「コンビニ薬膳」で手軽に、おいしく食べて、キレイになろう!
薬膳と聞くと特別なものと思いがちですが身近な食材で実践できるのが本来の薬膳の考え方だとか。そこで「コンビニ食材」で楽しめる、お手軽薬膳を漢方&薬膳アドバイザーの杏仁美友(きょうにん みゆ)先生に教えていただきました。
\この方にお聞きしました/
杏仁美友(きょうにん みゆ)先生
国際中医師。中医薬膳師。漢方&薬膳アドバイザー。一般社団法人・薬膳コンシェルジュ協会代表理事。漢方薬や薬膳で自身の体調不良を改善したことをきっかけに漢方や薬膳の世界に興味を持つようになり、わかりやすく実践しやすい薬膳を提案している。著書に「おいしいのにやせる!ダイエット薬膳」「薬膳ごはん」など著書多数。
▶ウェブサイト ▶Facebook
薬膳は「オーダーメイドの食事」
杏仁 薬膳と聞くと漢方薬などにも使われる使う木の根っこなど、特別な食材を食べると思っている人が多いのですが、薬膳は日々の食事の中で実践できるものです。「食材すべてに薬効がある」というのが薬膳の考え方。1人ひとりの体調や体質に合った「オーダーメイドの食事」が薬膳なのです。
例えば、玄米は栄養豊富でカラダにいい食材ですが、消化機能が低下している人には向いていないこともあります。自分に合ったものを選べば身近な食材も薬膳の効用がありますので、まずは自分の現在の不調や悩みの原因がどこにあるのか体の声を聞いてみてください。
薬膳を実践するために知っておきたい「気血水」とは?
中医学では、「気」「血(けつ)」「水(すい)」と呼ばれる3要素がカラダを構成していて、互いに協力し合って心身の健康を保っていると考えられています。「気」は体を巡っているエネルギー、「血」は血液や血液に運ばれる栄養素、「水」は汗、唾液、尿など水分代謝に関わっています。それぞれの働きが弱ったり、過剰になると、疲労感や冷え、肌荒れといった不調が現れます。食事によってこのバランスを整えることで、元気に生き生きと過ごすことができます。
「コンビニ食材」で実践!女性のお悩み別・お手軽薬膳レシピ
手軽な朝食や昼食、遅い夕食をコンビニで買うという人も多いですよね。今回は薬膳入門編として「コンビニ食材」で実践できる薬膳を教えていただきました。女性に多いお悩み別におすすめのコンビニ食材をご紹介します。
●乾燥・肌荒れに
杏仁 乾燥や肌荒れなどの肌のトラブルは、胃腸の弱りや栄養不足などが関係していることがあります。胃腸を整えたり、気血を補う食材がおすすめです。
〈おすすめコンビニ食材〉たこわさび、カットキャベツ、パスタ
タコやイカは気や血を補い、肌にうるおいを与える働きがあります。キャベツは胃腸の調子を整え、筋や骨を強化してくれます。
\アレンジしてみました/
「たこわさびとキャベツのパスタ」
たこわさびとキャベツを炒め、パスタに合えただけの簡単レシピ。たこわさびにしっかり味がついているので、仕上げに少量のしょう油を加えるだけで味が決まります。
●冷え
杏仁 気血が不足していたり、うまく循環していないと冷えをおこすことがあります。冷たいものはできるだけ避けてカラダを温める食材を取り入れましょう。
〈おすすめコンビニ食材〉鮭のおにぎり
鮭は気を補って血のめぐりをよくしてくれる食材で、体を温める作用があります。ご飯にも気を補い胃腸の働きを良くしてくれる働きがあるので、冷えがあって疲れやすい人にもいい食材です。
\アレンジしてみました/
「鮭おにぎり茶漬け」
●むくみ
杏仁 水分の代謝が悪いとむくみにつながりますが、気は水の流れを促進させるので、中医学では気の働きも関係していると考えます。利尿作用のあるものを摂るだけでなく、気を補ったり、胃腸の働きを良くすることが大切です。
(おすすめコンビニ食材)枝豆、ご飯、わかめスープ
枝豆は気の働きを高めて胃腸を整える作用があり、わかめには体の余分な水分をとる働きがあるので、水分代謝が悪く、カラダが重だるい冷えの人によい組み合わせです。
\アレンジしてみました/
「枝豆ご飯」
レトルトのご飯に枝豆を混ぜて軽く塩で味を整えるだけ。わかめスープを添えれば朝食にぴったりのメニューに。チューブの生姜をスープに入れてもカラダが温まります。
●疲れ
杏仁 疲れやすい、なんとなくだるい…というのは体を動かす原動力である気の不足が関係していることがあります。気を補うことで血も巡り、活力が戻ってきます。
(おすすめコンビニ食材)サラダチキン、ブロッコリー、かぼちゃのサラダ
鶏肉とかぼちゃはカラダを元気にし、お腹を温めてくれます。ブロッコリーは五臓の働きを強化し、腎の機能を高めてくれます。
\アレンジしてみました!/
「サラダチキンとブロッコリーのスープ」
沸騰したお湯にほぐしたサラダチキンと冷凍ブロッコリー、スープの素を入れ、塩こしょうで味を整えます。かぼちゃのサラダを添えたら、栄養バツグンの「コンビニ薬膳朝食」の完成です。
●ストレス
杏仁 気の流れが悪いとイライラしやすく、気の巡りが血流にも悪影響を及ぼし、全身に栄養が行き渡りにくくなる場合があります。まずは気の流れを良くする食材でイライラを鎮めるようにしましょう。
(おすすめコンビニ食材)ざるそば、大根サラダ
そばも大根も熱を冷まし、気の巡りを良くして緊張やイライラを鎮める作用があります。ストレスが強くかかると体内に熱がこもる人も多いので、さっぱりした大根とそばはおすすめの組み合わせです。
\アレンジしてみました/
「大根サラダそば」
その美容法や健康法、薬膳では「常識」or「非常識」?!
「この食材は○○にいい!」など様ざまな健康情報があふれていますが、現代の美容や健康法は薬膳の観点から見るとNGなことも多いそうです。薬膳を実践してみたい!という人はぜひ参考にしてみてください。
Q1.冷えのある人には根菜類がいい?
答えは「×」
杏仁 根菜の中にも体を冷やす食材がありますので注意が必要です。大根やごぼうなどは体を冷やす食材なので冷えのある人はおすすめできません。サラダを食べる時はキャベツやカリフラワーといった温めも冷やしもしない穏やかな食性の野菜や、かぼちゃ、たまねぎといったカラダを温める野菜を選ぶようにしましょう
Q2.ダイエットのためにサラダとヨーグルトのランチは?
答えは「×」
杏仁 暑がりタイプには適していますが、冷えや貧血、エネルギー不足やむくみがあるタイプには不向きです。薬膳の考えでは気血水のバランスが整うことが大切なので、気や血を補う食材が足りてない食事はNGです。栄養不足では健康的なダイエットはできませんし、肌も元気がなくなってしまいます。最近は糖質オフなどで炭水化物を極端に避ける人が増えていますが、ご飯には気を補い胃腸の働きを良くしますので、消化吸収力が高まることで代謝アップにもつながります。選ぶならおにぎりとお味噌汁、という組み合わせのほうが薬膳的にはおすすめです。
Q3.冷たい水より白湯が美容にはいい?
答えは「〇」
杏仁 女性には冷えが多いので、白湯など温めた飲み物を摂るのはいいと思います。ただ、水の飲みすぎはNG。体質によって水分過多になり、むくみや冷えにもつながります。水分をたくさん摂ると胃のあたりが「ぽちゃぽちゃする」という人は水分代謝が悪い可能性があるので、水分の摂り過ぎに注意してください。
Q4.便秘には食物繊維を取るのがいい。
答えは「×」
杏仁 食物繊維には水分を吸収して便を柔らかくする働きがあり、便秘にいいとされていますが、体質によっては合わないことがあります。ストレスなどで胃腸の働きが悪くなって便秘になっている人は気の流れをよくする食材。冷えのある便秘の人は、ねぎやしょうがなどの体を温める食材が効果的なこともあります。便秘にいいとされている食材を摂っているのに便秘が改善しない、という人は体質に合っていない可能性もあるので食生活を見直してみてくださいね。
------
自分の体質や悩みに合わせた食材を選べば身近な食材も薬膳に。食材の選び方が変わってきそうです。ぜひ、みなさんも実践してみてください。
-------
※記事の情報は2020年11月13日時点のものです。
- 1現在のページ