「マスクたるみ」に注意! 知らない間に進行する原因と改善方法とは?
マスクを外して鏡を見た時に「たるみ」や顎回りなどの「もたつき」が気になることはありませんか? マスクを長時間つけていることが、顔のたるみにつながることもあるとか。その原因と「マスクたるみ」解消法を専門家に聞きました。
この方にお聞きしました
小島理恵さん
医療法人雄理会 小島歯科医院副院長 補綴(ほてつ)専門医。患者さんの治療を行う中で健康や美容に歯や口の周囲筋肉が大きく関係していることを実感。顔のたるみや全身の健康にもつがなる「歯ヨガ」を考案し、そのメソッドをまとめた「歯科医が教える 歯ヨガ」を出版。
マスクたるみの原因は?
――マスクをつける生活が続くことで「たるみ」を感じる人が多いそうですが、その原因はどんなことでしょうか?
小島 マスクをしていると顔が隠れるため、他人の目を意識して表情を作ることが減り、顔の筋肉が衰えやすくなります。マスクで息苦しさを感じて無意識に口呼吸になり、常に口が開いた状態になっている可能性もあります。口呼吸を続けていると口を閉じるときに使う筋肉が衰えるのでたるみやもたつきにつながります。また、マスクをしているとたるみが進行していても気づきにくいので、外したときに「あらっ?」と変化を感じる人が多いのではないでしょうか。
――顔の筋肉が衰えることで、顔のたるみやもたつきが起きているということでしょうか?
小島 顔には噛むときに使う咀嚼筋や喜怒哀楽などの表情を作る表情筋など様々な筋肉あります。こうした筋肉と深く関係しているのが、舌など口の周囲の筋肉。ここの働き、バランスが良い正しい口の中は、舌が上顎にぴったりとつき、唇が閉じている状態。これが崩れると舌は下がり、舌の根元にある「舌骨」も下がります。
舌骨は首やデコルテ部分の筋肉とつながっているため、姿勢が悪いと舌骨も下がり、舌を引き下げます。これによって顔や首などの筋肉の衰えや偏りがおこり、たるみ、ゆがみつながります。また、口呼吸にもなりやすく、口周りのもたつきも起きてきます。
――舌の位置が下がることで顔のたるみが起きる可能性もあるんですね。舌の位置が下がる原因はどんなことなのでしょうか?
小島 しっかり噛まない、リモートワーク、マスク生活で会話が減るなど、口の周囲の筋肉の働きやバランスが悪くなることが原因です。さらに加齢や姿勢が悪くなると顎下から胸にかけての筋肉が下がり、舌の引き下げられることも大きな原因です。
マスクたるみの原因「舌の衰え」チェック
―舌の衰えや位置が下がっているのは自分でも確認できますか?
小島 自然に口を閉じたときにどこに舌があるか、口周りのこわばりなどをチェックすることで、ある程度確認することができますよ。
【舌の位置チェック】
口を自然に閉じている時の位置を確認しましょう。
〈正しい位置〉
①舌が、上の前歯の付け根の後ろ(少しザラザラしている部分あり)にある。
②舌が、上顎にぴったりくっついている。
〈間違った位置〉
①舌が、上の前歯や上下の歯の間にあり、上顎に触れていない。
②舌先が、下の前歯に触れている。※この状態を「低位舌」といいます。
【顔のこわばりチェック】
①軽く口を開けて下顎を左右に大きく、ゆっくり動かします。左右で動きやすさに差があるようなら口周りの筋肉がこわばっている可能性があります
②指が縦に2本半入るくらい、大きく口を開けます。開かない場合には口周りの筋肉がこわばっている可能性があります。(※指1本分より小さい時は、顎関節症の疑いもあります)
マスクたるみを解消する「歯ヨガ」
――舌や口周りの筋肉を鍛えるのにはどんな方法があるのでしょうか?
小島 私が考案した「歯ヨガ」は、口の周囲の筋肉を正しく動かせるように導く、マッサージとエクササイズです。毎日少しずつでも続けることで、すっきりとたるみのない顔を維持することができます。
【咬筋マッサージ】効果:口周りの筋肉をほぐす
噛むときなどに使われる「咬筋」と呼ばれる筋肉をマッサージして、顔のこわばりなどを和らげます。
①人差し指、中指、薬指の3本の指の腹で、顎先を押さえます。
②コリをほぐすように強めにおしたまま、指をぐるぐると回します。
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③顎先から耳に向かって指をずらしながら4~5カ所ほぐしていきます。
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④耳の前まできたらリンパの流れに沿って鎖骨まで指を滑らせます。
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⑤一連の動作を5回程度繰り返します。
【舌回し】効果:口周りの筋肉を強化、鼻呼吸の促進
①口を閉じたまま舌先で歯ぐきの周りをぐるりと回します。頬の外に押し出すような意識で1週6秒くらいかけて動かします。
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②反対周りも同じように行い、それぞれ5~20回程度回します。
【舌の筋力強化 りーえーワーク】効果:口の周囲の筋肉の機能改善
①「りー」と声を出しながら、しっかり口を横に引っ張ります。歯と歯はあてないようにしましょう。
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②「えー」と声を出しながら舌をまっすぐにして突き出します。歯や舌が唇につかないように気を付けながら、一連の動作を5回程度繰り返します。
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\ポイント!/
「いーえー」ではなく「りーえー」と言うのがポイント。舌を使って「ら行」をはっきり発音しましょう。
【ホッピング】効果:舌の位置の改善、強化
①上顎に舌をつけるように、しっかり吸い上げます。舌先だけでなく、できるだけ舌全体をつけるようにします。
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②舌を上顎から素早く離し、音を鳴らします。
③10回程度繰り返します。
\ポイント!/
舌を鳴らすことよりも、上顎に舌をしっかり吸いつけることを意識しましょう。
▼「歯ヨガ」の方法について詳しくは動画をチェック!
マスクたるみの改善には、生活習慣も大切
――普段の生活で、顔のたるみ予防や舌の衰えを防ぐ方法はありますか?
小島 姿勢が悪くなると舌の根元についている舌骨が下がり、舌が引き下げられます。デスクワークの人は仕事の合間にストレッチをするなど、同じ姿勢が続かないようにすることが大切です。食事の際は姿勢を正し、口を閉じて左右の歯をバランスよく使って噛むことを意識してください。
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口腔周囲の筋肉が正しく働かないと、飲み込みにくくなったり、口呼吸になって歯並びが悪くなるなど健康にも悪影響があるそうです。歯ヨガを続けて、美と健康を維持しましょう。
※記事の情報は2021年3月23日時点のものです。
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