うまみの素で“美食の塩抜きメニュー”を楽しもう!【塩抜きダイエット実践編②】
「塩抜きダイエット」で1日1㎏、2日で2㎏も夢じゃない! 今回は塩抜きメニューをおいしくする、うまみがギューッとつまった「海藻」と「きのこ」が主役。単独で使うも良し、2つを掛け合わせれば“美食の塩抜きレシピ”が完成です!
「塩抜き=おいしくない」に、ちょっと待った!
こんにちは。野菜料理家の庄司いずみです。
この連載では、「調理に塩をつかない」ことが唯一のルール、始めたその日に速攻で1㎏落ちる人も少なくない魔法のメソッド、塩抜きダイエットを紹介しています。 詳しくは、1回目のコラム、2回目のコラムでおさらいをどうぞ!
さて、3回目となる今回は、塩抜きダイエットメニューのおいしさについて。“塩抜きでおいしさ”とはこれいかに。「塩抜きでおいしいわけないでしょ!」というツッコミが聞こえてきそう。
実際に、塩抜きダイエットをおすすめすると、たいていの人が「おいしくなさそう!」と叫びます。
いやいやいや!
塩抜きメニューは決してまずくはありません。人様に何も言わずに塩抜きメニューを出したとしたら「この人薄味なんだな」と感じる程度。塩を使ってないとは、気づかないであろうレベルです。
メニューによっては、塩を少し入れたらさぞ……と感じるかもしれませんが、十分ごはんのおかずになるおいしさです。
もちろん、いつもの料理から単純に味つけを抜いただけだと残念な味になりますよ。塩抜きメニューをおいしくするコツがいくつかあるので、今回はそのテクニックをご紹介しますね。
【実践テクニック②】うまみの素を取り入れよう!
おいしさはまず素材から。前回は、トマトが塩抜きダイエット向きの食材とお伝えしましたが、ほかにもぜひ取り入れたい食材があります。
それは乾物です。
乾物というと地味な存在ですが、切り干し大根、干し椎茸などの乾物は、素材を干して水分量を極限まで減らしたもの。だから、とにかくうまみがギューッと詰まっているのです。
「海藻類」は、塩分の排出を助けるカリウムが豊富
とくに海の乾物はすばらしい。
わかめ、ひじき、昆布など、海藻類はいずれもうまみたっぷり。減塩メニューをつくるとき、「だしをきかせて」とよく言いますが、海藻類のうまみがあれば、塩のおいしさに頼らなくてもいいのです。
ただ、実を言うと……。 海藻類はナトリウムが多く含まれます。ものによっては梅干しや豆板醤に負けないほどのナトリウムを含むから、塩抜き素材と言えるのか否か迷うところですが、その一方で海藻はカリウムたっぷり!
余分にとった塩分の排出にカリウムが重要なことは、前回のコラムでも紹介しました。カリウム豊富な食材をたっぷり食べると、水分排出力が高まってむくみがとれ、速攻で体重が減る。そんなスーパー栄養素です。
カリウムの多い食材はというと、野菜ならパセリがダントツで100g中1000mgのカリウムを含みます。くだものではバナナが多く、100g中360mg。
では海藻はというと、乾燥昆布が5300mg、干しわかめが5200mg、乾燥ひじきが4400mg。野菜やくだもののカリウム量とはケタがちがいます。
問題のナトリウムも確かに多く含みますが、乾燥の海藻類を料理に使うとしてもほんの少量です。それでうまみが出て塩抜きメニューがおいしくなり、かつ、カリウムでよぶんな水分を追い出してくれるのだから、塩抜きダイエットデーでも、避けることはありません。
もちろん、塩昆布や塩蔵わかめ、味つけ海苔などはダメですが、味つけなしの海藻類はすべて塩抜きダイエットの強い味方。中でも料理の仕上げにちょい足ししたり、物足りないなというときにパパッと使えて便利な海藻類がこちら。
焼き海苔や青海苔です。スープにパラリ、サラダにパラリ。味が薄く感じるおかずは全部海苔に包んでしまえば、間違いなくググンとおいしくなるお助け素材です。
たとえばおにぎり。ごはんに味がつけてあったり、塩気のある具材が入ればなおおいしいですが…。写真のおにぎりは、ねぎをこんがり素揚げしただけの揚げねぎを混ぜ込んだ“揚げねぎ”のおにぎり。
これがまた! ねぎは香ばしいし、海苔は風味がよいしで、なんともいえないおいしさです。塩抜きでも物足りなさはゼロ、これでビールが飲めるくらい、しっかりした味わいです。
食物繊維が豊富な「きのこ」もおすすめ食材
海藻類もいいですし、塩抜きデーの食材に推薦したいものがもうひとつあります。
それはきのこ!
松茸やまいたけ、しいたけなどを素焼きし、レモンやスダチを絞るだけでおいしいですよね。
そう、塩味に頼らなくてもキノコ料理なら、けっこうイケるのです。カリウムだって多いですし、さらにいうと食物繊維が豊富でデトックスにもいい。水分を追い出し、お腹の掃除もしてくれるのだから最高です。
きのこのおなじみレシピといえば、きのこのマリネでしょうか。きのこいろいろをオリーブオイルで炒め、塩と酢で味をつけるだけのカンタン料理、冷蔵庫で保存もきくから、常備している人も多いかもしれませんね。
塩はマスト、と思うでしょうが、実はいりません!
だまされたと思って、きのこを炒め、少々のにんにくとお酢だけで味をつけてみてください。普通の米酢やレモン果汁でもいいですが、バルサミコ酢なら甘み、うまみが多くてなおおいしい。よくよく冷やすと前菜にピッタリです。
「海藻×きのこ」で“美食の塩抜きレシピ”を
海藻やきのこ、それぞれ単独でもイケるのだから、掛け合わせればなおおいしい。
今回はそんな“美食の塩抜きレシピ”をご紹介しますね。
まずは天ぷら。
まいたけやマッシュルームなど、好みのきのこに天ぷら衣をつけてあげるだけ。普通なら天つゆか塩をつけたいところですが、そこをひと工夫。衣に青海苔を混ぜ込み、お好みでおろしにんにくも加えれば、天つゆなんていりません。
お次はスープ。
長ねぎ1/3本を細切り、えのきだけ50gを石突きを落としてざく切りに。これを1カップの水でひと煮立ち。ちぎった焼き海苔1枚分、千切りしょうがとにんにくを加え、お好みでラー油をたらり。えのきの風味と海苔の香りで、出汁なし、塩抜きとは思えないおいしさです。
●きのこの海苔巻き揚げ(1人分:4個)
材料
-
えのきだけ
40g(石突きを落として
粗みじん切り) - まいたけ 40g(粗みじん切り)
- 片栗粉 大さじ1強
- 焼き海苔 全形を8等分したものを4枚
- レモン 少々
- 揚げ油 適量
作り方
- ボウルにきのこと片栗粉を混ぜ合わせて、ぎゅっと揉み込み4等分にして成形する
- 1を焼き海苔で巻き、熱した油でカラリと揚げる。
- 器に盛りつけ、好みでレモンを絞る。
塩抜きレシピ、こんな組み合わせはいかが?
連載も3回目ともなると、塩抜きメニューのレパートリーも増えてきましたね。
メインディッシュには今回の海苔巻き揚げ、または1回目の塩抜きバーグ。つけ合わせにきのこのマリネ、汁ものはえのきと海苔のスープ、サラダは連載2回目のトマトドレッシングのサラダ。
いずれも量はたっぷりと!
ダイエットだからと少なめにすることはないですよ。いずれもカリウム豊富なメニューばかりだから、食べれば食べるほど水分代謝が高まって、効果が早くあらわれます。
おなかいっぱい、しかもおいしく! 美食の塩抜きレシピ、ぜひお試しくださいね。
次号は、たくさん作って常備しておきたい、塩抜き常備菜を紹介します。お楽しみに!
【ご注意】
塩分は血圧を一定に保ったり、筋肉をスムーズに動かしたりと、人間にとって欠かせないものです。塩抜きダイエット中であっても、汗をかいたら水分と塩分を適度に摂ることが重要です。特に熱中症が心配な時期は体内の塩分が不足しないようご注意ください。また、すでに塩分をコントロールしている方や、水分やカリウムの摂取を制限されている方、健康に不安のある人は主治医に相談してから行ってください。
※記事の情報は2019年7月23日時点のものです。
庄司いずみさんのロングインタビューがこちらで読めます【Aktio Note】
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