「マスク酸欠」の不調改善。朝10回の深い呼吸で細胞レベルから元気になる!
「マスク酸欠」や「隠れ酸欠」という言葉が注目されて久しいですが、マスクをはずして普通に呼吸するだけでは「酸欠」による体調不良は改善しません。その改善方法を「日本丹田呼吸法セラピー協会」代表の藤 麻美子さんにうかがいました。
この方にお聞きしました
藤 麻美子さん
日本丹田呼吸法セラピー協会 代表。高校教員時代に経験した交通事故のむち打ちや腰痛を改善する方法として、丹田呼吸法やヨガ、瞑想、統合医療などを学ぶ。完治が困難と言われる数々の症状、人間関係を劇的に改善。その後15年以上に渡り、セミナーなどを行い呼吸法の普及に努める。DMM .comオンラインサロン「藤 麻美子式 運命が変わる呼吸法」https://lounge.dmm.com/detail/3119/
「酸欠」は脳の酸素不足が原因です
――「〇〇酸欠」は現代病の一つのようになっていますが、そもそも「酸欠」は何が原因で起こるのでしょうか?
藤:マスクにより呼吸が浅くなることで起こる「マスク酸欠」。パソコン作業を長時間、前かがみの状態で続けることで起こる「隠れ酸欠」。そして、先の見えない不安や日々のイライラが原因で起こる「ストレス酸欠」。色んな「酸欠」がありますが、それらの原因は「脳の酸素不足」によるものです。
私たち人間は、生まれながらにしてたくさんの酸素を必要とするようにできていますが、人体のなかで最も酸素が必要なのは「脳」です。脳の酸素が不足すると活動が鈍くなるだけでなく、不安な状態から抜け出せず気持ちがネガティブな方向へと行きがちです。
「マスク生活」「パソコンやスマホなど、カラダを動かさない集中した作業」「心身のストレス」「運動不足」「崩れた姿勢」などによって呼吸が浅くなると、脳に酸素が十分行き届かなくなります。呼吸は息を吸えば良いというものではなく、肺を使って「深い呼吸」をすることが重要です。人は1日2万回の呼吸をすると言われていますが、浅い呼吸を1年、5年、10年と続けていれば、脳は常に酸欠状態となり健康リスクも高まります。
――「浅い呼吸」と「深い呼吸」の違いは?
藤:おへその下に手を当てて、軽く自分の呼吸を感じてみてください。座っていても、立っていてもかまいません。呼吸と連動してお腹が出たりへこんだりしていたら「深い呼吸=複式呼吸」ができています。おなかに動きがない場合は「浅い呼吸=胸式呼吸」です。「浅い呼吸」だった人は、「深い呼吸」を習慣化して脳の酸素不足を解消しましょう。
朝3分の「10呼吸メソッド」でカラダを変える
「酸欠」によるカラダの不調を防ぎ、リラックス効果もある腹式呼吸法を藤さんに教えていただきました。
●藤 麻美子式「10呼吸メソッド」の手順
①姿勢を正す
頭を天からひっぱられるイメージで背筋を伸ばします。利き手を頭上に持ってきて、頭のてっぺんから出ている太いヒモを自分の手で引き上げる要領ですーっと背筋を伸ばします。
●イスの場合
背もたれに寄りかからず浅く腰かけ、膝を軽く開きます。
●正座の場合
膝を軽く開きます。
②両手を丹田に置く
おへそから指3本下が、丹田の位置です。姿勢を正してから確認しましょう。左右の手のひらを重ねて丹田に置きます。
③朝日をイメージする
頭上から朝日をあびている様子をイメージします。実際に朝日の入る窓辺で行うのがベストですが、曇りや雨の日、昼夜の時間帯の場合は朝の光を浴びているイメージを持つようにします。
④5秒間息を吸う
おなかを膨らませながら「1、2、3、4、5」と頭の中で数え、鼻から息を吸い込みます。
⑥10秒で息を吐く
背中を少し丸めて息を抜き、おなかをへこませながら「1、2、3、4、5、6、7、8、9、10」と頭の中で数え、口からゆっくり息を吐きます。吐きながらひざと肛門を締めていき、吐き切る直前にひざを締めて肛門はキュッと締めます。
⑦10回繰り返す
息を吐き終えたらすっと力を抜いて膝と肛門もゆるめます。朝日を浴びている自分をイメージしながら⑤⑥を10回繰り返します。10回で1セット、約3分で行います。
――朝日をイメージして呼吸法を行うことを推奨されていますが、その理由は?
藤:朝日には古今東西絶大なエネルギーが宿ると言われています。朝日のエネルギーに関する科学的根拠はありませんが、朝日にあたる習慣のある人はうつ病のリスクが低い、脂肪細胞が燃焼しやすくなる、認知症になりにくい、がん細胞が小さくなるという研究報告もあり、朝日が心とカラダに良い影響をもたらすことは間違いないと思います。朝起きるのがつらいという人は、スマホの壁紙(待ち受け画面)を朝日の写真にして、その画面を見ながら「10呼吸メソッド」を行っても効果はあります。
太陽を浴びると元気が出てきませんか? それにはちゃんとした理由があります。人の細胞には植物と由来が一緒のミトコンドリアがあり、ミトコンドリアが元気の源となるATPという物質を作り出します。植物のミトコンドリアが活性化し光合成によって酸素を作り出すには、太陽の光が必要ですよね。それと同じことで、人のミトコンドリアを活性化させ活力を得るためには、太陽の光はとても重要! 細胞レベルで元気になるためには、太陽の光を浴びたりイメージしながら深い呼吸をする方が効果があるんです。
「10呼吸メソッド」×「マスク・隠れ・ストレス酸欠」解消法
――「10呼吸メソッド」との組み合わせで行う、「マスク酸欠」「隠れ酸欠」「ストレス酸欠」の解消法を教えてください。
●「マスク酸欠」の解消法
1.朝の電車通勤・通学時に
藤:マスクをしたまま電車内で「10呼吸メソッド」を行います。朝の通勤・通学時間には窓から朝日が差し込んでくると思いますので、眉間に朝の光を浴びながら、息を丹田まで取り込んで、息をフーっと吐き出します。少し前かがみになって、静かに息を吐き出します。前傾にならないと、息を吐き出すときに苦しくなるので注意しましょう。
2.会社での勤務中に
藤:公園や植物のあるところでマスクをはずして「10呼吸メソッド」を行います。マイナスイオンをお腹いっぱい、深い呼吸で吸いみましょう。また、お手洗いに立つたびに肩や腰を回すと横隔膜がよく動くようになり、腹式呼吸(深い呼吸)がしやくすなってカラダ全体に酸素を取り込むことができます。
3.マスクが息苦しい人のための解消グッズ
藤:呼吸法のセミナーのとき、感染予防対策としてマスクをつけていただいているんですが、人によってはレッスン中にで呼吸が苦しくなる人もいます。マスクの息苦しさがつらい人におすすめしているのが、マスクにはさんで使う「マスクガード」です。マスクと顔の間に空間ができて息がしやすくなります。
●テレワークなどによる「隠れ酸欠」の解消法
藤:パソコンを打っているときに前かがみ気味の人の多くは肩コリに悩んでいます。これは姿勢の悪さによる酸欠が原因です。テレワークによる隠れ酸欠を防ぐためには姿勢も重要です。まずは、パソコンのディスプレイの位置を高めにして、姿勢がまっすぐになるようにしましょう。そして、時々休憩を入れて「10呼吸メソッド」で深い呼吸をしてください。
肩や腰が凝っていると代謝が悪くなり、それが太る原因にもなります。酸欠状態が続くと血圧、血糖値も上がりますので注意しましょう。
●「ストレス酸欠」の解消法
藤:朝日を浴びながら「10呼吸メソッド」をします。人はネガティブな思考になると呼吸が浅く、乱れがちになります。深い呼吸をすることで、脳がα波(リラックス、集中状態のときに出る脳派)になり、幸せホルモンの「セロトニン」が出やすくなります。その結果、同じ量のストレスがかかっても、ダメージを受けにくい耐久性がでてきます。
「10呼吸メソッド」で口グセがポジティブワードに変わる!
――呼吸を変えるだけで色んなメリットがあるんですね。
藤:ストレスが軽減し、気持ちが前向きになると血流が良くなります。その結果肩こりや腰痛などが改善し、冷えや乾燥などの肌トラブルも防げます。しかも、口グセまで変わってくるんですよ。
――口グセ? どう変わるのですか?
藤:コロナ禍で「~しなきゃ」「~してはダメ」と、我慢を強いられる場面が多くなってきていますよね。そんな状況でも、呼吸法を身に付けた人の多くは、イライラしたり、悲しくなったり、怒っていたことが同じように起こっても「まあ、いいか」と言って、おおらかな気持ちで対応できるするようになるんです。
――「まあ、いいか」と言うだけでも、気持ちがラクになりますね。
藤:「なりたい自分」「叶えたいこと」をイメージしながら深い呼吸をすることも大切です。私が教師時代、高校生に計算問題を解く前に「10呼吸メソッド」をさせたところ、呼吸法をしない時と比べて15%も正答率が上がりました。さらに「志望校に合格したい」「成績を伸ばしたい」「公務員になりたい」という成功体験をイメージさせながら、呼吸をさせたところ、8割~9割の生徒の成績が伸びて志望校に合格したり就職先が決まったんです。
――それはすごい! 「成功体験をイメージ」することだけで成果が出るのですか? 今回取材させていただくことが決まってから、私も「10呼吸メソッド」をやり始めたのですが…。
藤:成功を信じてやる続けることが大切なんです。大人よりも子どもの方が成果は出やすいですね。「こんな簡単なことで、成果がでるわけない」と思いながら呼吸をしていた人は成果が出ませんでした。
――なるほど…。「なりたい自分」を想像しながら、継続することで成果が出るんですね。私も続けてやってみます!
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話題の漫画『鬼滅の刃』。その物語の根幹を担っているのが、「月の呼吸」「水の呼吸」などの様々な呼吸法です。深い呼吸で心肺に大量の酸素を取り込み、身体能力を大きく向上させていく…。炭治郎ほどの強さを身に付けることはできませんが、元気なカラダづくりとポジティブ思考で前向きに過ごすために、毎朝10回の深い呼吸を続けようと今回の取材で強く感じました。
藤 麻美子さんの著書
『すべてをリセットする最高の呼吸法』
\マスク生活による肌トラブルの解消法/
\テレワークによるモニター疲れを治す対策は?/
※記事の情報は2021年1月22日時点のものです。
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