働き女子のお悩み解決!「グチの多い同僚や部下に困っています」<オフィスの心理学①>
アラサー行動心理士・長谷川ミナさんがお届けする新連載。働く女子の周りで日々起こるトラブルや悩みの解決法を教えていただきます。第1回目は「グチの多い同僚・部下への対処法」です。
グチの多い上司や部下が発する“負の魔力”に注意!
まずは同僚や部下がグチを言ってしまう心理を理解した上で、やる気を引き出す方法を知っておきましょう。
まずは相手を知りましょう
グチを吐いてしまう人の心理は、大きく分けて3つの特徴があります。
●「認めてもらいたい」タイプ
根本的に他者に対して「自分を認めて欲しい」という欲求が強いため、ミスや問題が生じると、 自分が評価されないことにものすごくおびえます。結果、“自分のせいではない”と誰かのせいにして、自己肯定したいのです。自分に自信がないということの現れでもあります。
●「なんで私だけ?」タイプ
「自分だけが面倒な仕事を任される」「自分だけ褒められない」といった具合に、「なんで私だけ……」と思う被害者意識が強いタイプです。このような思い込みの心理があると、現状の問題は自分が悪いのではなく、環境が悪いのだと決めつけてしまいます。このタイプの人は、幼少期に親からの愛情を得られなかった、自分を否定され続けてしまった人に多い傾向があります。
●「悪口・不満吐き出し」タイプ
人の悪口や会社の不満を言うことで、自分のストレスを発散させようとするタイプです。誰かに悩みを相談することもできず、リラックスできる拠り所がない状態だと、心に大きな怒りを溜め込んでしまいます。そのため、常にグチや不満を吐き出さないと自分の心を保てなくなってしまっている状況と言えます。
グチは「心の寂しさ」の裏返し
グチや不満が多い人の共通点は、“心に苦しみを抱えている”ケースが多いということです。心理学的に、怒りの感情は「二次感情」と呼ばれ、その根本には、“悲しみ”や“寂しさ”などの「一次感情」があると言われています。グチを言ってしまう同僚も、実際には、その一次感情を誰かにわかって欲しいという気持ちがあるということを理解しておく必要があります。グチを聞かされる側としては、いつも文句を言っていてうんざり……と思いますが、このように視点を変えてみれば、“寂しい人”なのかも、と違った捉え方ができるかもしれません。
「グチ」から解放される3つの方法
“負の魔力”を少なくするために、グチっぽい人への対応を変えていく必要があります。以下の3つの方法を実践してみましょう!
●相手に寄り添う姿勢を持つ
まず、グチや不満を言う同僚や部下に対して、非難するような言い方や態度は極力避けましょう。相手のネガティブな感情が助長して、より深いトラブルを招いてしまう可能性があります。先にもお伝えしましたが、グチや不満を言う人は、心に苦しみを抱えている場合が多いです。まずはそのことを理解して、寄り添う姿勢を心がけてみましょう。そうすることで、相手の心のわだかまりや怒りが消えていく可能性があります。「何かできることがあれば言ってね」などと寄り添う一言をかけるだけでも、相手の気持ちをポジティブにする効果があります。
ただ、そのグチが単なる悪口や噂話であった場合は、決して同調しないようにしましょう。同調してしまうと、その人と同じ価値観に乗っかってしまうことになります。さらに、「〇〇さんもそう言っていました」などと言いふらされてしまう可能性もありますので注意が必要です。
●ポジティブな言葉で相手に要望を伝えましょう
それでも、相手のグチが収まらない場合は、決して感情的にはならず、「アサーション」という方法で、相手を尊重しつつ、直して欲しいところを指摘するようにしてきましょう。
「アサーション」は、主語を「私」に置き換えることで、フラットに自分の意見を伝えることができます。例えば、「不満に思う気持ちは私もわかります。ただ、グチばかり言っても状況は変わらないので、一緒に乗り越えましょう!」などと、同じ目標に向かってがんばる同志のように接すると、相手はやる気が芽生えてくる可能性が高まります。応援してくれる人の期待に応えたいと思う気持ちを持つようになり、前向きな一歩を踏み出すようになるかもしれません。
●何が不満なのか紙に書いてもらいましょう
不満ばかりでどうしようもない状態になっている相手には、問題点・不満に思う点を紙に書き出す解決策をすすめてみても良いかもしれません。紙に書き出すという行為は、自分自身を客観視するきっかけになります。書いていく中で、意外と簡単に解決策が見つかる場合もあり、問題点を必要以上に大きく捉えてしまっていたことに気づくかもしません。また、感情を洗いざらい吐き出すことは、心理学でいう「浄化作用」が働くため、その人自身を苦痛から解放し、精神を安定させる効果も期待できます。
相手に振り回されず、余裕をもって接するのがポイント
ただ、人にはいろいろな価値観があります。すべての人が自分の思い通りに動くことはありません。中にはこれらの寄り添いに対して甘え、グチが助長したり、全く態度が変わらない、さらには非難してくる人もいるかもしれません。そんな時は「こんな人もいるんだ」と、うまく流す余裕を持つことも必要です。心理学で「課題の分離」というものがありますが、私には私の課題、あの人にはあの人の課題があると境界線を認識する考え方です。今回の場合、本来は職場にグチをもっている本人が解決すべきことなのです。だからこそ「相手の問題」であることを大前提に、あなた自身が負の流れを断ち切って、振り回されることのないよう適度に接することが大切です。
※記事の情報は2019年5月14日時点のものです。
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