「湯たんぽ」の選び方と効果的な使い方を、免疫治療のドクターに聞きました
昔ながらのお湯を入れて使うものから、蓄熱式で手軽に使えるタイプまで「湯たんぽ」には様々なタイプがあります。からだの免疫機能を高めたりや自律神経を整えるのにも役立つ湯たんぽのすごさと、効果的な使い方をご紹介します。
この方にお聞きしました
班目健夫 先生
青山・まだらめクリニック 自律神経免疫治療研究所 院長。1954年、山形県生まれ。岩手医科大学医学部卒。医学博士。東京女子医科大学附属東洋医学研究所、同大学附属青山自然医療研究所クリニック講師などを経て、2011年、青山・まだらめクリニック 自律神経免疫治療研究所を開設。「湯たんぽを使うと美人になる」「免疫力アップ!『湯たんぽ』で『冷え性』が治る」「免疫力を高める『副交感神経』健康法」など著書多数。 http://www.dr-madarame.com/
湯たんぽの選び方 ~温めるパワーが高いのはどのタイプ?~
――湯たんぽにはいろいろな種類がありますが、温めるパワーは種類によって変わるのでしょうか?
班目 からだを温めるパワーが高いのはお湯を入れて使うタイプです。100℃のお湯を入れることも可能なので、長時間温かさが持続しますし、カバーやタオルなどを利用することで温度調節もできます。
班目 蓄熱式やレンジで温めるタイプは60℃程度までしか温度が上がらないので、しっかり温めたいという人はお湯を入れるタイプを使うのがいいと思います。
――他の暖房器具と比べて、湯たんぽにはどんなメリットがあるのでしょうか?
班目 暖房器具などと比べても熱量が高いので、効率よくからだを温めることができるのが一番の利点です。からだを温めるパワーは石油ファンヒーターで2,500~3,500 kcal/時、ガスストーブで最大6,000 kcal/時ですが、湯たんぽの熱量は13万kcal/時もあります。
湯たんぽは比較的安価ですし、手入れも簡単なので使い続けやすいのも魅力だと思います。
*100℃、2リットルのお湯を使用した場合。
【班目先生監修の湯たんぽ・湯たんぽ美人】(下記写真)
詳しくはこちら→
湯たんぽの使い方①冷え性に悩んでいる方は、「朝」から使う
――湯たんぽの効果的な使い方を教えてください。
班目 湯たんぽは就寝時に使う人が多いのですが、できれば日中も使ってほしいですね。寒さで寝つけないような方は全身がかなり冷えているので、就寝時だけでなく、朝から時間を見つけて湯たんぽで温めるのがおすすめです。湯たんぽで筋肉を温めることで血管が開いて血流が増加し、全身に熱を運ぶ力が高まります。これによって手先や足先など末梢の冷えも緩和されます。
湯たんぽの使い方②湯たんぽで温めたほうがいい部分は?
班目 私がおすすめしているのは次の4つの部位を温めることです。お尻や二の腕は座っている状態のほうが温めやすいので、椅子に腰かけた状態で使いましょう。
①おなか
全血液の4分の3がおなかにあります。おなかを温めると血液全体の温度が上がりやすくなるので血流もよくなり、からだ全体が温まりやすくなります。
【温め方】
湯たんぽを両手で抱えて温めると、手も同時に温まります。
②ふともも前面
お尻から膝までの筋肉が、全筋肉の70%~80%を占めています。そのうちの4分の3が太ももの前面に存在していますので、太ももの前面を温めると熱の貯金量が増えます。
【温め方】
湯たんぽを太ももの上にのせ、位置をずらしながら膝の上から足の付け根までをまんべんなく温めます。
③お尻
下半身の冷え対策には、お尻を温めることも効果的です。特に肛門付近は血流が豊富な部分なので、臀部を温めることで血行が促進され効率よく下半身が温まります。
【温め方】
湯たんぽを椅子の背に立てて、腰からお尻を温めます。
④二の腕
二の腕の後ろは普段使うことが少ないので、筋肉量が少なく冷えやすい部位です。二の腕を温めると指先まで温かくなりますし、血の巡りがよくなるので肩こりの緩和なども期待できます。
【温め方】
テーブルの上に湯たんぽを置いて、頬杖を突くような姿勢で二の腕を温めます。
●温める順番
「おなか」⇒「太ももの前面」⇒「お尻」⇒「二の腕」の順番で、各部位を3分~10分程度温めます。加熱を繰り返していると湯たんぽが冷めてくるので、お湯を沸かし直して使ってください。
湯たんぽの使い方③使うときの注意点
――湯たんぽに入れるお湯は何度くらいがいいのでしょうか?
班目 湯たんぽの素材にもよりますが温度が高いほど温めるパワーも高いので、沸騰したお湯を入れると温かさを実感できると思います。使い始めはかなり高温ですので、やけど防止のためにも必ずカバーやタオルで包むようにします。
――ほかにも注意したほうがいいことはありますか?
班目 汗をかくまで使うのはおすすめできません。汗をかくと気化熱でからだが冷えてしまうので逆効果です。一か所を温める時間が長いと汗をかきやすくなるので、「あと5分もしたら汗をかきそう」となったら温める箇所を変えながら使いましょう。
湯たんぽの使い方④寝る前の使い方次第で、眠りの質が変わる!
――就寝時のおすすめの使い方は?
班目 寝る時は布団を温めておくという目的で使う人が多いようですが、使い方を工夫することでぐっすり眠れる効果も期待できます。人間が眠りやすくなるのは深部体温(内臓などの温度)が下がる時です。眠りにつく時は内臓の循環血液量が増えておなかの温度が上がります。その温かい血液が手足に移動して冷たかった手足が温かくなり、おなかの温度が下がった時に眠りにつきます。
布団に入ったらまず湯たんぽでおなかを温め、次に太もも、足の付け根を温めてみてください。それでもなかなか寝つけない場合には、二の腕を温めてください。足先だけに湯たんぽを使うよりも全身が温まり、深く眠れるようになります。「寒くてなかなか眠れない…」という人はぜひ、試してみてください。
――ほかにもおすすめの使い方はありますか?
班目 就寝前にお風呂に入る習慣がある人は、入浴の前に使ってみてください。おなかや太もも、お尻、二の腕をそれぞれ1分間程度でも温めてからお風呂に入ると、深部体温が上がり、からだの芯まで温まりやすくなります。お風呂に入ると、温まる前にのぼせてしまうという人にもおすすめの方法です。
湯たんぽで美肌やダイエット効果も!?
班目先生によれば、冷えを感じている人は肌あれや太りやすいなどの悩みを抱えていることが多いそうです。湯たんぽでからだをしっかり温めることで、肌の調子がよくなったり、代謝が上がって痩せやすくなる効果も期待できるそうです。
湯たんぽは健康や美容にもいいお手軽アイテム。ぜひ、活用してみてください。
※記事の情報は2022年1月25日時点のものです。
- 1現在のページ