疲れない椅子の選び方。高機能でおしゃれなテレワークチェア5選

テレワークという仕事スタイルが定着しつつあるなかで、自宅の環境を大きく変えることなく快適に仕事をするために、高機能なワークチェアが売れています。そこでワークチェア専門店「WORKAHOLIC(ワーカホリック)」にて、女性におすすめの「疲れにくいテレワークチェア」を選んでいただきました。

メインビジュアル:疲れない椅子の選び方。高機能でおしゃれなテレワークチェア5選

この方に教えていただきました

伊藤 僚範さん

Eviro(エヴァイロ)株式会社 「WORKAHOLIC」のチェアコンシェルジュ。正しい姿勢とワーク環境に合った、一人ひとりのカラダに最適な椅子を選んでいただけます。

「WORKAHOLIC」のチェアコンシェルジュ 伊藤 僚範さん

美しい姿勢へのこだわりが「肩こり」「腰痛」の原因に?!

――店舗に来る女性のお客さまが抱えている椅子の悩みで多いのは?

伊藤 「椅子が合わない」ということと腰痛と肩こりがほぼセットです。これは自宅作業用の椅子でも会社で使っている椅子でもその症状が気になっていたものの、テレワークになって環境が整わない状況で仕事をしていくうちに、カラダの不調が如実に出てきているようです。

――「椅子が合わない」というのは、具体的には何が合っていないんでしょうか?

伊藤 自宅用のチェアをお探しで来店される方の多くはダイニングチェアで仕事をしています。ダイニングチェアは素材や機能性の部分でパソコン作業の姿勢をサポートしてくれません。「食事をする」「リラックスをする」「パソコン作業をする」等、作業内容に応じた椅子を選ぶ必要があります。また、ワークチェアを使っていても「サイズが大きい」や「チェアの形状やシートが硬くて合わない」等が主な理由です。

自分のカラダの形に添うようにサポートしてくれる形状であり、肌に触れていて心地よく感じる素材感であるかが体に合うチェアの大事なポイントです。


背もたれが背骨に近いラインの椅子を選ぶことで、姿勢の崩れが改善できる。

――椅子が合わず、肩こりに悩んでいる女性が多いと思いますが…。

伊藤 女性は背筋を立ててきれいな作業姿勢を作ろうとする方が多いです。間違いではないのですが集中してきたり、筋力が続かなくなってくるとだんだん前のめりになって最初の姿勢が維持できない方が多いのではないでしょうか? 前に重心がかかって、腕の重心がパソコンに乗った状態になると肩がグッと上がってきます。肩が上がったまま長時間仕事をしていますので、肩の筋肉が緊張して血流も悪くなる。その結果、肩がこってくるのです。

――美しい姿勢を保って座るのが、正しい座り方ではないんですね。今まで誤解していました。

疲れない椅子選びのポイント①机の環境を整える

\店頭で購入する時は、机のサイズを測っていきましょう/

店頭に行く場合は、机のサイズを調べておきます。また天板の下に引き出しがある場合、肘掛け(アームレスト)がぶつかり椅子が机の中に入らなくなることがあります。天板の下の引き出しの高さもお店のスタッフに伝えましょう。

今回は編集部Kの自宅の環境に合った、椅子選びのポイントを教えていただきました。Kが自宅で使用している机のサイズは幅120㎝×奥行72㎝×高さ72㎝、天板の幅は2.2㎝です。

\編集部Kが使っている仕事机はこちら/


伊藤 まずは作業机の環境を整えることからはじめましょう。

――椅子だけでなく、机の環境を整えることも必要なのですか?

伊藤 お使いのデスクとのバランスのとり方、作業ツールの配置の仕方も重要です。Kさんは普段、どのような環境で仕事をしていますか?

――ノートパソコンを使って1日8時間程度。食事以外は同じ位置でほぼ動くことなく、仕事をしています。

伊藤 まず自宅でパソコン作業をする時を思い浮かべてください。画面が低く、顔が下向きになっていませんか? 

――はい、下向きになっています。


伊藤  顔が下向きになると軽くお辞儀をするかたちになり、さらに集中してくるとどんどん頭が前に出てきます。

人は頭の位置が前に出れば出るほど、背中が丸まってきます。頭はボーリングの玉くらいの重さがありますので、頭が前に出ているということはぶら下がったボーリングの玉を首の力で支えているのと同じ状態になります。その結果、首や肩、背中や腰に負担がかかります。その負担を減らすためには、カラダの上にしっかり頭が乗るような状態でパソコン作業ができるようにしましょう。

――それを改善する方法は?

伊藤 まずはノートパソコンの画面を見やすく上げることです。今回は卓上傾斜台を使います。台をノートパソコンの下に差し込み、お尻を上げて画面を見やすくすることが大事です。姿勢は軽く10度ほど後傾するため傾斜台の角度も10度傾けることで自然と腕が置けて、肩の力が脱力できます。パソコンの下に辞書などを置いてもいいのですが、机の角が腕に当たるストレスを軽減するためにも卓上傾斜台はおすすめです。 

●傾斜版がない場合:頭が前に出て、背骨が丸くなっています。
●傾斜台がない場合
●傾斜版がある場合:カラダの上に頭が乗り、姿勢も良くなっています。
●傾斜台がある場合


\伊藤さんおすすめのパソコン用傾斜台はこちら/
卓上傾斜台 angle10 (アングルテン) [BORDERLESS]


疲れない椅子選びのポイント①正しい座り方を知る

伊藤 カラダに負担をかけないためには、正しい座り方を知ったうえで自分のカラダに合わせた使い方をすることが重要です。正しい座り方を知らないまま高機能な椅子をフィッティングしても、「疲れない椅子」選びはできません。

\正しい座り方/
①お尻をグッと奥まで入れて深く座る
②肩甲骨をしっかりと背もたれにつけて上半身の重力を椅子にあずる
③机の天板の高さはみぞおちのあたりに合わせる
④天板と腕の高さが並行になるようにして、腕をアームレストにのせる
⑤かかとが床に着かない場合はフットレストで足の高さを調整する

伊藤 Kさんがご自宅で使っている机の高さは72㎝ですね。リビングやダイニング用の机も含めてご自宅で使う机の高さは70㎝~72㎝が多いのですが、机の高さに椅子を合わせようとすると女性の場合、床に足がつかなくなる場合があります。床に足がついていないと、太ももの裏が圧迫され血流が悪くなり冷えやむくみの原因にもなります。

キャスターに足を乗せて作業をする人もいますが、座面の下に足を織り込むと前傾姿勢になりやすく猫背の原因になります。そんな時は「フットレスト」で足の高さを調整するのがおすすめです。

――足が床につかないことで、「冷え」や「むくみ」になるなんて知りませんでした。フットレストを使うとすごく足がラクですね!

フットレスト
フットレストを使うと意識しなくても理想の姿勢が維持できます。


\伊藤さんおすすめのフットレストはこちら/
[BORDERLESS]フットレスト FOOT CUSHION(フットクッション)

疲れない椅子選びのポイント②肩こりはアームレストで改善できる!

――肩こりに悩んでいる人は、座るときどんな点に注意すればよいですか?

伊藤 両腕の重さは体重の10%くらいと言われています。その重みを支えることなく長時間仕事をすると、肩がこってしまいます。

――今使っている椅子にはアームレストがありません…。アームレスト付きの椅子を使った方がいいんですね。

伊藤 アームレストに腕を置き、腕の重さをアームレストに落とすと肩の力が抜けやすくなります。人によって最適な高さが変わりますので、可動式のアームレストがある椅子がおすすめです。アームレストがない場合や、好みの位置で腕を乗せられない場合は、椅子をできるだけ机に近づけ、机の天板に肘を乗せて腕の重力を天板に逃がすようにしてください。

疲れない椅子選びのポイント③素材選び

――素材もいくつかあるようですね。

伊藤 素材はクッションとメッシュの2つタイブがあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。

≪クッション素材≫
●メリット
・保温性が高い(冷え性の人におすすめ)

●デメリット
・通気性が悪い
・液体をこぼすと染み込む

≪メッシュ素材≫
●メリット
・通気性が良い
・身動きが取りやすい

●デメリット
・冬場に寒さを感じやすい
・お尻が骨ばっている、お尻の肉が薄い人は張力に負けてお尻が痛くなる傾向がある

伊藤 女性は肌に触れる感触をとても大事にされます。長時間座り続けるのですから、実際に座ってみて自分の好きな感触の素材をお選びいただくのがいいと思います。

女性におすすめの「テレワークチェア」を選んでいただきました

女性におすすめの「テレワークチェア」を選んでいただきました


\今回選んでいただいたのはこの5点/

●デザイン+機能性で選ぶなら
①[Herman Miller] セイルチェア
②[ITOKI]vertebra03

●座っているだけで運動ができる機能付き
③[KOKUYO]ing

●肩こり・腰痛で悩んでいる人には
④[オカムラ]Baron
⑤[Steelcase]Leap

疲れない椅子①[Herman Miller] セイルチェア(SAYL)

疲れない椅子①[Herman Miller] セイルチェア(SAYL)


スタイリッシュなデザイン&高機能な優れモノ
 
伊藤 重量感がなく、リビングに置いても違和感ないスタイリッシュなデザインが女性に人気です。この椅子の特徴は色のバリエーションの多さ。ワークチェアの場合、生地を選んだら背もたれも座面も全部同じ色という場合が多いのですが、この椅子は座もたれ、背中、アームパットの上部、背面のYの部分、5本脚など色が選べます。生地のパターンも数パターンあり、色の組み合わせのバリエーションが多いので部屋のイメージにあわせた配色をお楽しみいただけます。

デザイン性だけでなく機能も充実しています。メッシュ状の背もたれは仙骨をサポートする形状で背骨が自然な「S」の字を保ち、体が疲れることなく健康的な姿勢が保てます。前傾チルトといって前に傾く機能が付いているため、勉強用に購入される方も多いですね。製品保証は最長12年と長く、安心して使える点もおすすめです。

DATA
・価格:80,000円~
・S字を保つ背面設計:〇
・アームレストの上下可動:〇
・座面素材:クッション
 

疲れないイス②[ITOKI]vertebra03

疲れないイス②[ITOKI]vertebra03


「家具と馴染む」「デザイン重視」の人におすすめ

伊藤  5点のなかでは一番ワークチェアっぽくなくリビングにあっても違和感がないタイプです。生地の素材感がソファなどに近く、周りの家具と溶け込むようなデザインです。生地の色が選べますので、部屋の雰囲気にも合わせやすいですね。

シートの高さ調節もフレームと一体化したつまみをひねるだけのシンプルデザイン。キャスターベースも広がりが少ないためコンパクトですっきり感があります。

枕型の背もたれが後傾すると動きに合わせて傾き、さらに座面も連動してスライドすることで自然な後傾姿勢をつくることができる。形はとてもシンプルですが、ワーキングチェアに必要な最低限の機能があるため人気があります。
バケット型の座面は、お尻のホールド感が高く座り心地が快適。

DATA
・価格:60,000円~
・S字を保つ背面設計:○
・アームレストの上下可動:×
・座面素材:クッション

疲れないイス③[KOKUYO]ing

疲れないイス③[KOKUYO]ing


仕事しながらカロリー消費。運動不足が気になる人に

伊藤 自宅で作業していると出勤している時よりも動かず、運動不足やストレスを感じている人が多いと思いますが、そんな人におすすめなのがこの「ing(イング)」です。

カラダの動きにあわせて座面が前後左右にゆらゆらと360度動くため、座っているだけで運動したときと同じ効果が期待できます。メーカーの調査では「ing」に座って4時間デスクワークした時と約1.5kmウォーキングの消費カロリーが同等という結果も出ています。基本的な作業姿勢は後掲姿勢ですが、背もたれを使わずに椅子をバランスボール代わりにしてゆらゆらカラダを揺らすことで、インナーマッスルを鍛える使い方もできます。

この椅子に座って60分揺れることで、リラックス度を表すα波や集中力を高めるβ波の増加も認められ、仕事の効率が上がる椅子ということで会社用の椅子としての需要も増えています。明るめの色からシックな色までカラーバリエーションが豊富な点も、女性に人気です。

DATA
・価格:90,000円~
・S字を保つ背面設計:○
・アームレストの上下可動:〇(内側可動もあり)
・座面素材:クッション

疲れないイス④[オカムラ]Baron

疲れないイス④[オカムラ]Baron


ヘッドレスト付。肩や首の痛みを解消したい人向けの万能チェア

伊藤  ヘッドレスト付の椅子はサイズが大きく存在感が出るタイプが多いため、ダイニングやリビングでの使用は好まれません。ただし、肩や首の痛みつらい人や小柄な女性でもヘッドレスト付きの椅子が欲しいというニーズがあり、その場合におすすめしているのがスリムでスマートなサイズ感の「Baron(バロン)」です。

 ヘッドレストの高さや傾きの調整ができて便利。

伊藤 「Baron」を女性におすすめするもう一つのポイントは、腕が乗せやすいアームレスト。上下可動はもちろんのこと、内側と外側にも稼働できて、コンパクトサイズなので肩幅の狭い女性でも腕の重さを預けやすく、姿勢の崩れや肩こり防止になります。

 アームレストが内側に稼働することで、小柄な女性でも腕が乗せやすい。

伊藤 リクライニング調整は自分の好みの位置で止められるため、心地よい角度で姿勢を保てるという点もおすすめです。

\ヘッドレストはあった方がいいの?/

伊藤 ヘッドレストの圧迫感が気になる人や頭を自由に動かしたい人、作業中の可動域が広い方が良い人には、ヘッドレスト付きチェアはおすすめしません。ヘッドレスト付きの方が良いか、ない方がいいかは実際に店頭で座り比べをして判断をされることをおすすめします。実際に座ることで、自分の好みに気づかれる人も多いですよ。

DATA
・価格:70,000円~
・S字を保つ背面設計:〇
・アームレストの上下可動:〇(内側可動もあり)
・座面素材:メッシュ(クッションタイプもあり)

疲れない椅子⑤[Steelcase]Leap

疲れない椅子⑤[Steelcase]Leap


小柄な女性にも座りやすい。腰への負担が少なく包み込まれる感覚に

伊藤 この椅子の特徴はクッション性の高さです。座面と背中がクッションでできているの肌触りがやさしく、包み込まれるような感じになります。腰のカーブがしっかりしていて、右側下にあるダイヤルで腰のカーブを変えられるため、自分の好みで腰のサポート感を選べる点もおすすめです。

 ダイヤルを回すだけで、簡単に腰のカーブ調節ができます。

伊藤 今回ご紹介する椅子のなかではアームレストの可動域が最も広く、上下、前後、左右、角度調節ができます。パソコン作業、読書、スマートフォンのチェックなど作業にあわせてアームレストの位置を調整できて便利。海外メーカー製ですが、シートがかなり低く下がるので、小柄な女性でも使いやすいタイプです。

DATA
・価格:120,000円~
・背骨のS字を保つ背面設計:〇
・アームレストの上下可動:〇(前後、左右、角度調節も可能)
・座面素材:クッション

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女性の場合、機能も大切ですがインテリアとの調和も重要。その点、今回伊藤さんに紹介していただいたワークチェアはデザイン性も高く、ダイニングやリビングルームに置いても悪目立ちしない、そして「疲れない」機能もしっかりあるものばかり。

伊藤さんのお話にもありましたが、自分に合った椅子選びにはフィッティングが重要。まずはワークチェア取り扱い店舗で、自分に合う「疲れない」椅子を試してみてくださいね。
※コロナ禍でお店に行けない場合は、電話やウェブで相談をして最適な椅子選びをするのがおすすめです。


取材にご協力いただいたショップ
「WORKAHOLIC」



一人ひとりの体格やあらゆる利用シーンに合わせた、国内外15ブランド60脚のチェアをまとめて試せる高機能ワークチェアを取り扱うセレクトショップ。

住所:東京都中央区日本橋馬喰町2丁目7-15 ザ・パークレックス日本橋馬喰町 1F
TEL:03-6550-9730 (完全予約制)
休業日、営業時間は下記オフィシャルサイトにてご確認ください。
オフィシャルサイト

※記事の情報は2021年2月12日時点のものです。

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