たんぱく質が豊富な食べ物は何? 一日に必要な量や摂り方を管理栄養士が紹介します

筋トレをしている方やダイエットをしている方などから注目されている“たんぱく質”。5大栄養素のひとつで、健康な体には欠かせない栄養です。たんぱく質の働きや一日に必要な摂取量、上手な摂り方などを管理栄養士の森由香子先生に教えていただきました。

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たんぱく質とは?

たんぱく質ブームが起きている昨今。一体たんぱく質とはどんなものなのか、少し掘り下げてお話したいと思います。

人の体のうち、15~20%を構成しているのがたんぱく質です。たんぱく質は、体を作ったり、整える働きがあります。

体のたんぱく質は約10万種類もあると言われ、20種類のアミノ酸の組み合わせで作られています。たとえば、消化酵素に代表される酵素たんぱく質、コラーゲンの構造たんぱく質、アルブミンの輸送たんぱく質、貯蔵たんぱく質など多種多様です。

たんぱく質が不足すると体にどんな影響がある?

体のたんぱく質は、常に合成と分解を繰り返し、新しく作り直されています。たんぱく質の材料には食物からしか得られない必須アミノ酸も含まれるため、毎日、食事から補給しなければなりません。

体のたんぱく質が不足すると、スタミナ不足、免疫力の低下、貧血、過剰になると血圧上昇、肥満、腎機能・肝機能の低下がみられます。

お肌の弾力、ハリを保つコラーゲンも、たんぱく質からできています。コラーゲンは体内でたんぱく質やビタミンC、鉄を原料として作られていますので、たんぱく質の不足が起きれば、健康な肌づくりに影響を及ぼします。

たんぱく質は動物性も植物性もバランスよく摂取して

たんぱく質豊富な食品

上手なたんぱく質の摂り方は、良質のたんぱく質食品(肉、魚、卵、大豆・大豆製品、乳製品や牛乳など)を毎回の食事で取り入れることです。ただし、肉は、たんぱく質が豊富ですが同時に脂質も多いので、食べるときは脂質を取り除いたり、網焼きやグリルにするなどして脂を落とす調理法がおすすめです。

また、たんぱく質食品を動物性と植物性に分けることがありますが、どちらも万遍なく摂るのがおすすめです。
ある研究報告によりますと、動物性たんぱく質食品は消化にかかる時間が短いため、消化時間が長い植物性たんぱく質食品と一緒に摂取すると、体の中でアミノ酸(たんぱく質が分解されたもの)が長い時間体内に留まるのでいいということです。

良質のたんぱく質を見分ける「アミノ酸スコア」

良質のたんぱく質とは、必須アミノ酸を適切な割合で含んでいるもののことを言います。

良質なたんぱく質を見分ける指標として使われる「アミノ酸スコア*1」では、必須アミノ酸がすべて基準値を超えていれば、「アミノ酸スコア100の食品」とされます。アミノ酸スコアが100、もしくは100に近いものほど良質と評価されます。

さらに近年では、良質なたんぱく質食品を判断する基準としてPDCAAS*2や、DIAAS*3が注目されています。これらは食品のアミノ酸バランスだけではなく、消化のされやすさや体の中での利用されやすさなどを総合的に評価したものです。これらのアミノ酸スコアにより、肉、魚、卵、大豆・大豆製品、乳製品・牛乳などが良質のたんぱく質食品と評価されています。

ときどき、ごはんや野菜にはたんぱく質が含まれていないと勘違いされている方を見かけますが、実はほとんどの食品には、少なからずたんぱく質が含まれています。ただ、必須アミノ酸が足りないため、食品同士を組み合わせて補う必要があります。たとえば、ご飯には必須アミノ酸のリジンが足りないので、大豆など良質のたんぱく質食品を組み合わせると食事としてのたんぱく質が良質となります。

*1 食品中の必須アミノ酸の含有比率を数値化したもの
*2  Protein Digestibility Corrected Amino Acids Scoreの略。たんぱく質消化吸収率補正アミノ酸スコアのこと
*3 Digestible Indispensable Amino Acid Scoreの略。消化性必須アミノ酸スコアのこと

たんぱく質はサプリメントやプロテインで補給してもいい?

液体プロテイン

栄養指導をしていると、サプリメントやプロテインでたんぱく質を補給してよいか?という質問をいただきます。これは1日3食、きっちり食事をしている方にはおすすめできません。余分なカロリーになる可能性が高いからです。

また、体の組織を作る代謝にはあらゆる栄養素が関わっていますので、いろいろな食品を組み合わせて摂取することが大事であって、たんぱく質だけといった特定の栄養素だけ摂っても意味がありません。他にも、液体のプロテインは飲んで摂取することになるので、よく噛んで食べるという行為ができず、満足感を味わうことができません。

プロテインは、日常生活の中で取り入れる場合は食事としてではなく、あくまで補助的に利用する程度にとどめましょう。

おやつでたんぱく質を補給するならコレ! 食事での上手な摂取方法は?

プリン

たんぱく質が補給できるおやつは、原料に大豆、卵、牛乳を使っているものです。プリン、ババロア、アイスクリーム、ミートパイ、肉まん、シュークリーム、チーズケーキなどがあります。

たんぱく質は1食あたり少なくとも20~30g以上摂るとよいと考えられています。それには、1日3食、主食と主菜、副菜を組み合わせ、(海藻)(きのこ)(果物)(鶏卵)(穀類、芋類)(野菜)(豆、大豆、種実類)(肉)(魚、魚介)(チーズなどの乳製品、牛乳)の1日10品目を摂るように心がけることが大切です。

1日で10品目そろえられるとベストですが、そう簡単にはいかないと思います。3日~1週間ぐらいで10品目をそろえるようにいたしましょう。

多様な食事で、健やかな肌、髪、爪を保ち続けていきましょう。


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※記事の情報は2023年10月13日時点のものです。

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