国産チーズが国際コンテストで10位に! 世界が認めたチーズ5品を一挙紹介

国産のナチュラルチーズが、国際チーズコンテスト「ワ―ルド・チーズ・アワード2019」に初出品され、栃木県のチーズ工房 那須の森の「森のチーズ」が世界10位を受賞。日本のチーズの「技術力」と「味わい」が、世界で高く評価されました。

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国内最高レベルのチーズ30品がエントリー、14品が入賞!

「ワ―ルド・チーズ・アワード2019」は今年で32回目の開催となる権威ある世界最大級のチーズコンテストです。今回は42か国、3,804品のチーズがエントリーされ、過去最大規模で行われました。日本は、今年初めて本大会に出品。チーズプロフェッショナル協会が出品した30品のうち14品が入賞しました。

チーズプロフェッショナル協会では、国産チーズ振興の取り組みのひとつとして2年に1回「ジャパン・チーズ・アワード」を実施しており、その大会で金賞を受賞したチーズ工房のチーズが「ワ―ルド・チーズ・アワード2019」に出品されました。

●「ワ―ルド・チーズ・アワード2019」に出品された30品

エリア チーズ工房名 出品チーズ 入賞
北海道 ニセコチーズ工房 二世古【ku:】(空) ブロンズ
二世古 雪花【sekka】柚子 ブロンズ
北海道 あしょろチーズ工房 十勝ラクレットモールウォッシュ ゴールド
ころ  
北海道 冨田ファーム ジャパンブルー おこっぺ ブロンズ
煌(こう)  
北海道 プレスキル・フロマージュ プレスキル・フロマージュ
ハーブ&オイル
 
北海道 共働学舎新得農場 笹ゆき ブロンズ
北海道 チーズ工房タカラ タカラのタカラ ゴールド
タカラのトケル ゴールド
長野県 アトリエ・ド・フロマージュ ココン  
ブルーチーズ シルバー
長野県 ボスケソチーズラボ SHIRAKABA  
KARAMATSU ブロンズ
栃木県 チーズ工房 那須の森 森のチーズ ベスト16
スーパーゴールド
栃木県 那須高原 今牧場 りんどう ブロンズ
茶臼岳  
東京都 フロマージュ・
デュ・テロワール
ドーム  
フルム・ド・ドーメ  
東京都 CEEESE STAND リコッタサラータ  
燻製カチョカヴァッロ  
千葉県 チーズ工房【千】sen うぶすな ブロンズ
広島県 三良坂フロマージュ フロマージュ・ド・
みらさか・シェーブル
 
花かご(牛)  
広島県 チーズ工房 乳ぃーずの物語。 雪子  
カチョカバロ  
佐賀県 ナカシマファーム BROWN CHEESE ブロンズ
熊本県 阿蘇ミルク牧場 あそ野 ゴールド
宮崎県 ダイワファーム ロビオ-ラダイワ  
ジンゼ  

国産チーズの味わいを海外バイヤーが絶賛!


「ワ―ルド・チーズ・アワード2019」に参加したチーズプロフェッショナル協会の桝田規夫さんは、コンテストと同時開催された展示会会場で、海外のバイヤーたちから国産チーズの繊細な味わいを絶賛されたそうです。

「ヨーロッパのチーズは“ガツン”とパンチのある塩味なんですが、日本のチーズはできる限り塩を少なくしながらも味を乗せていくっていう手法に長けているんです」(桝田さん)

実はこれ、「旨み」を出す手法。国際的な和食ブームにより「UMAMI」は世界共通の味わいとして定着しつつあるなか、「旨味」を技術を高く評価されることは日本人として誇れる点だといえるでしょう。

「ワ―ルド・チーズ・アワード2019」に出品した国産チーズ。
「ワ―ルド・チーズ・アワード2019」に出品した国産チーズ。
審査の様子。
審査の様子。


\お待たせしました! /

「ワ―ルド・チーズ・アワード2019」で世界10位となったチーズ、およびゴールドを受賞しの4品をご紹介します。それぞれのチーズの受賞理由、おいしい食べ方、購入方法をチーズプロフェッショナル協会の桝田規夫さんに教えていただきました。
 

国産チーズ①「森のチーズ」チーズ工房 那須の森(栃木県)

国産チーズ①「森のチーズ」チーズ工房 那須の森(栃木県)


●ベスト16スーパーゴールド、世界で第10位
●部門:牛のミルク、セミハード、熟成4ヶ月以上
●ナチュラルチーズ


●工房の紹介
オーナーの落合信彦さんは農林水産省出身の方で、在職中は草の研究をしていました。「おいしいチーズづくりには上質なミルクが必要」と考えた落合さんは、乳成分が濃く、コクのある風味のミルクをつくるブラウンスイス牛をスイスから輸入し、その牛に広大な土地でス放牧し、飼料ではなく牧場の草を食べさせています。ミルクづくりに徹底的にこだわって、おいしいチーズづくりをしている工房です。

●受賞のポイント
「複雑な味わい」と「長い余韻」です。
チーズの味わいを構成する大事な要素のひとつに牛が食べる草があります。夏に茂っている草を食む牛と、冬場の乾燥した草を食む牛のミルクでは香りや味、成分が違います。

熟成期間によっても味わいは変わります。長時間熟成させれば良いわけではなく、この工房の職人さんは「チーズを磨く」「2日に1回ひっくり返して状態をチェックする」といったチーズを慈しむ作業を一つひとつ丁寧に行っています。その結果、「複雑な味と香り」が生まれるのです。

●おすすめの食べ方
切っておつまみとして食べていただくのが良いですね。熟成期間が長いチーズなので、料理にすると味が濃くなってしまいます。チーズは加熱すると1.5倍くらい味がのっていくので、お料理に使う場合はすりおろして食べてください。フルージャムを薄くぬって食べるのもおすすめです。

●購入方法
工房の通販サイトにて購入可能です。
https://nasunomori.jp/shop/

●DATA
チーズ工房那須の森
栃木県那須塩原市戸田738-4
電話:0287-73-5420
HP:https://nasunomori.jp/

※本チーズは熟成に時間がかかり品薄状態です。ご了承ください。

国産チーズ②「十勝ラクレットモールウオッシュ」あしょろチーズ工房(北海道)

国産チーズ②「十勝ラクレットモールウオッシュ」あしょろチーズ工房(北海道)


●ゴールド受賞
●部門:牛のミルク、セミハード、熟成4ヶ月未満
●ラクレットチーズ

●工房の紹介
北海道の十勝エリアは生乳生産量が日本一。チーズづくりが盛んで、国内の3分の2のナチュラルチーズが十勝から生まれます。「あしょろチーズ工房」は放牧酪農が盛んな町・足寄の農協「JAあしょろ」が運営するチーズ工房です。広大な牧草地でのびのびと育った牛のミルクは風味が豊か。生乳の良さで品質が決まるモッツァレラチーズも人気です。

●受賞のポイント
「水分を保ちながら、しっかりとした弾力がある」という評価でした。
ラクレットは溶けたチーズを野菜や肉にかける食べ方がおなじみですが、「とろ~り」とチーズがきれいに流れるためには水分が必要です。水分が入ることで弾力も生まれ、モチモチっとした食感になります。

ラクレットは焼くチーズですから、そのまま食べると味気ないタイプが多いんですが、「十勝ラクレットモールウオッシュ」はしっかりと味がついているので「そのまま食べてもおいしい」という評価もいただきました。

●おすすめの食べ方
そのまま食べても十分おいしいですが、焼いて溶かした方がさらにおいしくなります。ジャガイモの上に薄く切ったチーズを乗せて、オーブント―スターで焼くのがおすすめ。甘やかな香りが食欲をそそります。

●購入方法
「十勝プライド」サイト内ショッピングページにて購入可能です。
https://tokachipride.theshop.jp/categories/1701233

●DATA
あしょろチーズ工房
北海道足寄町中矢673-4
電話:0156-25-7002
HP: http://tokachipride.jp/index.php

国産チーズ③「タカラのタカラ」チーズ工房タカラ(北海道)

国産チーズ③「タカラのタカラ」チーズ工房タカラ(北海道)


●ゴールド受賞
●部門:牛のミルク、ハード、熟成4ヶ月以上
●コンテ

●工房の紹介
北海道・十勝の「共働学舎新得農場」、フランスのオーヴェルニュの農家で修行を積んだ斎藤愛三さんが立ち上げたチーズ工房です。御両親と兄夫婦が、牛の世話と酪農の基となる土づくりや草づくりを担い、のびのびと放牧された牛からとれたミルクを「幸せの牛のミルク」と名付け、そのミルクからつくるチーズは国内で数々の賞を受賞しています。

●受賞のポイント
まさに「旨み」ですね。このチーズは長期熟成タイプ部門で受賞したのですが、この部門では「旨味」を要求されます。深い旨味のあるチーズというと「パルミジャーノ・レッジャーノ」がおなじみですが、「パルミジャーノ・レッジャーノ」は最低でも12カ月かけてじっくり熟成して「旨味」を出します。「タカラのタカラ」は半年という短い熟成期間ながら、「パルミジャーノ・レッジャーノ」と同じ土俵で審査され、ゴールドを受賞しました。これは、とてもすばらしいこと。「熟成期間は短いのにしっかりした旨みを出す」には、職人の技術力の高さが必要なんです。

●おすすめの食べ方
薄くスライスしてサラダに散らすして食べるととてもおいしいです。野菜やハムと一緒にパンにはさんで食べるのもおすすめです。

●購入方法
電話注文にて地方発送可能。
電話番号は下記参照。

●DATA
チーズ工房タカラ
北海道虻田郡喜茂別町字中里2-7
電話&ファックス:0136-31-3855
 

国産チーズ④「タカラのトケル」チーズ工房タカラ(北海道)

国産チーズ④「タカラのトケル」チーズ工房タカラ(北海道)


●ゴールド受賞
●部門:牛のミルク、セミハード、熟成4ヶ月未満
●ラクレットタイプ

●工房の紹介
「タカラのタカラ」の欄を参照

●受賞のポイント
「タカラのタカラ」と同様に「旨み」です。ヨーロッパのラクレットよりも旨みがのっていて、味わいが深いという点が評価されました。あしょろチーズ工房の「十勝ラクレットモールウォッシュ」と外観の色が違うでしょう? その理由は、仕上げでチーズを洗う水が違うのです。「十勝ラクレットモールウォッシュ」は温泉水、「タカラのトケル」は塩水で仕上げています。色の違いはありますが、味は間違いなくおいしいです! 品名の通りチーズの溶け方も格段に違います。

●おすすめの食べ方
シチューに入れたり、お正月に余ったお餅に乗せて焼くとおいしくいただけます。バケッドに詰めてオーブンで焼くとパングラタンになります。

●購入方法
電話注文にて地方発送可能。
電話番号は下記参照。

●DATA
チーズ工房タカラ
北海道虻田郡喜茂別町字中里2-7
電話&ファックス:0136-31-3855

国産チーズ⑤「あそ野」阿蘇ミルク牧場(熊本)

国産チーズ⑤「あそ野」阿蘇ミルク牧場(熊本)


●ゴールド受賞
●部門:牛のミルク、セミハード、熟成4ヶ月未満
●ゴーダチーズタイプ

●工房の紹介
このチーズは、熊本県、阿蘇山の麓にある牧場内のミルク工場でつくられています。施設内の牛舎で飼養している5種類の乳牛(ホルスタイン・ガンジー・ジャージー・エアシャー・ブラウンスイス)からとれる生乳をブレンドした新鮮なミルクが原料で、「あそ野」以外にも「ミルクの樹(ストリングチーズタイプ)」が今年10月に開催された国内のチーズコンテストで最優秀賞を受賞しています。

●受賞のポイント
これは「作り」ですね。ゴーダチーズはオランダ発祥のチーズで、現地の伝統的な手法で作りますが、その手法にのっとってつくられている点が評価されました。生地を見るとほとんど穴が開いていません。穴を開けずにしっかり熟成させるのは難しいのですが、「阿蘇ミルク牧場」さんはその技術が非常に長けています。

チーズのミルクは一般的にはホルスタインが多いんですが、「阿蘇ミルク牧場」さんはジャージー牛のミルクで「あそ野」をつくっています。ジャージー牛のミルクは脂肪分が多いため、コクがあり濃厚な味わいになります。

チーズの色が白いでしょ。色が白いのは食べている草の色が影響していて、夏と冬で出来上がりのチーズの色って変わるんですよ。そこがチーズの面白さと難しさなんですけどね。北海道と熊本のモッツァレラを比べてみてください。北海道産は黄色味がかっていて、熊本産は真っ白です。その違いを見るのも面白いですよ。

●おすすめの食べ方
ゴーダチーズは酸味が足りないので、チーズを薄く切ってフルーツやジャムを軽く塗るとおいしくなります。

●購入方法
「阿蘇ミルク牧場」の公式サイトにて購入可能です。
http://aso-milk.jp/

●阿蘇ミルク牧場
熊本県阿蘇郡西原村河原3944-1
電話:096-292-2100
HP:http://aso-milk.jp/

桝田さんに聞きました。「余ったチーズのおいしい食べ方を教えてください!」


おいしそうと思って買っても、1~2回食べてその後は冷蔵庫に入れたまま。結局カビがはえたり、ガチガチに硬くなってゴミ箱へ、という経験はありませんか? 

そこで、桝田さんに最後までおいしくチーズを楽しむ食べ方を教えていただきました。

1.薄切りにして、おつまみに
ワインと一緒におつまみで。おつまみの場合はレーズンやくるみを添えるだけでチーズの味わいがガラッと変わります。

2.加熱して食べる
焼くと、味の深みが1.5倍増しになります。朝、トーストに乗せて食べてもいいし、ワンタンに包んで揚げて食べてもおいしいです。僕の家では最終的にオムレツに入れます! チーズと卵の相性は最高ですから。

3.ようかんをトッピング
最近は高齢の方もチーズを食べる人が増えました。高齢者におすすめしているのが、お茶うけとしておすすめのようかんトッピングです。チーズの上に薄くスライスしたようかんを乗せて食べます。日本茶とあいますよ。

残ったチーズはラップに包んで、冷蔵庫の中の目につく場所に入れてください。奥にしまってしまうと、忘れてしまいますから。チーズは乾燥しても大丈夫! 焼けば溶けるし、焼くとさらにおいしくなります。

最後に、おいしいチーズの選び方を聞くと「色白のチーズから初めてみてください」という答えが。味が濃くなると、色も濃くなるそうです。おいしい国産チーズを選ぶ時の参考にしてみてくださいね。

 

 

この方にお聞きしました

桝田 規夫さん

チーズプロフェッショナル協会 専務理事、事務局長。 チーズプロフェッショナル協会は、日本の食卓、そして日本人の様々な生活シーンにチーズを定着させるために、日々活動を行っている非営利団体です。チーズプロフェショナル資格認定試験、一般の人でも受けられる「チーズ検定」などを実施。その他、チーズイベントや生産者の支援などの応援活動も行っています。

チーズプロフェッショナル協会 専務理事、事務局長。桝田 規夫さん

※記事の情報は2019年12月13日時点のものです。

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