「低気圧女子」が急増中! 悪天候と女性のカラダの関係

「くもりや雨の日って具合が悪くなりませんか?」と編集部のAちゃんがつぶやいた一言から、調査をスタート。調べてみると、天気が悪い日に女性がカラダの不調を訴える原因が「低気圧」にあることがわかりました。

メインビジュアル:「低気圧女子」が急増中! 悪天候と女性のカラダの関係

低気圧女子の不調の原因は「低気圧×自律神経の乱れ」

「薬を飲まないと我慢できないくらい頭が痛くなる」「だるくて仕事にならない」「昔、ねんざした足首が痛む」など、症状は違うものの、編集部の女性スタッフの間では「くもりや雨の日には体調が悪くなりがち」と意見が一致。そこで「くもり だるい」でネット検索をしてみたところ、天気が悪くなると体調が悪くなることを「気象病」といい、多くの女性がその症状に悩んでいることがわかりました。
 
「気象病で悩んでいるのは20代~40代の女性が多いんです」と語るのは気象予報士で健康気象アドバイザーの小越久美さんです。気象病の主な症状には頭痛、肩こり、首こり、関節痛、古傷の痛み、気分の落ち込みがあります。天気による不調の原因の多くは、低気圧と関係していることから、小越さんは気象病に悩む女性を「低気圧女子」と名付けました。

気象病はすべてのくもりの日や雨の日に発症するわけではなく、「低気圧」と「ある条件」が重なったときに発症します。その条件が「自律神経の乱れ」です。

自律神経は「体温調節」「呼吸」「血圧」「血流」「消化」「排泄」「免疫」「代謝」など生命維持に不可欠な機能を自動的にコントロールしています。天気に関係なく体内の環境を一定に保とうとしているのも自律神経。夏の暑さや冬の寒さに関係なく体温を一定に保ち、気圧の変化に合わせて内側からバランスを保とうとしています。自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2種類があり、下記のような特性があります。

●交感神経…起床後~日中、カラダを活動モードにする。晴れた日や、急に寒くなったとき、気圧が急変化したときに活発になる。
●副交感神経…夕方~夜、カラダがリラックスモードになり眠くなる。朝からくもりや雨の日や、気温が上昇した日に活発に働く。

天気や気温の変化があまりにも急激だと、自律神経による対応が追い付かず、交感神経と副交感神経のバランスが乱れて、様々な不調が出ます。気圧の急変や気温の低下で交感神経が活発になれば、血管が収縮し、緊張型頭痛や古傷の痛み、腰痛、関節痛といった「痛み系」の症状の要因に。くもりや雨の日、気温が上がった日は副交感神経が優位になって血管が拡張し、眠気やだるさ、片頭痛の要因になります。

また、天気だけではなく、空調も自律神経を乱す要因になります。夏にかけては外気温がグングン上昇。室温が20℃で外気温が40℃近くと、約20℃も温度差が生じる日もあり、これが自律神経を乱す原因にもなります。夏の室内ではカラダを冷やしすぎないようストールなどで体温調整をすることも大切です。

雨の日
雨の日が続くと便秘の原因に

低気圧女子が、梅雨にツラくなる症状とその対処法

低気圧女子にとって、梅雨は体調を崩しやすい時期です。「低気圧」「日照不足」「寒暖差」は自律神経を乱し、様ざまな不調の原因となります。梅雨の期間に低気圧女子を悩ませる症状とその対処法を小越さんに教えていただきました。

・気分の落ち込み、眠気、だるさ

低気圧により副交感神経が活発になると、この症状が発症します。梅雨の長雨が続く朝はいつまでも寝ていたい気持ちになりますが、寝すぎると副交感神経の活動度が上がってしまい逆効果です。天気予報をチェックして、翌日が雨やくもりの日なら、夜は早めに就寝し、翌朝は30分早く目覚めましょう。朝食を作る、しっかりメイクをする、エスカレーターではなく階段を使うなど、朝の時間を活動的に過ごし、交感神経の活動度を上げるようにこころがけて下さい。また雨の日は赤やピンク、オレンジなど暖色系の洋服を着ると、元気になれます。
 

・片頭痛

血管が拡張することで起きる頭痛で、梅雨の晴れ間で暑くなった日や、低気圧が近づき気圧が下がって来たときが要注意です。入浴は控えてシャワーだけにして、体を温めすぎない(血管を拡張させない)ようにしましょう。パソコンやスマートフォンはオフにして、光や音の刺激を遠ざけることが大切です。
 

・古傷の痛み、関節痛、腰痛、肩こり

梅雨寒と低気圧が重なると、古傷の痛み、腰痛、関節痛、肩こりの原因に。とくに生理期間中は痛みに敏感になるため要注意です。雨にぬれたりエアコンでカラダが冷えるとさらに症状が悪化します。カラダが冷えたら使い捨てカイロなどで患部を温めましょう。
 

・便秘

排便を促す腸の蠕動(ぜんどう)運動は、副交感神経が主導権をにぎっていますが、梅雨寒による冷え、気圧の変化によるストレスで交感神経の活動度が上がってしまうと、蠕動運動が弱まり、便秘の要因になります。体を冷やし過ぎないこと、朝起きたらまずコップ一杯の水を飲み、腸を動かすことを心がけてください。

今年の梅雨、ゲリラ豪雨、台風予測と気になるカラダのトラブル

低気圧女子なら、今年の梅雨、ゲリラ豪雨、そして夏の台風がどうなるのか気になりますね。そこで小越さんに今年の夏の天気予測と、特に注意しておきたいカラダのトラブルについてうかがいました。
 

【梅雨】雨が多く、梅雨が長引いて不調な日が続く?

本州付近の梅雨は、例年だと6月上旬から7月中旬頃まで約ひと月半に渡って続きます。昨年の梅雨はあっという間に明けたという感じで、関東甲信地方で6月29日に梅雨明けが発表されるなど、記録的な短さでした。

今年は、梅雨前線を押し上げる夏の太平洋高気圧の勢力が弱く、6月は本格的な梅雨が遅れる一方で、7月は梅雨前線が停滞しやすく、梅雨の期間が長びく可能性があります。

★こんな天気図に要注意!

梅雨の天気図
2016年6月13日12時(梅雨前線とオホーツク海高気圧)/日本気象協会 tenki.jp


●ポイント:「梅雨前線上の低気圧」と「オホーツク海の高気圧」に注目!
梅雨前線が日本列島の近くに停滞し始めたら要注意! 上記の天気図のように、日本列島の上を低気圧が手をつないでいるように連なった状態になると、雨の日が続き、気分の落込み、便秘、頭痛、腰痛、関節痛、肩こりといった長期間に渡るカラダの不調の原因に。

北海道から関東にお住まいの方は、オホーツク海の高気圧マークにも注目してください。この高気圧が、冷たく湿った気流を北日本や東日本の太平洋側にもたらして「梅雨寒」となり、腰痛など痛みをともなう症状が悪化する可能性があります。

また、梅雨前線が天気図から消えても、不調の種がなくなる訳ではありません。次のような天気図にも注意しましょう。
 

【ゲリラ豪雨】天気予報の「大気の状態が不安定」を聞き逃さない!

今年は梅雨が明けたとしても、夏空が続きにくく、ゲリラ豪雨と呼ばれるような局地的な大雨が多い可能性があります。午前中が晴天でも午後になって急に雨雲が沸き上がるので、ゲリラ豪雨を天気図だけから読み解くのは気象予報士であっても至難の業です。天気予報で「大気の状態が不安定」というワードを聞いたり、晴れていても雷注意報が出ている場合は要注意です。

★こんな天気図に要注意!

ゲリラ豪雨
2017年8月22日15時(ゲリラ豪雨)/日本気象協会 tenki.jp


●ポイント:前線を伴わない「低気圧スタンプ」がある日は可能性大!
前線を伴わない低気圧スタンプがあるときは、ゲリラ豪雨(突発的な雷雨)に要注意です。一見小さな低気圧に見えても、上空には強い寒気を伴っているケースが多いのです。ゲリラ豪雨が起きる前後では気圧の急変化に加えて、気温が急降下します。交感神経が活発になり、古傷の痛みや、頭痛、関節痛、腰痛といった痛みの要因に。こんな日は、出かける時に暑くても、折りたたみ傘に加えて、体を冷やさないようストールを持ち歩きましょう。
 

【台風】真夏に台風が接近するかも?

本来、台風シーズンといえば夏の終わりから秋にかけてですが、太平洋高気圧が張り出しにくいと予想される今年は、真夏に台風が接近する可能性もあります。

★こんな天気図に要注意!

台風
2017年8月3日9時台風/日本気象協会 tenki.jp


●ポイント:進路が定まりにくいノロノロ台風に注意!
夏台風は動きが遅く、進路が定まりにくい上に、影響が長引きやすいという特徴があります。さらに日本付近に梅雨前線が停滞している場合は、接近前から梅雨前線を刺激して高範囲に大雨をもたらすこともあり、体調不良が長期化する可能性があります。

台風が近づくときの気圧変化はジェットコースター並みで、古傷の痛みや頭痛、関節痛などといった痛みの引き金になります。夏台風の進路予想はコロコロ変わることがあるため、天気予報をこまめにチェックして、台風接近の前後は無理な予定を入れないようにしましょう。
 

低気圧女子は「天気×不調の原因」をメモして、体調管理を

「気象病の予防に最も役立つのはセルフチェックです」と小越さん。「●月●日 頭痛 くもり」と体調の悪い日だけメモしておくと、自分がどんな天気の日にどんな症状が出るかの傾向がわかります。雨の日に体調が悪くなるのなら、その前日は早く寝て次の日に備えることできます。天気予報は一週間分発表されますから、前もってスケジュールがたてられます。この夏は天気予報を見ながら対策を立てて、毎日を快適に過ごせるようになりましょう!

 

この方にお聞きしました

小越 久美(おこし くみ)さん

気象予報士・データ解析士・健康気象アドバイザー・防災士。 筑波大学第一学群自然学類地球科学(気候学・気象学)専攻修了。2004年から2013年まで、日本テレビ「日テレNEWS24」にて気象キャスターを務める。現在は、一般財団法人日本気象協会にて商品の需要予測に携わり、アパレルや食品を中心とした企業へのコンサルティングを行っている。著書「かき氷前線予報します~お天気お姉さんのマーケティング~」「天気が悪いとカラダもココロも絶不調 低気圧女子の処方せん」

小越久美さん



「天気が悪いとカラダもココロも絶不調 低気圧女子の処方せん」

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※記事の情報は2019年6月7日時点のものです。

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