糖化」という言葉、初めて聞いたという方もいらっしゃるでしょうか。
「糖化」とは、血液中の余分な糖分(血糖)と体内のコラーゲンなどのたんぱく質とが結び付き、そこに体温の熱が加わることにより起きる反応です。「糖化」が起きた部分は少し硬くなって焼き色が付いた状態になり、焼き色の部分にAGEs(エージーズ/Advanced Glycation Endproducts)と呼ばれる終末糖化産物が作られます。このAGEsが細胞にダメージを与えてしまうのです。
さらにAGEsが蓄積されていくと、慢性の炎症が起こり、老化を加速させます。「糖化」が皮膚で起きれば、シミやくすみを作ります。また、体内では動脈硬化、骨粗鬆症、ドライアイなどにも関与するようになります。
ある研究報告によると、人の肋骨にあるコラーゲンを調べたところ、若いうちはコラーゲンが白いのに対し、年を取るにつれて少しずつ茶色に変色して、65歳以上になるとさらに濃い茶色になることがわかったそうです。年齢と共にコラーゲンが「糖化」によるダメージを受けていくことがわかりますね。
こんなことが私たちの体内で知らないうちに起きているなんて、ちょっとショックかもしれません。できることなら、「糖化」対策をして、老けない体でいたいと思うことでしょう。
この糖化を防ぐのにいい方法がありますので、これからお教えいたします!
食生活で「糖化」を防ぐ! 今日からできる5つのこと
「糖化」は、血液中に余分な糖分(血糖)があると起こりやすいと述べました。つまり糖化を起こさないためには糖分(血糖)を体の中で余らせないような食生活を送ればいいのです。
特に「糖化」が起きやすいのは、食後1時間、食事をして一番血糖値が高くなる時間帯です。どなたでも食事をすれば血液中の糖分(血糖)が増えますが、特に、血糖値の急上昇に気をつけることがポイントです。具体的に、次の5つに気をつけてみてください。
1.朝食をしっかり食べる
朝食を抜いて甘いお菓子類、甘い清涼飲料水で空腹を満たしたり、昼食を食べすぎてしまったりすると、血糖値が急上昇し「糖化」を起こしやすくします。午後や夕方に小腹が空いてしまいお菓子をつまんだりするのも同様です。
2.ご飯と麺、うどんとお餅、パスタとパンなど炭水化物の重ね食べをしない
炭水化物の重ね食べをすると、言うまでもなく糖質の過剰摂取になりますのでやめましょう。
3.ゆっくり食べる
早食いは食べ過ぎてしまうことが多く、糖質の摂り過ぎにもつながります。また、血糖値を下げるインスリンの働きが追いつかなくなります。
4.食べたら体を動かす
食後1時間は血糖値の上昇が最高になりAGEsもできやすい時間帯ですが、体を動かすことで血糖値の上昇を抑えることができます。
5.炭水化物から先に食べない
ベジファースト、たんぱく質ファーストにすれば、血糖値の急上昇を抑えることができます。
細胞にダメージを与えるAGEsは食べ物にも! AGEsの少ない食べ物の見分け方は?
加えてもうひとつ、「糖化」に関して衝撃的な事実が判明していますのでお知らせします。
困ったことにAGEsは、私たちが口にしている食べ物からも体へ取り込まれてしまうということがわかっています。そして、取り込んだもののうち、なんと7%が体内に蓄積され体の中で悪さをしているらしいのです。
どんな食べ物にAGEsがたくさん含まれているのか気になりますね。
その目安となるのは、ずばり、食べ物の表面の色です。褐色や茶色の食べ物にはご注意ください。食べ物の褐色、茶色は、糖質とたんぱく質が加熱することで作られ、この焼き色にAGEsが多く含まれているのです。
AGEsが多く含まれやすい食べ物は、調理法を見るとわかりやすいかもしれません。こちらは、おもしろいことにエネルギー量が増える順番と同じです。生→蒸す・茹でる→煮る→炒める→焼く→揚げる、この順番でAGEsが増えていきます。
水餃子よりも焼き餃子。サラダチキンよりも焼き鳥、焼き鳥よりも唐揚げ。レアチーズよりもベイクドチーズケーキ。サンドウィッチよりホットサンドのほうAGEsが多く含まれているのです。
また調理をするうえでの対策として、肉や魚料理の下ごしらえのときに酢やレモンを使うとAGEsの発生を低く抑えられることがわかっています。肉をマリネしてから焼くと、しないで焼いた場合に比べてAGEsの量が半分ぐらいに減ったという報告がありますので、参考にしてみてくださいね。
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皆さん、いかがでしたでしょうか。
人間の体は食べたものからできています。厳しいようですが自分の体は自分で守るしかありませんので、老けないためにも「糖化」に気をつけていただきたいと思います。
これから紫外線がどんどん強くなりますが、紫外線対策はもちろん、「糖化」対策も万全にして、健やかにお過ごしください。
※記事の情報は2023年5月12日時点のものです。
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