なんとなくイライラ、気持ちが落ち込むのは「春バテ」が原因かも?
疲れやすい、イライラする、気持ちが落ち込む…といったカラダの不調を感じていませんか? それは、冬から春への季節の変り目に起こる「春バテ」が原因かもしれません。そこで今回は、日々の生活習慣で「春バテ」を解消する方法をご紹介します。
「春バテ」の症状とは?
季節の変り目に体の不調を感じる「春バテ」。20歳~60歳の男女300人を対象にしたアンケートでも、冬から春にかけての体調の変化として「冷え」や「倦怠感」「不眠」を挙げる人が多くいました。(下記グラフ参照)
Q.冬から春にかけてあなたの体の困りごとはありますか?
※『保険クリニック調べ』
https://www.hoken-clinic.com/expedition/detail9.html
なぜ、春の時期にこうした症状を感じるのか? 解消するためにはどうしたらいいのか? 睡眠コンサルタントで、予防医学についても詳しい友野なおさんに「春バテ対策」についてお話を聞きました。
「春バテ」の主な原因は「寒暖差」「環境の変化」「睡眠困難」
友野:春バテの主な要因として「寒暖差」「環境の変化」「睡眠困難」などが考えられます。特にこの時期は昼夜では10度以上気温差ある日も多く、寒暖差による自律神経の乱れが体調不良に大きく影響しています。
自律神経には、昼間や活動時に作用する「交感神経」と夜間やリラックスしているときに働く「副交感神経」の2つがあり、体温や発汗、呼吸などを正常に保っています。しかし、寒暖差が大きいと体温調節のために交感神経が優位になり、バランスが崩れてしまうのです。
「環境の変化」も自律神経のバランスを乱す一因です。春は仕事や学校など新しい生活が始まる時期ですが、環境の大きな変化がストレスとなって交感神経が活発になり、リラックスのための副交感神経が働きにくくなってしまうのです。
自律神経のバランスが乱れると、結果として夜間の睡眠が妨げられて体の不調を感じやすくなります。
こんな人は要注意! 「春バテ」危険度チェック
思い当たるものが多いほど春バテになる危険性が高いとか。早めに対処しましょう。
□大きな環境の変化がある
□生活のリズムが乱れやすい
□仕事などでストレスを感じている
□花粉症などのアレルギー症状がある
□入浴はシャワーで済ませることが多い
□定期的な運動をしていない
「春バテ」解消のための3つのポイント
友野:自律神経の乱れを整えるには、「運動」「食事」「良質」な睡眠が欠かせません。基本的なことですが、この3点を意識することが「春バテ」解消の早道です。
1.運動
適度な運動を続けることで筋肉量を増やし体力、体温アップを目指しましょう。日中のウォーキングなどで日差しをたっぷり浴びると、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の分泌も活発になります。
また、運動によって体温が上がると、その後体温が下がる時との落差が大きくなり、スムーズな入眠につながるという効果もあります。屋外での運動が難しいときには、お尻や太ももなど体の中の大きな筋肉が鍛えられる「スロースクワット」などもおすすめです。
【スロースクワットの方法】
①脚は肩幅に開き、胸の前で腕を組みます。
②つま先より膝が前に出ないように気をつけながら、太ももと床が平行になるまで腰を落とします。
③ゆっくりと元の位置まで戻ります。
④5~10回ほど繰り返します。
スロースクワットをしてからウォーキングなどの有酸素運動をすると運動効果が上がるので、セットで行うのがおすすめです。
2.食事
春バテの改善には「体内時計」を整えることも大切です。体内時計とは、朝になると目が覚め、空腹を感じ、夜には眠くなるという、生まれながらに備わっている生体リズムのこと。体内時計を整えるひとつの方法として大切にしたいのが「時間栄養学」という考え方です。私たちは光と食事の刺激で体内時計を整えています。食事の時間を一定にし、適切な時間に適切な栄養素を摂ることで体のリズムが整えらます。
特に意識したいのが、朝食です。
起きてから1時間以内に朝食を摂ることで体内時計のスイッチが入ります。日中の意欲的な活動と夜の良質な睡眠のためには、タンパク質は欠かせません。菓子パンなどだけで済ませず、しっかりとたんぱく質を含んだメニューを摂りましょう。朝から魚や肉を食べるのは難しいという人は牛乳や卵、バナナなどを取り入れてみてはどうでしょうか。
●友野先生のおすすめ!
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夕食の時間を一定にするのが難しいむ場合もあるでしょう。
夕食時間が遅くなってしまう場合には、「分食」という方法もおすすめです。17時~18時におにぎりなどの炭水化物を食べ、帰宅後おかずだけを食べます。空腹すぎてもよく眠れないので、できるだけ胃腸に負担のかからない消化に良いものを食べるように心がけてください。
3.睡眠
春バテの症状で多いのが「よく眠れない」というもの。
自律神経が乱れると、リラックス作用のある副交感神経の働きが悪くなり、「眠れない」「眠りが浅くなる」などの悪影響があります。十分な睡眠がとれないと疲労や免疫力の低下にもつながります。
カリフォルニア大学の研究では、1日の睡眠時間が6時間以下の人は7時間以上眠っている人に比べて、風邪をひくリスクが4倍ほど高くなるという結果も出ています。
良質な眠りのためには体内時計を正常に働かせることが必要です。人間は太陽の光が目に入ってから約14時間~16時間後に眠りのためのホルモン「メラトニン」が分泌されます。朝起きたら窓の近くなど日差しのある場所に立ち、目の中に15秒間光を入れるようにしましょう。寝る前に「スマートフォンを見ない」「リラックス効果のある香りを枕元に置く」ことも、眠りやすくする効果につながります。
「春バテ」を夏まで引きずらないように、早めのケアを
春バテは生活習慣や睡眠の乱れを引き起こします。そのままにしておくと、不眠や精神不安などにつながることも考えられます。梅雨の時期は日照時間が少なくなるため、体内時計が上手に調節できず、さらに体調が悪くなってしまう可能性も…。不調を引きずらないために日々の生活を見直して、心身のバランスを整えてください。
この方にお聞きしました
友野なお さん
睡眠コンサルタント。株式会社SEA Trinity代表取締役。千葉大学大学院 先進予防医学 医学博士課程。順天堂大学 大学院スポーツ健康科学研究科 修士。自身が睡眠を改善したことにより15kg以上のダイエット、さらに体質改善に成功した経験を活かして科学的な睡眠改善メソッドを提唱。
※記事の情報は2020年4月17日時点のものです。
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