仕事力アップには、仕事を「断る勇気」も必要!<オフィスの心理学⑥>

働き方改革で「残業ができないのに、仕事の量は変わらない!」終わらない仕事は家に持ち帰る毎日…。疲れが残ったまま仕事を続ければ仕事力が低下し、体調もくずしてしまいます。そこで今回は、アラサー行動心理士・長谷川ミナさんが「上手に仕事を断る方法」について教えてくれました。

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相手に不快感を与えず「仕事を断る」方法なんてあるの?

Q.仕事の量はこれまでと変わらないのに「働き方改革」で残業ができないため、間に合わない分は朝早く出勤して仕事をこなしています。今抱えている仕事で手一杯だというのに「仕事が早いから」と上司や同僚に次々と仕事を依頼される日々。断って険悪なムードになるよりは、この場を丸く収めておこうと仕事を引き受けたばかりに、自宅に仕事を持って帰らなければならないという状態に…。相手に不快感を与えずに上手く仕事を断る方法はありませんか?(Nさん・27歳・会社員)

早く仕事を終わらせる努力をしているのにも関わらず、終わらせたそばから次々に新しい仕事が増える状況では、仕事に対するやる気も職場への信頼もなくなってしまいますよね。最悪の場合、心身のバランスを崩してしまうことも。

ポジティブに仕事をに取り組むためにも、まずは、断れずに仕事を引き受けてしまう心理を理解し、相手に悪い印象を与えない断り方を実践していきましょう。
 

「仕事を断る」=「嫌われる」「評価が下がる」と思っていませんか?

Nさんは、「周りとの確執を生むよりは気持ちが楽だ」としたことが、かえって自分のストレスになっている状況です。

断れないという心理の根底には、仕事を断わることで「嫌われるのではないか」、成果を見せることで「評価が上がるのではないか」といった気持ちがあると言えます。前者は相手を軸にした行動、後者は「相手の評価=自分の評価」になってしまっている行動です。

このように、他人軸で仕事をし続けてしまうことが、断れない状況を作り出していると言えます。

無理して仕事を引き受けた結果、ミスをしたり期日までに仕事が終わらない事態になってしまうと、かえって周りに迷惑をかけたり、自分の評価を下げてしまう原因にもなります。

本来の判断基準は「自分がやるべき仕事」か「そうでないか」の2択。自分の仕事をきちんとこなしていれば文句を言われたり、評価が下がったりすることは本来ないはずです。他人軸で仕事をすることは自分を苦しめる要因になるのだと理解し、自分軸での判断に変えていきましょう。

仕事を断る時は相手への「思いやり」が大切!

「できません」「やりたくありません」などと否定的に断るのは相手に悪い印象を与えてしまいますし、無駄に自分の評価を下げかねません。自分軸で判断した上で、相手に好印象のまま断るには“伝え方”がとても重要です。

良好な人間関係を築くためのコミュニケーションスキルである「アサーション(=相手の立場や状況を尊重しながら自分の意見を伝える方法)」を取り入れることをおすすめします。ポイントは、「誠実であること」「対等であること」「率直であること」です。

上司や同僚に急を要する仕事ができてしまった場合、相手は悪いと思いつつ仕方なく頼んでいる可能性もあります。それに対して、「いつも頼まれごとばかりでウンザリ……」とネガティブに考えすぎてしまうと、相手にもその感情が伝わり反感を買う要因にも。

まずは、「●●さんも大変ですね」などと相手の立場に共感し、同じ職場の同志として寄り添う姿勢を持つようにしましょう。また、いきなり断るのではなく「一旦スケジュールを確認してみますね」と相手の依頼に応えようとする姿勢を見せれば誠意も伝わるでしょう。

相手はあなたを必要としていて、信頼しているからこそ仕事を任せたいと思っている気持ちが大きいでしょう。「いつも信頼いただきありがとうございます」など感謝の気持ちを伝えておくことも大切です。

自分軸で判断するのはもちろん大切ですが、職場では対人関係も重要な部分です。同じ仕事をする仲間として、断る際には相手の立場への“思いやり”は忘れずに。

状況によって「断る勇気」を持ちましょう

上記のことを踏まえつつ、実際に仕事を受けるか断るかを判断するときは、いつまでに必要なのかを確認し、他の業務との優先順位を整理しましょう。それを元に、「明日までで問題なければできそうです」「●●案件が入っているため、正直厳しいです」と、抱えている業務とスケジュールを相手に明確に示すことです。実状が理解できれば相手もすんなり納得してくれるでしょう。

なかには、相手の惰性で仕事を押し付けてくる人もいるかもしれません。人のことをいいように利用してくる人は、根底に「この人なら断らないだろう」という甘えがあります。先にもお伝えしましたが、相手に振り回されてしまうと自分が苦しむだけです。この場合も、自分の業務状況を整然と説明し、きちんと断る勇気を持つことです。自分の意見をはっきりと言える人と認識すれば、安易に仕事を押し付けることはしないようになるでしょう。

「断ること=悪いこと」ではありません!

自分の中で断ることに対して抵抗がある人は、他人軸になってしまっている可能性があります。まずはそのことに気付き、きちんと自分を優先させるようにしましょう。

断ることは悪いことではありません。自分のための時間を確保できるようになると、ストレスがなくなる→心に余裕を持つことができる→目の前の仕事を完璧にこなせると、結果として自分にとってのメリットがたくさん生まれます。

仕事ができる人は、自分に厳しいところがあります。真っ当な評価をもっと貪欲に求めて良いことを自分でもしっかりと自覚しておきましょう。業務管理も仕事のひとつ。ポジティブに仕事に取り組めるようになるよう、自身の「働き方改革」に取り組んでいきましょう!


※記事の情報は2019年10月8日時点のものです。

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