もう花粉こわくない! 花粉症対策に効果的なマスクの選び方・付け方

花粉が飛びはじめるこの季節、マスクを手放せない人も多いのではないでしょうか。でもそもそもマスクって本当に効果はあるの? マスクっていっぱいあるけどどれがいいの? マスクに関するあらゆる疑問をマスク研究家の飯田裕貴子さんに答えていただきます。

メインビジュアル:もう花粉こわくない! 花粉症対策に効果的なマスクの選び方・付け方

教えていただいたのはこの方

マスク研究家・飯田裕貴子さん

株式会社環境管理センター アスベスト対策事業 技術部長
日本でも数少ない“マスク研究家”。大阪府立大学大学院修了後、医療食品会社の衛生管理員や労働科学研究所を経て、東京工業大学大学院に再就学。社会人時代からマスク研究に携わり、産業用から感染症予防までさまざまなタイプのマスクに精通。
『マツコの知らない世界』、『あさイチ』、『Rの法則』をはじめ、情報番組に多数出演。

マスク研究家の飯田裕貴子さん

そもそも花粉症対策にマスクは効果ある?

花粉は例年2月上旬から飛びはじめ、3~4月頃に飛散ピークを迎えます。この季節になると、街中でマスクを着用している人の姿が多くみられるようになります。

でもそもそもマスクって本当に花粉症対策として有効なのでしょうか? マスク研究家の飯田裕貴子さんにうかがいます。


――マスクは本当に花粉症対策に効果があるのでしょうか?

飯田 自分の顔にちゃんとフィットする形のマスクをつけていれば効果はあります。ただ、商品のパッケージにも書いてありますが、マスクは花粉やウイルスを100%防げるものではなく、侵入の量を減らす目的で使うものなので、過信しすぎずうがいや手洗いなどほかの予防策も一緒に行ったほうがいいですね。

「マスクは感染(侵入)を完全に防ぐものではありません」と表記されている

――マスクはいつも使っていますが、こんな注意書きがあるとは気付きませんでした。

飯田 みなさん何となくマスクの使い方を知っているから、ほとんどの人はマスクの説明書きを読まないですよね。なので、たまにプリーツを広げないままマスクを付けている人を街なかで見かけたりして、それじゃなにも防げないのにな、と気になっちゃいますね。

――プリーツタイプは広げて使わないと効果がないんですね。

飯田 プリーツタイプに限らず、マスクを使った花粉症対策でいちばん大切なのは「マスクと顔の隙間をなくす」こと。どれだけマスクのフィルター性能がよくても、どこかに隙間があると花粉やウイルスが侵入してきてしまうので、プリーツであればきちんと広げてマスクを顔に密着させることがとても大事なんです。

マスクの種類とその特徴とは?

◾ガーゼ(平面)

ガーゼ型試着

飯田 ガーゼマスクはもともと給食配膳のときなど、自分の唾液を周囲に飛ばさないために使われていた四角いタイプのマスクです。洗って繰り返し使えるのでコスパがよく喉を保湿する効果があります。

最近のものはガーゼの層のなかに静電フィルターや不織布フィルターが入っているので、以前より花粉やホコリをカットする性能は上がっていますが、形が平面で隙間ができやすいデメリットがあるマスクなので、花粉に過敏な方には向いていないかもしれません。
 

◾プリーツ型

プリーツ型試着

飯田 プリーツ型は、蛇腹にフィルターが折られているタイプのもので、メーカーによってプリーツの折り方や縦横比、裏表の表示などいろいろ工夫されています。

現在売られているプリーツ型マスクは、ほとんどが不織布フィルターを使っていて花粉99%カットと高性能なフィルターなので、どこにも隙間がなければ花粉の侵入率はかなり低くなります。ただし自分で自分の顔に合うようにプリーツの開き具合をそれぞれが調整して使うものなので、上手に顔にフィットさせられないと効果は半減してしまいます。
 

◾立体型

立体型試着

飯田 立体型とは、二つ折りのマスクを開くだけで顔に沿うような形で設計されているものを指します。立体型は日本人の顔に合うように、たくさんの人のデータを取って万人向けにデザインされています。

そのためすごく小顔の人や大きな顔の人、鼻が高い人など標準からはずれる人には合いにくい傾向があります。立体型が顔のかたちに合う人は、調節する手間がなく隙間もできにくく息苦しさも少ないのでおすすめです。

最近は立体型の中でもポリエステルの新素材タイプも出ていて若い世代に人気ですよね。マスク特有の息苦しさや耳が痛くなるようなストレスがなく、洗って繰り返し使えるメリットがある反面、鼻の上部にワイヤーが入っていないのでどうしても隙間が空いてしまうのが難点。こちらは花粉予防というより他の用途で使うほうがいいかもしれません。

花粉症対策にはコレ! 専門家おすすめのマスク

――花粉症対策に効果のあるマスクのおすすめはありますか?

飯田 高性能なおすすめのマスクはありますが、人によって顔の大きさも形もまったく違うので、前提として絶対誰にでも合うマスクというのは存在しないことをお伝えしておきます。

またフィルター性能が高いものは、フィルターがしっかりしている分吸い込む力も必要になるので息苦しく感じるものが多いんです。小さいお子さんに使うと呼吸器に負荷がかかってしまう場合もあるので、そのあたりはよく考えて使用してもらいたいなと思います。ではそのような点を踏まえておすすめを紹介していきます。
 

花粉症におすすめのマスク①|ハイラック(興研株式会社)

ハイラック商品単体
ハイラック箱売

飯田 日本の産業用マスクの3大メーカーでもある興研株式会社のハイラックです。値段はひとつ400円ほどで基本的には使い捨てなので日常生活向きではないかもしれませんが、重度の花粉症患者の方にはおすすめします。花粉やウイルスの捕集率が下がるので水洗いはできませんが、消臭スプレーや除菌スプレーを使って数日繰り返して使えます。ちなみに我が家でも災害時用として保管しています。
 

花粉症におすすめのマスク②|快適ガードプロ(白元アース株式会社)

快適ガードプロ

飯田 快適ガードプロは鼻の横にクッションがある点と産業用マスクに近いしっかりとした形状が特徴のマスクです。顔との隙間が埋まりやすいように設計されたマスクなので、フィッティングがよく、漏れ率も低い優秀なマスクです。
 

花粉症におすすめのマスク③|三次元高密着マスクnano(興和株式会社)

三次元高密着マスクナノ

飯田 花粉やウイルス、PM2.5にまで対応しているマスクです。ノーズフィッター、サイドブロッカー、アンダーブロッカーと、どの方向からもぴったりと密着するように工夫して作られているので漏れ率が低いのが特徴です。また、口元の空間にゆとりのある設計になっているので、高性能フィルターの中でも息苦しさを感じにくいと思います。
 

花粉症におすすめのマスク④|フルシャットマスク ふわっとプリーツタイプ(日本バイリーン株式会社)

フルシャットマスク ふわっとプリーツタイプ

飯田 こちらも顔に密着しやすく漏れ率が低いマスクになります。「メガネが曇りにくい」と書いてあるものは、それだけ鼻の横から息が漏れにくいよう工夫して作られているものが多いので、鼻とマスクの間が空いてしまいがちな人は一度試してみる価値ありです。

花粉症予防に効果的なマスクの付け方

① まずはマスクの裏表を確認

裏表の見分け方1
裏表の見分け方2

マスクのパッケージに裏表の確認方法が書いてあることが多いので、まずは確認します。(文字が書いてある側が表、ノーズクッションが入っている側が裏、など)
 

② マスクを半分に中折りし、プリーツを広げる

マスクを半分に折る

ワイヤー部分は強く折りすぎると、鼻のラインに合わず浮いてしまう原因になるので折り目がつく程度に曲げます。
 

マスクを開いてプリーツを十分に広げる

マスクを開いたら上下を持ち、開くところまできちんと広げます。
 

③ 鼻筋の横の隙間を指で押さえる

鼻横の隙間を指で押さえる

マスクを装着します。なるべく目のキワキワ、鼻骨の低いところまで上げ、指でノーズフィッターをぎゅっと押して鼻の形に合わせます。
 

④ あごの下までマスクを伸ばす

あごの下まで十分に伸ばす

片手で鼻周りのマスクを押さえながら、プリーツを十分に伸ばしあごの下まで包み込みます。
 

⑤ マスクのふちを手のひらで包んで顔になじませる

両手のひらでマスクをなじませる

マスクが隙間なく顔に沿うように両手のひらで包んでなじませます。頬と接する側面部分は顔から浮きやすいポイントなので、しっかり覆われているかチェックしてください。
 

⑥ 隙間から空気が漏れないか確認

マスクをつけ終えたら、ぴったりフィットしているか要チェック。大きく息を吸って吐いて、を繰り返して、隙間から空気が漏れ出さずに口元のフィルターを通して空気が抜けている感じがすればOK!

マスクをはずす時は、花粉が付着しているフィルター面には触れず、耳ヒモ部分のみを持ってはずすように気をつけてください。

花粉症のあなたに合うマスクをさがしてみてください

マスク研究のプロ・飯田裕貴子さんにお話をうかがってみて、日本のマスク技術は以前より格段に進歩していることがわかりました。

今回取材で用意したのは11種類のマスクでしたが、ほかにも日本の各マスクメーカーはさまざまな工夫をしており、花粉症予防マスクの中には化粧が落ちにくいマスクやぬくもりを感じる素材のマスク、椿オイルが含まれた肌にやさしいマスクまで、あらゆるニーズに応えてくれるマスクがあるとのこと。

顔のサイズや形は個人差が非常に大きいので、この記事を参考に自分の好みに合ったマスクを探してみてください。

※記事の情報は2020年2月18日時点のものです。

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